2022.08.01

『大学生の皆さん、HPVワクチンを打ってがんを予防しよう!』

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染する一般的なウイルスです。HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を接種すると子宮頸がんの原因の5070%が防げるだけでなく、諸外国の報告からは、子宮頸がんそのものを予防する効果がありそうです。

 

 200912月に開始されて20134月に定期接種となりましたが、安全性の懸念が生じたために2013年6月から積極的な勧奨が差し控えられていました。さまざまな調査の結果、2022年4月からは積極的な勧奨が再開されています。予防できる数少ないがんであること、比較的若い女性にもみられて人生に多大な負担をもたらすことから、多くの医療従事者は定期接種の再開を待ち望んでいました。費用負担なく接種を受けられる対象は小学校6年生から高校1年生の女性ですが、接種機会を逃した199742日〜200641日生まれ(2013年から2022年の間に小学校6年生から高校1年生)の女性は今なら費用負担なく接種できます。まさに大学生年代の皆さんが対象!ということで、ぜひぜひ接種をご検討ください。

 

 なお、HPVは肛門やのどなど男性もかかりうるがんの発生にも関わるため、費用負担があるものの、男性でもこのワクチンを打つメリットはあります。

 

詳しくは厚生労働省のページをご覧ください↓

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

 

名古屋学生相談室 石塚 佳奈子

 

 

 

 

2022.07.25

『溶かされる時間と溶かす時間』

 

大学生の多くは、SNSからエンドレスでおすすめされる短い動画のせいで「時間が溶けている」(正確には溶かされている)。気持ちはわからんでもない。面白そうなサムネイルをクリックしたら最後、確実に面白い動画をすすめてくる。心の通じ合った親友のようによくわかっている。。。特にネコが映ったサムネイルは触っちゃいけない。あまりにもかわいい動物たちの映像が芋づる式に出てくる。

自分の学生時代の日々を考えると、SNSがなかったこともあり、このように受動的に時間が溶かされることはなかった。時間を溶かすには努力が必要だった (要するに暇すぎるということ)。例えば友人宅で映画を徹夜で見続けた。その結果、深夜のベンハーが苦行だということを知った。イージーライダーはかっこよかった。だからバイクに乗った。そしてバイクでたくさん徘徊したけれど、いつも特に目的地はないので、現在ではカーナビにほぼ出番を奪われた地図だけ持って出かけた。友人らと麻雀をして、負けたら88枚のカードから一枚引いて翌日に四国八十八カ所のどこかに出かける、という罰当たりな霊場ルーレットもした。時間に余裕があるので、好きでもないジャンルの音楽もとりあえずたくさん聴いてみた。それでも時間は簡単に溶けないので豚肉はできるだけ長い時間煮込んでみたりした。

時間を溶かす日々はあまり好きではなかったけれど、今考えるとその時溶かした時間は確実に現在の生活を豊かにしてくれている。映画と音楽は人並み以上には詳しくなったと思う。そのおかげで今、映画と音楽さえあれば、心を豊かにする時間を自ら作り出すことができる。みんなが使わない地図だって眺めているだけでワクワクできる。知らない場所の徘徊は、地形や歴史を知ることができるのでとても楽しい。振り返ってみれば、あの膨大な暇な時間がなければ、心を豊かにする術を持っていなかったと思う。そう考えると、ネット環境、特にSNSが充実しているこの時代に生まれていなくて本当に良かったと思う。そう思いつつも、今ではなかなかデジタルデトックスができない日々を送っている。

 

経営学部 古川 邦之

 

 

 

 

 

2022.07.07

『何かをしない理由』

 

何かをしない理由を考えることは、心(マインド)が進化の産物として獲得してきた働きの中でも得意とすることだ。臨床行動分析という心理学の分野では、このマインドの働きは、関係フレームづけという枠組みで分析されている。私自身、2016年の相談室だよりでは、階段昇降と題して「大学では(運動のため)基本的に階段を使っている」と書いたのだが、維持できているかと尋ねられたら、「ノー」のときも結構ある。階段 or エレベーター?という選択肢を前に、「疲れてるし」、「暑いし」、「荷物あるし」、「雨降ってるし」、「エレベーターちょうど来てたし」、「今はいいや」...とマインドは階段を上らない理由を次から次へと生成してくれる。そんなときに使える行動療法のエクササイズに、「考えを眺めるように見る」というものがある。何をするかというと、マインドが生み出す理由を、「こういう考えが今、浮かんでいるなあ」とモニタリングするのである。「考えと距離をとる」という表現も使われ、理由に流されたり、飲み込まれたりせずに、自分の価値にそった行動をすることを促すものだ。そこで、エクササイズを実践してみた。ついでに、あえてマインドに理由を生み出させると、よどみなく浮かんできて、少し可笑しく感じられた。時間にして数秒、その働きを観察したら、よし、上ろうと階段を使う行動に向かうことができた。このエクササイズがいつも効果的とは限らないが、普段あまり意識しないマインドの働きを観察することは、じっとしていてもできるので、暑くて何もしたくないというときには、試してみてもよいと思う。もちろん、熱中症対策は十分に、みなさん、よい夏をお過ごしください。

