ゼミ論集@本編 第1号~第4号ダイジェスト版(1999~2002年)
編集 96E2331 長浜 貴子 (1期生)
05E2254 竹内 大樹 (9期生)
ゼミ論集第1号 多様性の中国:一人一省
~中華人民共和国建国50周年記念号~ 1999年3月31日発行
巻頭の言葉:「形にしなきゃ」 李 春利
1998年4月から私は愛知大学で初めてゼミをもつことになり、スタートラインに立った。演習のテーマは「中国の経済発展と国際環境」というものである。
ゼミ生にたずねると、「形にしなきゃ」という返事がかえってきた。どんな形がいいのだろう、と悩んでいるうちに、ひとつのアイデアが浮かび上がった。春学期の初めに提出を義務づけたゼミレポートを「ゼミ論集」というカタチにまとめるというアイデアだった。
そこでこの提言をしてくれたゼミ生木全浩子さんを編集委員長に指名した。続いて、グラフィックス・デザイナーや写真担当、校正担当などの委員で構成される編集委員会が発足した。すべて学生の自主運営によるものだが、実際、予想以上に責任をもってやってくれた。(ここに掲載されたゼミ論集各号の全文は李ゼミHP http://taweb.aichi-u.ac.jp/leesemiより閲覧可能である。)
☆第1章 民族☆
1.「チベット:その特色と歴史」 (96E2553 井上
チエ)
「1912年から1949年までチベットは独立国家である」というチベット人の主張の謎を見事に解いてくれた。観音菩薩の化身としてのダライ・ラマ、「鳥葬」の解説、現地調査の経験を踏まえた感想などいずれも新鮮で読み応えがある。
2.「モンゴル:清朝支配下からの独立」 (96E2381 馬場
美貴子)
清王朝支配下のモンゴル(1691~1911年)の政治・宗教制度の確立過程と外モンゴルの独立との関係を分析した見事な論文である。
3.「新彊ウィグル自治区:東トルキスタン民族運動を研究する前の下ごしらえ」 (96E2202 後藤 寛志)
この地域に住んでいる5つのトルコ系イスラム民族、すなわちウイグル族、カザフ族、キルギス族、ウズベク族、タタール族のナショナリズム(民族主義)の高揚をその歴史的背景から捉えるものであった。
4.「広西壮族自治区:あなたは何族」 (96E2331 滑川
貴子)
ここに住む5つの少数民族の恋愛と結婚に関する話しが中心になっており、微笑ましい記述が多い。実は広西に住んでいる人々、漢民族(特に客家人)も山岳民族も中国では気性が激しいことで有名である。
5.「雲南省:一山分四季、十里不同天、一山不同族」(96E2365花木朋子)
南方系少数民族の豊かでエキゾチックな暮らしを描いた雲南省は平和で風光明媚である。大理は有名な大理石の産地で、13世紀モンゴルに併合されるまでひとつの独立国であり、信仰深い仏教の国として有名である。
☆第2章 歴史☆
6.「台湾:独立と戦い」(96E2151 河合 博之)
大航海時代のオランダ人の台湾入植から始まり、日清戦争後の日本占領時代、李登輝を代表とする台湾生まれの「本省人」が主流を占める時代、さらに1998年の台湾トリプル選挙ついて段階に分けて議論を進められた。
7.「遼寧省:遼東半島と日露戦争と日清戦争」(96E2305 都築 尚子)
日露戦争と日清戦争と遼東半島との関係を踏まえて詳しく論じられた秀作である。今後、中国も痩せ我慢型の「蜀」の道をやめて、呉の道につくべきではないか。
8.「黒竜江省:鉄道が走る都市の光と影」 (96E2048 犬飼 佳代)
満鉄の設立から始まり、さらにそれをひとつの軸として関東軍による旧「満州」支配、張作霖(1875~1928年)爆殺をきっかけに始まった「満州事変」、さらに偽「満州国」建国へと議論を進めた。
9.「山東省:強い男を作った歴史」 (96E2154 川口 佑佳里)
主に人に焦点をあてて、山東省の英雄輩出の歴史が描き出されている。また、締めくくりに男にも負けずと言わんばかりに、「アジアの歌姫」とよばれたテレサ・テンや中国のトップスター、コンリーを引き合いに出したところも面白い。
