鉄鋼業のグローバル大再編
~M&Aの奔流とサバイバル時代の到来~
04E2091 佐野 文哉
鉄鋼業では2006年ごろからグローバル再編が活発化してきている。その1番の原因は何といってもアルセロール・ミタルの誕生である。第1章ではこのアルセロール・ミタルの誕生について取り上げた。鉄鋼世界最大手のミタル・スチール(オランダ)が同2位のアルセロール(ルクセンブルク)を買収したことによって誕生したアルセロール・ミタル。このアルセロール・ミタルに対抗しようと、世界中の鉄鋼メーカーが再編に乗り出した。また第1章では日中以外でのグローバル再編の例として、インドの鉄鋼大手のタタ製鉄による欧州鉄鋼大手の英蘭コーラスの買収をとりあげた。
第2章では第1章で取り上げたアルセロール・ミタルに対する日中の大手鉄鋼メーカー、日本第1位の新日本製鉄、日本第2位のJFEスチール、中国第1位の宝山鋼鉄の三社の動向について取り上げた。アルセロール・ミタル誕生によって世界中にグローバル再編の波が押し寄せた。それは日中を含むアジア鉄鋼業も例外ではなく、むしろその影響は他の地域よりも強いように思われる。各国の鉄鋼メーカーと行われる合併や業務提携などは目まぐるしく、まさに「鉄鋼業のグローバル大再編」の言葉が当てはまる。
第3章では鉄鋼業のグローバル再編が日中鉄鋼業に与えた影響について考察した。鉄鋼業の再編は世界規模だけではなく日中両国内でも活発に行われた。さらに鉄鋼業のグローバル再編が与えた影響は、鉄鋼の生産・輸出量、大手鉄鋼メーカーにおける賃金、鉄鋼メーカーの格付けの変化など、様々の方面に見られる。
最後にまとめとしてこの論文を書いた感想や、鉄鋼業のグローバル再編についての今後の展望や期待を述べた。
目次
はじめに
第1章 鉄鋼業のグローバル再編
1-1 アルセロール・ミタルの誕生
1-2 その他企業の再編
第2章 日中の大手鉄鋼メーカーの動向
① 新日本製鉄
①-1 韓国「ポスコ」との資本・業務提携
①―2 ブラジル「ウジミナス」への出資
①―3 インド「タタ製鉄」との提携
①―4 ミタル・スチールとの関係
② JFEスチール
②-1 中国「広州鋼鉄」との高炉、新工場建設
②-2 韓国「東国製鋼」との資本・業務提携
②-3 ブラジル資源大手「リオドセ」との米建築材合弁増強
②-4 ドイツ「ティッセン・クルップ」との関係
②-4-1 合弁会社の設立
②-4-2 委託生産の開始
③ 宝山鋼鉄
③-1 日本「新日鉄」との関係
③-2 ブラジル資源大手「リオドセ」との製鉄所建設
③-3 日本郵便との関係
③-4 その他の動向
第3章 鉄鋼のグローバル再編が日中鉄鋼業に与えた影響
3-1 日本鉄鋼業への影響
3-1-① 国内における再編
①-1 新日鉄、三菱重工業、JFEスチールによる橋梁交渉
①-2 新日鉄による電炉業界の再編
①-3 新日鉄、住友金属工業、神戸製鋼所の3社提携
①-4 JFEスチールと三井物産による中国合金新会社の共同建設
3-1-② 日本の鉄鋼の生産、輸出量や鉄鋼業界の賃金などに与えた影響
3-1-③ 鉄鋼大手に対する格付けの変化
3-2 中国鉄鋼業への影響
3-2-① 中国国内における再編
3-2-② その他
むすび