中国のエネルギー問題

~石油・石炭と新エネルギー~

                  04E2125 松井淳哉

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1978年代から行われた小平の「改革・開放」政策のため、経済の改革開放が進んだ。経済政策の方針を、市場経済原理による資本主義体制を大幅に取り入れたものに転換した結果「世界の工場」と呼ばれるほど経済は急成長した。特に沿海部の経済開放地区を中心に長い成長過程に入り、経済成長を持続している。そして数億の中国人民が貧困から脱出することに成功したが、豊かになったことで自動車などが普及しエネルギー需要の大幅な拡大が起こったのである。
そこで第1章では中国国内のエネルギー事情について考察した。経済が活発になったため国内のエネルギー生産だけでは追いつかず、特に石油不足が発生したのである。中国は石炭を中心に活用しているが、石油の消費量も年々増加している。この章では特に石油の重要性についてまとめた。
第2章では、中国の石油戦略について考察した。中国は急速な経済発展を続けている。その発展し続けている経済によりエネルギー需要、特に石油の需要を増やし、エネルギー面での脆弱性を高めることになった。この章では、中国が直面している石油問題とその対策について取り上げた。
第3章では、日中の技術協力について考察した。近年の日中関係は、政治的問題が多く不安定である。しかしエネルギー問題は日中両国にとって現に生じている共通の課題であり、その解決は両国にとって重要なことである。特に第2章で取り上げた石油問題解決のため中国で豊富に採れる石炭を利用した技術を例に、日中の技術協力についてまとめた。
第4章では、エネルギー構造の転換へ挑戦する中国について取り上げた。
中国は国土が広く開発可能なエネルギー源が、数多くある。そこで雲南省の開発を事例に、その他のエネルギーの開発とそれを利用したことによるエネルギー構造の転換の可能性を原子力利用も含め広く調査した。


目次
第1章 中国のエネルギー需給構造
1-1 逼迫するエネルギー事情
1-2 中国の電力事情
1-3 石油輸入の急拡大と石炭依存の継続
1-4 一人当たりのエネルギー利用
第2章 中国の石油戦略
 2-1 中国の石油生産
2-2 中国の石油備蓄計画
2-3「中国海洋石油」CNOOCの買収攻勢
2-4 アメリカ、日本への軋轢
2-5 中国海洋石油、米ユノカルの買収提案を撤回

第3章 石炭利用と石油代替技術
 3-1 地域別エネルギー利用
3-2 日中のエネルギー技術協力
3-3 石油代替技術の導入
3-4 石炭利用の問題点

第4章 エネルギー構造の転換への挑戦
4-1-1 中国の国内開発
4-1-2 西部大開発
4-2-1 事例研究:雲南省
4-2-2 クリーンエネルギー産業
4-3-1 原子力利用へのシフト
4-3-2 世界の原発と中国
4-3-3 原子力発電の利点と問題点
むすび
参考文献