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2023.12.12 『他人の行動をどう動かすか?デザインと教育から考える』 この前、デザインの専門家の話を聞く機会があったんです。例えば、手洗い、石鹸、乾燥機能が一緒になってる洗面所の話。この一体型のおかげで、移動せずにすべて済ませられて、水しぶきも少ないし、掃除も楽で、結果的に洗面所がキレイに保てるんです。単に「水を飛ばすな」と言うより、ずっと効果的ですよね。 電車の駅でよく聞く「黄色い線の内側を歩いて」というアナウンスもそう。混んでるときは線の外に出ちゃうし、たまに線路に落ちる人もいますよね。でも、ホームドアがあれば、そういう危険がぐっと減るし、駅員さんも他のことに集中できる。注意を促すより、よっぽど安全です。 それで、私、特別支援教育概論の講義をしているんですけど、特別支援の対象って障害のある子だけじゃなくて、実はみんななんですよ。だって、誰にだって困りごとはあるわけですから。子どもたちに「ちゃんとして」とか「頑張れ」と言うだけじゃ意味がない。どんな工夫をすれば、みんながもっと安心して快適に過ごせるかを考えた方が、人間関係のストレスも少しは減るかもしれませんね。 注 この文章は、私が作成した文章をChatGPT 4が「口語的に」改訂したものです。どんな印象を受けましたか? 名古屋学生相談室 石塚 |
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2023.12.08 『相談室から見る就活〜荒療治〜』 ここ数年、就活もそれほど悪くないものだと感じることが何度かあったので、少しシェアさせていただきたいと思います。 本学の就職支援の相談窓口には、しっかりとした「キャリア支援センター」があり、専門のアドバイザーの方々が相談にのっていますが、相談室はその「前段階」として利用されることがあります。きっかけは、低年次からのお付き合いだったり、健康診断からだったり、今まさに“就活が不安になって”とか“息詰まって”ということだったりいろいろです。また、何も就活が進んでいないので、直球でキャリア支援センターに相談すると、「怒られるのでは」と心配され、様子見で相談室に立ち寄る場合もあります(実際はそのようなことはありませんよ笑)。 最近は、低年次のキャリア教育が重視されており、皆さん入学直後から就職を非常に意識されていますが、その分、その焦りも相当なものだと思います。自己分析をやればやるほど、「他に自分よりもっとできる人なんてたくさんいるし…」と思って自己嫌悪になってしまったり、劣等感にさいなまれて、考えるのも嫌になって他事をして気を紛らわせたくなります。そもそも大学生活は、就活以外に学業やバイトや交友関係など、やることや考えることがたくさんありすぎます。そして、あっという間に3年生後半になり、「就活」というワードが待ったなしの切迫感を持って迫ってきて、もうどうして良いかわからずパニック状態になります。 就活とは、ほとんどの学生にとって、逃げ出したくなるほど嫌なものではないでしょうか。ましてや今の時代は「そんな完璧な人間どこにいるの?」というくらい、いろいろなものが求められているように感じて、「自分は社会不適合なのではないか」とか、「自分なんか採用してもらえるはずがない」と思ってしまうのも無理もありません。 でも実際に行動してみることができれば、意外と辛いことばかりではなくて…といっても、やはり相当に辛くて、なかなか面接が通らなかったり、せっかく最終面接まで行ったのに落とされたりしたときにはもう立ち直れないくらいのショックです。でもそのあたりの「底」をしっかり味わっていくと、学生さんの中の何かが変わっていきます。これまで外側からの情報や動機付けで「やらなきゃいけないから仕方なくやっていた就活」が、内側からのものとなり、「自分が社会に出るためにはこれが必要だ」という個々の何かが見えてくるようです。それは資格の取得であることもありますが、もっと精神的なものだったりもします。実際の就活と今の自分に足りないものを補うための活動を並行していくのは本当に大変なのですが、なぜか皆さんイキイキし始めます。「動けていなかった時よりも進歩している」と手ごたえが感じられたり、「この会社に受からなかったのは、自分とは合わなかっただけだ」と強がりではなく、実感として感じられたり。その中で「自分のここが弱みだ」と痛いほどわかるけれど、「でも自分のこういうところは悪くない」とか、「前より凹まなくなった」とか、「自分のすべてを変えなくても良いと思えるようになった」というような、自分に対するOKの感情が湧いてくるように思います。