 

文学部 吉岡 昌子

 

 

 

2022.07.04

            『その「正義」、ちょっと待って!』

 

ロシアによるウクライナ侵攻、なかなか出口が見えませんね。今回の侵攻で明らかになったのは、「どんな無茶な主張であっても、「正義」を標榜することは可能であるし、それを信じる人たちも一定数存在する」ということではないしょうか。実はこれ、歴史学からすれば常識ですが・・・

 大学で学ぶことができる最も大きな部分は、「すべてを相対的に考えることができるようになること」であると考えています。学問を進めていけば行くほど、「絶対にこうであったはずだ」とか「絶対にこうであるべきだ」といった考え方は、疑わしくなっていきます。むしろ「絶対にXXだ!」なんて主張する人がいたら、大学教育をシッカリと受けた人間は、眉にシッカリと唾を塗り込んで、怪しむべきでしょうね。

 一時期、「コロナ警察」なんて人たちも登場しました。この人たちは、自分の「正義」にもとづいて、必ずしも科学的に正しいわけでもない言説や行動を他者に強要することから、社会に軋轢をもたらしました。私も、通勤電車内で、「コロナ警察」のオッサンに、近くの席に座ったことを怒られ、耳元で15分にわたって怒鳴られ続けたことがあります。最初は笑顔で対応してたけど、オッサンは会話がしたいわけではなく一方的に怒鳴るだけなんで、結局、無視しました。何回かオッサンには言ったんだけど(理解はしてもらえなかったんだけど)、「2メートルちょいの位置に座られることより、耳元で怒鳴られることの方が感染のリスクは遥かに高いんだよ!」っつーの!

 臨床心理学では、様々な困難な状況に直面した際に、それを跳ね返す復元力や回復力を意味する「レジリエンス」が注目されていますが、「レジリエンス」を持つためには、柔軟な認知ができることが重要と考えられています。

 我々は、生きている間、様々な困難な状況に直面していくことになります。これは、人生においては避けられないことです。であれば、なるべくダメージを受けずに、困難な状況にしなやかに対応していきたいではありませんか。そんなとき、「これしか正義はない! 私(と私に同調する者)だけが正しいのだ! 私と意見が違う人は、全員間違っている!」という硬直した考え方は、社会に軋轢を生じさせるとともに、自分も生きづらくさせてしまいます。常に様々なことを相対化させ、柔軟に考えながら対処していきたいものですね。

 

付記:レジリエンスについては、愛知大学図書館にも次の本があります。参考にしてみてね!

小塩真司・平野真理・上野雄己編著(2021)『レジリエンスの心理学 : 社会をよりよく生きるために』金子書房

 

国際コミュニケーション学部 加納 寛

 

 

 

2022.05.02

『はじめまして橋亜希です』

 

4月から車道キャンパスの学生相談室を担当することになりました橋亜希(よく漢字を間違えられます。英語hope,西語esperanza)です。私は高校生の時にアメリカのミシガン州に留学しました。二十代は、“自分らしさとは”、“自分とは何か”が知りたくて、働いてお金を貯めては、いろいろな国を旅しました。大きな回り道をして、三十代で臨床心理士になりました。まっすぐに進まずに寄り道したからこその出会いや学び、たくさんの良いこともありましたが、もっと生きやすい道があったのではと思う時もあります。でも、思春期や青年期にしっかりといろいろ悩んだことがいまの研究につながりました。私は最近テレビでも取り上げられたHighly Sensitive PersonHSP:とても敏感な人)という、「生まれつき感覚が敏感で、些細な刺激に気づき、刺激に圧倒されやすく、空気が読めすぎてしまったりして疲れやすく、人口の15%くらい存在する生きづらい人」の研究をしています。障害ではないため、生きづらさに診断名はつかないためにしんどい思いをしている人がいたら、自分ひとりではないことを知ってください。興味がある人はいつでも相談室に来てください。

 発達心理学者のエリクソンは、進路や人間関係などさまざまな問題に直面し、失敗や挫折を繰り返して、「自分とはどんな存在か」に対する答えをみつけていく十代から二十代の初めの期間を「モラトリアム(猶予期間)」と呼びました。自分のことを考え、悩むことは次の段階へ進むために大切なことです。

 私が「臨床心理士です」と言うと『心が読めますか?』と訊かれることがありますが、残念ながら読めません。でも心について一緒に考えることはできます。ひとりで考えていて苦しくなった時、学内に心理士がいることを思い出してください。私たち臨床心理士(公認心理師)には守秘義務がありますので安心して予約をしてください。

 

車道学生相談室 橋 亜希

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