宋詩の大まかな流れ
1 北宋初期
五代の動乱がようやく終息。平和と安定が回復。宋代の詩風は未確立。この時期の代表的な作者として、「白体」の王禹偁、「晩唐体」の林逋など。また楊億らによる李商隠の摸倣「西崑体」が流行。
2 北宋中期
北宋の最盛期。宋代らしい詩風が確立し、大家が輩出。欧陽修(酔翁)。梅堯臣、蘇舜欽は「蘇梅」と併称。王安石(半山)。蘇軾(東坡)、黄庭堅(山谷)は「蘇黄」と併称。蘇軾は、北宋ひいては宋代を代表する最大の大家。その門下を「蘇門」といい、黄庭堅、秦観、晁補之、張耒は「蘇門四学士」と呼ばれる。
3 北宋後期
「江西詩派」の時代。文学の形式化、硬直化が進み、「換骨奪胎」が盛行。黄庭堅、陳師道(後山)。「黄陳」と併称。その追随者たち多数。
4 南宋初期
「靖康の変」で北宋が滅亡、時代の大転換。詩風も理知から抒情へと大きく回帰。陳与義(簡斎)は北宋から南宋への過渡期の代表的詩人。江西詩派に数えられるが、黄陳とは一線を画する。同時期の詩人として、他に曽幾、呂本中など。曽幾は陸游の師。
5 南宋中期
ともかくも安定が回復し、経済も発展。中興の時代。「中興四大家」は、陸游(放翁)、范成大(石湖)、楊万里(誠斎)、尤袤。陸游は南宋最大の大家で、北宋の蘇軾と「蘇陸」と併称され、また「愛国詩人」とも呼ばれる。
6 南宋後期
経済の発展に伴い、作詩人口が増加。「江湖派」と呼ばれる民間詩人たちが活躍。その先駆的存在として、永嘉の四霊(徐照、徐璣、翁巻、趙師秀)、姜夔など。「江湖派」の代表的作者として、戴復古、劉克荘、葉紹翁など。
7 南宋末期~元初
宋王朝の滅亡に殉じた(もしくは節義を守った)、「遺民」と呼ばれる一群の詩人たち。「正気の歌」で知られる文天祥はその代表。他に林景熙、謝枋得、謝翺、汪元量、鄭思肖など。