☆第3章 経済☆
10.「香港の未来 光と影」 (96E2242 白井 元道)
レッセフェールとよばれる香港経済の基本システム、ドルペッグ制を中心とする通貨・金融の問題、香港経済を支えている第三次産業の現状、といった経済諸問題に関する論述を踏まえ、彼自身の四つの提案をまとめた。
11.「マカオ:アジアの小さなヨーロッパ」 (96E2288 田中
典子)
南蛮船と種子島の鉄砲の伝来に注目した議論は、日本との接点をもち、一気に親しみやすくなる。1998年に、ポルトガルのリスボンで万博が開かれた際には、ポルトガル人のバスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見を記念するために、海がテーマになっている。
12.「福建省:華僑のゆくえ」 (96E2369 幅岸 智美)
世界中に散らばっている民族は二つある。ひとつはユダヤ人、もうひとつは華僑だ。華僑はファミリー・ビジネス、不動産業、サービス業をやっているのが多い。
13.「広東省:改革開放での発展と現在」 (96E2316 内藤 圭一)
1978年からはじまった改革開放の中で、福建省とともに全国に先駆けて「弾力的措置」、――いいかえれば経済運営に関する大幅な自主権――が与えられたのは広東省であった。
14.「海南省:今後の経済発展の中の海南島」 (96E2040 伊東 政次)
この地域のもつ政治的な意味合いと安全保障上の重要さを改めて認識させられた。西沙、南沙群島は周知のとおり、中国とフィリピン、ベトナムなどの国との間で領有権問題をめぐり対立をはらんでいる地域である。
15.「横浜・大阪・上海:日本第二の都心」 (96E2526 朱 静勝)
国際都市・上海の風貌にふさわしい総括的な論述である。その中には、昔上海で大学生活を送った評者でさえ知らない情報が多い。その地の出身者ならではのレポートであるといえよう。
☆第4章 文化と自然
16.「浙江省:観光産業と経済発展」 (96E2055 井上
允)
「呉越同舟」と「臥薪嘗胆」、日本でも有名なこれらの言葉の発祥の地はここである。浙江省のもうひとつの名物は日本でおなじみの「紹興酒」、あるいは「老酒」である。
17.「江蘇省:運河と歴史遺産の多い町」 (96E2571 松岡
里枝)
江蘇省は愛知県、省都の南京市は名古屋市と姉妹友好関係を結んでいる。レポートでは江蘇省の代表的な都市を紹介された後、締めくくりとして同省を見るうえでもっとも重要なキーワードは大運河と書かれている。
18.「四川省:三国志と蜀の国」 (96E2169 木全
浩子)
三国志の最高の武将・関羽が守っていた襄陽の町がある。「三顧の礼」(三顧茅蘆)の現場、経略の天才・諸葛孔明隠遁の地・隆中である。
19.「西安は昔から長安と呼ばれていた」 (96E2522 岳 彬)
イタリア・ベニス人のマルコ=ポ-ロは彼の不朽の名著『東方見聞録』の中で国際都市・長安の繁栄ぶりを詳しく伝えている。
20.「東京・北京:現代の顔 飛躍の都市」 (96E2529 孟
英)
「『月から見える唯一の建造物』で世界最大の建築物『万里の長城』」。
元の時代、いまの紫禁城が築かれ、ここで、マルコ=ポ-ロがフビライに謁見した。
ゼミ論集第2号 中国の肖像:人物で振り返る20世紀
~ミレニアム特集~ 2000年1月
1.「孫文:理想と挫折」(97E2255 鈴木
幸治)
第一次世界大戦が勃発した1914年に、孫文は中華国民党を結成している。なぜ孫文がこの党を結成したかは、黄興への手紙によく表されている。
2.「宋慶齢・宋美齢・宋靄齢:激動の中国を生き抜いた三姉妹」(97E2106 小川
祐子)
一人は金を愛し、一人は権力を愛し、一人は中国を愛した。
三者三様の生き方をし、時には絶縁の状態にまで陥っていたが、そのような時でも三姉妹は、お互いを思う気持ちを失わなかった。
3.「蒋介石と蒋経国:独裁と民主の間を彷徨う親子」(97E2428星野博昭)
