柳開 Liu Kai (五代~北宋)
塞上 鳴骹直上一千尺 天静無風声更乾 天 静かに 風 無く 声 碧眼胡児三百騎 尽提金勒向雲看 〔詩形〕七言絶句 〔韻字〕乾、看(上平声・寒韻) |
○塞上 「塞上の曲」とするテキストもある。
○鳴骹 音をたてて飛ぶ矢。かぶら矢。
○一千尺 大変高いことの形容。「幾千尺」とするテキストもある。
○更 さらに。より一層。
○碧眼 青い目。
○胡児 当時の中国の西北に生息する少数民族に対する呼称。日本語では、えびす。
○騎 騎兵。騎馬武者。
○提 手で引きしめる。
○金勒 金属製の馬のくつわ。
《辺境のとりでの近くで》
かぶら矢がどこまでもまっすぐに、一千尺の高さにまで上ってゆく。
空は静かで風もなく、その音は一層かわいて聞こえる。
青い目をしたえびすの若武者が三百騎、
誰もがみな金属製の馬のくつわを引きしめ、雲の彼方を眺めやる。
まるで時代映画の1シーンのような作品。大空の彼方へと、うなり声をあげながら飛んで行く1本のかぶら矢。それを見あげる大勢の騎馬武者たち。辺境の情景が、生き生きとうたわれています。