あと一歩のところでまた落とされて、どん底も味わうけれど、「まだ修業が足りなかったんだな」と再度立ち上がる姿は、神々しいほどです。どうしてこんなに頑張っているのに、もうそこまで来ているのに、受からないのだろう…とこちらも思うのですが、そのあたりで、学生さんの内面的にも、発言にも、佇まいも顕著な変化がみられて、ついに採用されるという瞬間が訪れます。皆さん、「もう二度と就活なんてしたくない」とは口ではおっしゃいますが、「でもおかげで成長ができた」とすがすがしい表情です。 時には、納得のいく結果が出るのは、在学中ではないかもしれませんし、いわゆるそのゴールは「就職」という形ではないかもしれません。客観的にはどのような状態でも、主観的に「なんとなく今の自分にOKが出せるようになれた」という瞬間に立ち会えた時、個人的にこれほど嬉しいことはありません。荒療治ですが、その境地にたどり着かせてくれる就活は、それほど悪いものでもないかもしれないな、とも思うのです。 でもくれぐれもその山を一人で乗り越えようとしないでください。中には精神的に本当に辛くて、頑張りたいのに頑張れないという学生さんも多くいるでしょう。ありとあらゆる資源を活用して、時には逃げながら、寄り道しながら、休憩しながら、戻りながら、自分のペース配分をしっかり見極めて、できれば一緒に歩んでくれる誰かを見つけて、自分だけのゴールを見つけられたら…と思います。 名古屋学生相談室 五藤 |
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2023.08.04 『自閉スペクトラム症の女子学生』 最近、「大人の発達障害」という言葉を見たり、聞いたりすることが増えました。これまで頻繁に呼称が変わっていますので、整理したいと思います。医学的な診断基準であるICDやDSMの名称変更によって「発達障害(developmental disorder」は「神経発達症(neurodevelopmental
disorders)」になりました。そしてアスペルガー障害はこの神経発達症の中にある「自閉スペクトラム症(autism
spectrum disorder:ASD)」に入りました。英語の頭文字をとってASD(エイエスディ)と呼ばれます。これまで自閉症、広汎性発達障害、高機能自閉症、アスペルガー症候群などと呼ばれていた疾患は、自閉症状の特性がスペクトラムの中のどこかにあると考えてひとつにまとまりました。 ASDの数は男子4に対して女子1と言われていますが、最近はASDの特性を持っている女子学生に出会うことが増えてきました。カウンセリングには、気分の落ち込み、強い不安、摂食障害や自傷行為など様々な身体的な不調を訴えてきますが、診断を受けていることは稀です。彼女たちの
“しんどさ”や“生きづらさ”は、ASDを持たない学生とは何か違うように感じます。診断基準には中核症状と呼ばれるかならず現れる症状が二つあります。一つ目が「対人関係の困難さ」で、もう一つは「限定的・反復的な行動」です。そのほかの症状には、感覚の過敏性、気持ちのコントロールが難しい、睡眠の問題、不器用さ、ADHDや学習障害などがあります。背景にASDがあると仮定して話を聴いていくと、幼少時からの特徴的なエピソードが出てくることがよくあります。 彼女たちは社会に適合するために自分を周りの人になじむように「カモフラージュ」をしていることがあります。誰かの言葉をそっくり真似た表情や仕草をしたり、フレーズを丸暗記して使ったり、みんながなぜ笑っているかわからないけど周りに合わせて笑うというような相手の喜ぶ行動を優先することで受け入れられるようにしているかもしれません。おとなしいタイプの場合、問題にならないまま、“ちょっと変わっている”程度で成長してきている可能性もあります。タイプが何でも“普通”にしようと過剰に適応しようと頑張った結果、不適応になってしまうこともあります。 大学生までは何とかできても社会に出てから苦労するかもしれません。大学生のうちに他者とのコミュニケーションや自分の特性を知ることができれば、卒業後に長く続く人生で自立した生活を続けられる可能性が高くなります。できないこと、苦手なことをできるようになるのではなく、好きなことや得意なことを活かせるように支えていく。学生の問題の背後に発達の障害があるならば、特性の気づきを促したり、本人が希望すれば診断を受けられる医療機関の受診を勧めることも学生相談室として必要だと考えています。そして、就労へとつなげていくことになります。自分は周りの人と何か違うなと感じ続けていたら学生相談室でお話してみませんか。 車道学生相談室 橋亜希 |
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