人間のこころに迫る教育と実践
心理学科では、生物・神経生理・認知、教育・発達・支援、さらには産業・家族・社会などの多面的視点から心理学の理論を学びつつも、実験・調査の実体験を重視し、知識偏重型ではない教育を進めています。また、2018年度からは、公認心理師の養成に対応するカリキュラムをスタートし、希望者を対象に、地域の専門家と連携しながら将来の心理職専門家を養成することにも力を入れています。
心理学科では、生物・神経生理・認知、教育・発達・支援、さらには産業・家族・社会などの多面的視点から心理学の理論を学びつつも、実験・調査の実体験を重視し、知識偏重型ではない教育を進めています。また、2018年度からは、公認心理師の養成に対応するカリキュラムをスタートし、希望者を対象に、地域の専門家と連携しながら将来の心理職専門家を養成することにも力を入れています。
心理学科では2018年度から公認心理師(国家資格)の対応カリキュラムがスタート。資格をめざす学生はキャンパスでの学びに加え、医療機関や福祉施設など臨床のフィールドで80時間以上の心理実習を経験します。地域の専門家と連携しながら将来の心理職専門家を養成します。
この授業では、ヒトが目や耳を通して外界をどのように捉え、そこから得られた情報をどのように利用しているのかを学びます。また、学生は各単元のテーマに沿った心理学実験を通して心理学研究の面白さを体験し、データ(根拠)に基づいて自分の考えをまとめる方法を学びます。
この科目では、“知的”な存在の例として、ヒトとヒト以外の動物および人工知能(AI)を取り上げ、それらの振る舞いを比較します。そして、AIには解くのが困難なある種の問題を、一部の生物がいとも簡単に解決するのはなぜか、などの問いについて検討します。さらに、現代のAIが”学習”する仕組みや知的に振る舞う仕組みの基礎を学び、それを実現するプログラミングの初歩を経験する機会などを通じて知性とは何かを考えていきます。
心理学は、産業・組織の分野にも応用されています。この授業では、目まぐるしく変化する物理的・社会的環境の中で、働く人の心理的健康を保ち、組織と個人の持続的な発展を促す行動マネジメントの理論・方法を最新の研究から学びます。また、企業の人材育成等に関わる実務家を講師として、現場での問題解決について議論したり、スキル訓練の方法を体験することで、自らのキャリアと関連づけて受講生が理解を深める機会を設けます。
中学時代から公認心理師を志し、資格取得のために大学院進学を視野に入れて勉学に励みました。周囲が就職活動を始めて焦りを感じた時期もありましたが、「心理実習」の授業で公認心理師が働く現場を間近で見て、決意を固めました。大学院に提出する研究計画書などの書類は、心理学科の先生方に何度も添削していただきました。また筆記試験や専門英語の勉強会を開いてくださったり、不安なときは相談に乗ってくださるなど手厚いサポートをいただきました。大学院をめざす仲間と先生方に支えられて、神戸大学大学院に進学を決めることができました。
池田 歩加さん
心理学科 心理学専攻(2022年度 卒業)
私は人と接するとき、相手の気分や感情を気にかけて行動する傾向があります。そこで、「他者に多くの意識を向ける人は、他者の行動をあらゆる側面から深く考える傾向がある」という仮説を立てました。実験では人物のさまざまな行動を映した画像を被験者に提示。行動から受けた印象や、被験者の性格特性を質問しました。また認知的負荷をかけるグループとかけないグループに分け、想起内容を比較しました。すると他者意識が高い人に認知的負荷をかけると多くの情報に注意を向けられないという、仮説とは反対の結果となりました。これは、人間の持つ処理資源量には限界があり、他者意識の高さゆえに多様な情報を処理する認知的な余裕がなくなったことを示唆しています。さらに追加実験を行い、意識を向ける対象をコントロールできるタイプと、自動的に他者に意識が向くタイプの2種類がある可能性を見いだしました。認知心理学と社会心理学の理解を深める意義深い研究となりました。
吉良 瞳さん
心理学科 心理学専攻(2022年度 卒業)
飲食店で注文を決められず、時間がかかってしまうことはありませんか。そして友人の選んだものを見て「そちらの方がよかったかも」と後悔したり……。
私自身も、こうした優柔不断さに悩むことがあります。先行研究を調べたところ、優柔不断な特性を持つ人は多くのストレスを感じ、幸福を感じにくくなることが示唆されていました。そこで大学生96人を対象に4種類の心理測定の尺度による調査を実施し、その関連性を検討。独自性のある研究にするために対象を大学生に絞ったり、自分が優柔不断かどうかを自己判断する質問項目を作成するなどの工夫をしました。
その結果、優柔不断特性を持つ人は主観的幸福感が低くなる傾向があるとわかり、先行研究と一致しました。主観的幸福感を高く保つためには、決断力を持つことと先延ばしをしないことが必要であることが明らかになりました。調査対象者の特性を詳しく見ることで、問題解決の糸口を見いだせたのは大きな収穫でした。
岩瀬 達紀さん
心理学科 心理学専攻(2021年度 卒業)
うっかりミス(ヒューマンエラー)は、私たちの日常生活で頻繁に発生するものです。研究では、このヒューマンエラーに着目。実験を通して「日常的に行っている動作(運動)でも、会話をしながら行うことでヒューマンエラーが発生しやすくなるのか」を検討しました。
まず、私たちが日常的に習熟している動作として、“箸つかみ”を実験の課題に設定しました。実験参加者には、ひよこの顔が描かれたおもちゃの豆を箸でつかんでオスとメスを仕分けするゲームを行ってもらいます。その際、①箸つかみ課題だけを行う、②1ケタの足し算問題に答えながら箸つかみの課題を行う、③2ケタの足し算問題に答えながら箸つかみの課題を行うという3つの条件を設定し実験を行いました。
実験結果を分析したところ、①②の条件下ではエラー数が少なく、反応時間にも差が見られませんでした。③ではエラー数に差は見られませんでしたが、反応時間には明らかな差がありました。そこから、③のように認知的不可の大きい条件下では反応時間が増大し、作業(運動)中のヒューマンエラーも発生しやすくなることが示唆されました。
渡辺 麻友香さん
人文社会学科 心理学コース(現・心理学科) 心理学専攻(2020年度 卒業)
認知科学/認知心理学
発達心理学・パーソナリティ心理学・臨床心理学・教育心理学
生物心理学/音声コミュニケーション、模倣・同調
心理学/応用行動分析学、対人援助、セルフ・マネジメント、障害児・者の支援
応用心理学、社会心理学、産業・組織心理学、人間工学
心理臨床学、現象学的精神病理学/児童臨床、確率論、プレイセラピー
人間のこころに迫る教育と実践
心理学科では、生物・神経生理・認知、教育・発達・支援、さらには産業・家族・社会などの多面的視点から心理学の理論を学びつつも、実験・調査の実体験を重視し、知識偏重型ではない教育を進めています。また、2018年度からは、公認心理師の養成に対応するカリキュラムをスタートし、希望者を対象に、地域の専門家と連携しながら将来の心理職専門家を養成することにも力を入れています。