蒋介石は、中国統一を果たした偉人である。しかし、彼の革命の基本路線である「資本主義」いわゆるブルジョワ主義は農民主体の中国では受け入れられなかった。
4.「汪兆銘と汪璧君:日中の悲劇を一身に背負った不運の夫婦」 (97E2213 桜井 美紀)
汪兆銘と南京政府は結果的には日本の傀儡となったかもしれない。しかし、その背景にはとても強い汪兆銘の日中の和平への願いが込められており、最後のときにまでその意志ははっきりとしていた。
5.「愛新覚羅・溥儀:波乱の歴史に翻弄されたラスト・エンペラー」 (97E2024 天野 健太郎)
名字は愛新覚羅。愛新は女真語(満州語)で黄金の意味、覚羅は古い家柄を示す。清朝では伝説上の祖先ブクリュンシュン以来の姓と称するが、事実はもと柊(とう)という姓で1616年太祖ヌルハチが後金国を建てた時、十二世紀の金国に縁付けようとしてこの姓を名乗ったと考えられる。
6.「魯迅:自己を犠牲に中国を変えようとした男」 (97E2080遠藤恭介)
魯迅という人は、中国人の本質を知り、その人々の思想を変え、よりよい中国に導くため、古今東西の文化や文学に通じ、西欧的な科学の目をもって、単に中国を客観的に観察し研究しただけでなく、自らを犠牲にし、礎となるためにねばり強く、命がけで戦ったのである。何という偉大な人物であろう。
7.「毛沢東:中国社会に大きな悲劇をもたらした文化大革命」(97E2101岡村 早恵)
毛沢東は、貧困にあえいでいた中国に統一と独立をもたらした中国革命の偉大な指導者である。しかしその反面、10年にわたる文化大革命は、中国社会に大きな悲劇をもたらした。
8.「周恩来:天衣無縫の外交家と用心深い政治家」(97E2343 中村 理恵)
周恩来は大躍進期や、文革期でも、決して消極的でなく、また、政策路線が誤ってしまわないように努力したり、誤ってしまったときは、そこから目を反らさずに、中国を陰で支えていた。私は、彼に対して“中国を陰で支えた「縁の下の力持ち」”と言う言葉が浮かんだ。
9.「鄧小平:改革・開放路線の敷設者」 (97E2042 市川 佳須美)
鄧小平は中国に改革・開放というレールを敷設し、巨大な機関車である中国政府をレールの上に載せ、中国国民を社会主義市場経済へと導いた。
10.「江沢民:本命をつかんだ初めての文民政治家」(97E2028 猪飼隆二)
21世紀をまたがる江沢民はこれから先どのような江沢民体制を作り上げていくのだろうか。ポスト鄧小平として改革・開放政策を継承してきた江沢民が独自カラーを出していき、中国を発展させていけるのだろうか。
11.「朱鎔基:鉄腕宰相の苦悩とその統率力を問う」(97E2066 岩井昭仁)
朱鎔基の人間性とその卓越した能力を知り、感動し魅了された。これほどの魅力、カリスマ性があり、国民にも大歓迎される首相が現在の日本にもいるだろうか。最後に書いたような言葉を本心から言える首相がいるだろうか。これぞ国を背負い、国家を代表する人物だと感じた。
12.「李登輝:台湾の未来を決める総統のジレンマ」(97E2397 馬場智美)
中国側が台湾を封じ込み政策を引き、国際舞台から引きずりだしたままでは、お互い実のある話し合いはされないだろう。21世紀という新しい世紀を迎えるにあたって、武力による解決ではなくて、話し合いというテーブルについて、解決する事が望まれる。
13.「銭学森・銭偉長・銭三強:核大国を支えた物理学者たち」(97E2518 徐
慧菲)
中国は「核大国」と呼ばれる今日に至るまで歴史変遷の中でかなり難しい道を歩んできたが、ここでは核研究の土台となる人物なしには語られない。それは“三銭”と呼ばれる「中国科学界の泰斗」の銭学森、力学者銭偉長、物理学者銭三強である。
巻頭の言葉:「2000年目の温故と知新~留学経験者たちの春秋~」 李 春利
留日派・汪兆銘と蒋介石の対日観
