徐璣 Xu Ji (南宋)
新涼 徐璣
水満田疇稲葉斉 水 田疇に満ちて 稲葉 斉し
日光穿樹暁煙低 日光 樹を穿ちて 暁煙 低し
黄鶯也愛新涼好 黄鶯も也た愛す 新涼の好しきを
飛過青山影裏啼 飛びて青山を過ぎ 影裏に啼く
〔詩形〕七言絶句。 〔韻字〕斉、低、啼(上平八斉)。
○新涼 夏の後で、はじめて訪れた涼しさ。
○田疇 田んぼ。
○稲葉斉 稲の葉が、きれいに生えそろっている。「斉」は、整っているさま。
○日光穿樹 日光が、樹木の間から差し込んで来ること。
○黄鶯 鳥の名。和名コウライウグイス。
《初秋の涼しさ》
水は田んぼに満ち、稲の葉はきれいに生えそろっている。
日の光は樹木の間から差し込み、朝もやが低くたれ込めている。
コウライウグイスも、このすばらしい初秋の涼しさを好ましく感じたのだろう。
青々と樹木の茂る山を飛び過ぎて、涼しい木陰で鳴いている。
秋のはじめのさわやかさを、よくとらえて表現しています。この詩は『宋詩選注』に収録されています。