心理学って何?

  • 心理学専攻 井藤 寛志 教授
  • 公開日: 2023年7月17日
  • カテゴリ: コラム

みなさんが「心理学」と聞いてイメージするものは何でしょうか?おそらく多く人は、他人の心が読めるというようなイメージを持っているのではないでしょうか。

しかし、よくインターネットやSNSなどのメディアで取り上げられている心理テストや性格テストは、残念ながら心理学ではありません。例えば、血液型による性格の分類や、ある絵を見てそれが何にみえるかということで、その人の深層心理がわかるというようなものです。これらは心理テストというよりも心理ゲームに近いものかもしれません。心理学とは、ひとつの科学です。つまり、ヒトの行動を対象に実験や観察を行い、そこから得られたデータに基づいて、ヒトの心のメカニズムを解き明かそうとする学問です。そのためにエビデンス(証拠、データ)に基づき、そのメカニズムについて迫ることが心理学の基本的な研究方法です。また、最近の生成AI(人工知能)やデータサイエンスの分野も心理学に関係するもので、関連する研究を行っている心理学者もたくさんいます。

日本における心理学の発展は、哲学との関連からスタートしたと言えます。そのため、全国の古い心理学の専攻は、その多くが文学部の学科として設置されています。現在は、心理学もひとつの大きな研究分野となり、学部として設置されている大学も増えてきました。しかし、実際には心理学は科学的な学問です。心理学の最終的な目標は「心のメカニズム」を明らかにすることですが、そのためには数学的要素も必要ですし、時には脳の働きを調べるために、脳波や脳の血流変化を測定する機器を用いることもあります。ただし、これらの大掛かりな装置がなくても、紙と鉛筆があれば、十分面白い実験を行うことができます。

ヒトの心のメカニズムはとても複雑で、いまだに解明されていないことがたくさんあります。まだ誰も知らないこの複雑な心を様々な方法を駆使して解き明かしていくことは、とてもワクワクすることだと思いませんか?もし、ヒトの心に興味があるひとは、ぜひ心理学を学んで欲しいと思います。心理学を学べば、今までとは一味違ったヒトの見方ができるようになると思います。

人が紡ぎ出すもの。
人を揺り動かすもの。
人の歩みの標となるもの。
そのすべてが「文学部」。

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