1910年、当時清朝の最高実力者・摂政王、つまり「ラストエンペラー」愛新覚羅・溥儀(=宣統帝、天野論文を参照)の父である醇親王の暗殺未遂で逮捕された汪兆銘。清朝の打倒をめざしての行動だが、失敗に終わり、彼は囚人の身となってしまった。
また蒋介石は軍隊を自分の命のように考えてきた。軍隊があれば権力があり、戦争がすべてを解決するというこの基本点を彼はしっかりつかんでいた。「蘆溝橋事変」後、日中戦争に対する蒋介石の最高指導部のこの基本方針から見れば、戦争の行方に対する見方はむしろ悲観的なものであった。それでも蒋介石を開戦に踏み切らせたのは、日本の止まるところの知らぬ侵略に対する中国国民の反日感情であった。蒋介石は「内憂外患」の渦中にあった(星野論文を参照)
土着派・毛沢東の対日観
毛沢東は汪兆銘や蒋介石と違って、日本との戦争は不可避であると見ていた。日中戦争中の1938年晩春、彼は延安の抗日戦争研究会の席上で講演を行い、のちにあの有名な『持久戦論』となって発表された。毛沢東は、長期戦の後に中国は必ず勝利を収めると確信していた。60数年前、毛沢東が指摘していたこの中国経済の不均衡発展、つまり沿海地域と内陸部の経済格差は、中国革命が成功してから50年も経過したにもかかわらず、いまだに是正されておらず、むしろ拡大の一方をたどるばかりである。
欧米派・宋美齢の対日観
宋美齢が政治の表舞台に登場したのは西安事件の平和解決であった。内戦の中止を求め、平和解決を強く主張し、さらに自ら調停者の役を買った。
美齢の行動について、アメリカの外交官ジョン・デービスは「昔なら皇帝の玉座にみずからを押し上げるほどの気骨」を中国のファースト・レディは持っていることを示した、と称賛している(小川論文より)
概して、美齢は日中戦争期を通して中国と米国の重要な橋渡し役を演じ、米国で近代的・新欧米的な「自由中国」のイメージを作り上げることに成功している。
出身地別に見たリーダーたちの素顔
ここで、さらに今回の論集に登場した人物たちを出身地別に分類してみた。結果は次のとおり。
広東省:孫文、汪兆銘
浙江省:蒋介石、蒋経国、魯迅、銭学森、銭三強
江蘇省:周恩来、江沢民、銭偉長
湖南省:毛沢東、朱鎔基
四川省:鄧小平
上海市:宋慶齢、宋美齢、宋靄齢
北京市:愛新覚羅・溥儀
台 湾:李登輝
マレーシア:陳璧君
そのうち、客家人:孫文、鄧小平、李登輝
(公開ゼミの記録・第4回「中国の文化」を参照)
ゼミ論集第3号 周辺から見た中国:China@World
~21世紀特集~ 2001年1月1日発行
巻頭の言葉:「塵も積もれば山となる」 李 春利
ゼミ論集第3号は10本からのレポートからなっており、中国と地政学的・歴史的・政治的・経済的にかかわりの深い国と地域を取りあげた。すなわち、日本、アメリカ、ロシア、朝鮮半島、台湾、イギリスと香港、インドシナ半島と東南アジア、インドとパキスタン次大陸、ヨーロッパ大陸とシルクロード関係諸国である。
これは実に大変な作業だった。まず、なによりも国と地域によっては文献資料が大変乏しいという壁にぶつかった。中日、中米、中露、中台、中英、中国と朝鮮半島についてはまだそれなりに文献があったが、中国とインドシナ半島・東南アジア、インド・パキスタン、ヨーロッパ大陸、シルクロード関係諸国に関する文献、とりわけ日本語文献の乏しさに泣かされた。このようにして、「自主的な課題研究」の形で10本のレポートが完成され、著者たちがゼミでそれぞれ自分のレポートを発表した。実際のところ、二国間関係をベースにしたレポートに登場してきたスト-リ-が相互に交差し連動しており、グローバル規模の気宇壮大な現代中国論の全体像が見えてきたのである。「塵も積もれば山となる」とはこのことなのか。
1.「中国とインドシナ半島・東南アジア諸国」 (98E2554 沈
旭)
東南アジアは、ひとつの未完成な「地域」である。あらゆる「地域」が、それをそうと認識するものの政治的な権力的思考の所産賭して区画されがちだが、東南アジア地域もその例外ではない。
2.「中国とインド・パキスタンの関係」 (98E2553 斉 宇)
中国とインド、パキスタンの関係といえば、大体戦後の50年間の出来事と指すものであろう。中国とインド、パキスタンの関係はいよいよ幕を閉じようとしている。
3.「中国とシルクロード:中国の歴史と現在と過去を結ぶ大道」 (98E2464 篠塚 正)
シルクロードとは何のことを指すのか。その歴史は約5000年にも前にさかのぼり、殷、周(約3000年前)の時代にはすでに室内で山蚕を飼い、あざやかな刺繍をほどこした美しい絹織物を織っていた。この美しい絹織物は、中央アジア、そしてギリシャ、ローマに運ばれ、大いに珍重された。
4.「中国とヨーロッパ大陸:帝国主義の犠牲となった国」 (98E2520清水秀和)
今、改革開放路線によりめざましく発展している中国だが、過去には苦汁を飲まされていた日々があった。中国は長い間帝国主義の犠牲となってきた。
5.「中国とイギリス・香港:香港返還を通しての英中関係」 (98E2428 石田 和誉)
香港は、1842年アヘン戦争の結果として英国に割譲された。香港はなぜ返還されなくてはいけなかったのか。その租借期限が1997年に切れるということなのだが、100年の間に都市としての香港は大きな成長を遂げ、九龍を返還してしまうと、香港は成り立たなくなってしまうのである。
6.「台湾と中国大陸の関係:台湾のニューリーダーの素顔」 (98E2459 南 亮平)
陳水扁は初の国民党以外の政党からの総統なだけに乗り越えなければいけない壁やいくつもの難しい判断が迫られる政治家であると感じた。
7.「中国と日本:21世紀真の友好到来を願って~19.20世紀を振り返る」 (98E2444京角理恵)
日本にとって中国はお隣の国であり、日本が最も影響を受けてきた国である。日本が初めて中国から影響を受けたのは、紀元前3~2世紀ごろに稲作が伝わったというところまでさかのぼる。
8.「中国と朝鮮半島:“分断”という名の大きな傷を抱える朝鮮半島。そして今、統一に向けての第一歩を歩みだした」(98E2245 野々村由里)
“朝鮮半島でなにがおこったのか”いつの時代もこの事を語る上で、中国の存在を無視することはできない。しかし近年その友好関係は、南側である韓国を含む周辺諸国の変化と共に少しずつ変わってきている。
9.「中国とアメリカの関係:歩み寄る超大国の未来への展望」 (98E2309 肥田 佳子)
戦争の傷跡が残る南京や平頂山では、おびただしい遺骨を目の当たりにして言葉を失い、過去に起こった「現実」を受け止めることができなかった。しかし、平和を願うものほど、戦争の傷跡を知らねばならぬと書かれた石碑を見た時、現実を受け止めなければいけないと思った。
10.「中国とロシア:友好~対決~和解、そして、新・蜜月時代へ」(98E2405斧研貴子)
中国とロシアは、東北に黒竜江(アムール河)、東にウスリー江を国境としていて、古くから国境問題の絶えない隣接国である。また両国は、社会主義国として共通点を持っている。
ゼミ論集第4号 気がつけば中国は世界の工場
~中国WTO加盟記念号~ 2002年1月1日発行
2001年12月11日、中国は143番目の加盟国として正式に世界貿易機関に加盟し、15年にわたるマラソン交渉に終止符を打った。中国のWTO加盟を、1949年の毛沢東の新中国建国、1978年の鄧小平の改革開放と並んで、第3の革命ととらえる説もある。「世界の工場」になりつつある中国経済の現状を浮き彫りにするために、論集第4号は「政策編・産業編・企業編・産業発展の負の側面」といった4編から構成されている。
最後に、中国が「世界の工場」に変貌していく過程において、「産業発展の負の側面」として、中国の環境問題およびエネルギー問題を取り上げ、日本を含めた先進国の二の舞を踏まないでほしいという願いを込めて、論集を締めくくった。(李春利「巻頭によせて:贈る言葉」より抜粋)
☆第1部 政策篇☆
第1章 「中国の外貨政策と経済開放」 (99E2559 杜
麗君)
過去20年間における中国の躍進には目覚しいものがあり、日本だけでなく、韓国、台湾といったアジアの先進国が中国に急速に足元を脅かされている状況です。WTOに加盟された後、中国が世界における工業農業生産の中心的基地のひとつとして、本格的にその地位を獲得したと言えるのではないでしょうか。
2.「中国のWTO加盟:21世紀のチャンスとチャレンジ」 (99E2561 馬 麗梅)
2001年12月11日、中国は143番目の加盟国として正式に世界貿易機関に加盟し、15年にわたるマラソン交渉に終止符を打った。中国のWTO加盟を、1949年の毛沢東の新中国建国、1978年の鄧小平の改革開放と並んで、第3の革命ととらえる説もある。
☆第2部 産業篇☆
3.「中国のIT産業:現状と将来展望について」 (99E2053 稲田和典)
インターネット、携帯電話、ソフトウェアなどどれをとっても急速な発展を遂げている。またさらに第10次5ヵ年計画によって具体的な指標をだし、さらなる発展に向けて中国はこれからも今まで以上に突き進んでいく。
4.「中国のコンピュータ産業:国際競争を意識する中国」 (99E2539 柘植聖子)
中国でコンピュータ産業は支柱産業であるにもかかわらず、日本ではあまり研究されていないからか、資料集めに苦労した。発展途上である中国だが、コンピュータ産業の位置は米国、日本に続いて第3位となっている。
5. 「中国の携帯電話産業:世界の注目を集める中国携帯市場」 (99E2361 万代 真理子)
6.「中国の電気・電子産業:高まる中国の存在感~WTO加盟」 (99E2485 山口 征士)
半導体産業はまだ産業の歴史のなかでは非常に若い産業であるが、情報通信時代に突入した今日ではますますその重要性が認識されている。
7.「中国自動車産業:巨大市場中国のモータリゼーション」 (99E2027 堤
竜也)
中国の大手自動車メーカーは、WTO加盟後の国際競争に対処するには、海外自動車メーカーとのとの提携強化は不可欠なものである。中国の自動車産業の有力各社には外国メーカーが密接に関わっている。
8.「中国の繊維産業:繊維産業の拡大とWTO加盟」 (99E2459 山本 智)
繊維大国と呼ばれているが、中国の繊維産業はまだ発展途上の段階である。中国は他の加盟国に繊維セーフガードという重いハンデを背負っての加盟であるため発動期間内の発展はそれほど期待できないため、セーフガードの発動期間が失効する2009年以降の中国繊維産業の発展を期待したい。
☆第3部 企業篇☆
9.「ユニクロ:大躍進の強さを支えるユニクロ方式」 (99E2274 石川顕憲)
ユニクロについて調べていくうちにこの強さの根本には中国との付き合い方というのが大きいということがわかった。
10.「松下電器産業:21世紀の松下、そして中国における事業の展開(99E2563 王蓓蓓)
松下は1918年に創業して以来、成功の評価を得てきた。21世紀は技術大進化の世紀である。多様な価値観やニーズを持つ個人を結ぶ社会である。
11.「トヨタ自動車と中国について」 (99E2362 米山英昭)
トヨタにとって中国は、今後のトヨタを左右するほど重要な市場であるが、まだあまり成果をあげておらず、中国市場参入も大きく出遅れた。これからトヨタが世界の工場中国をどのように使いこなすか注目していきたい。
☆第4部 産業発展の負の側面☆
12.「中国の環境問題:中国の大気汚染」 (99E2562 劉
鉄安)
中国に進出している企業が自国と同じ様な環境対策を行えば、中国の企業も、自分達の成すべき道のモデルを、容易に理解する事ができ,中国の環境保全の風土作りにも役立つに違いない。中国の難しさは、発展と同時に環境保護も達成しなければならない。
13.「中国のエネルギー問題:中国の石油産業を中心に」 (98E2109 白井慎也)
中国が高度成長をするためにはかなりの障害になるということである。この問題を解決しなければ、中国の今後の成長は当分見込めないであろう。