日中の携帯電話産業

DSC01820                                         04E2210 小川 秀司

現在、携帯電話は世界中の国々で現代人の手放せないツールとして大きな役割を担っている。この日本においてもそれは同じことであり、携帯電話が手元にないと不安に陥る人々さえいるくらいである。世界の中でも日本の技術力は屈指のものであり、この数年間の間だけでもかなりの進化を遂げている。そして日本と、お隣の国である中国もまたここ数年の間に劇的な進化を遂げ、技術力は日本に及ばないにしろ、世界の工場・世界の市場という確固たる地位を築いている。この論文では、そんな日本と中国の携帯電話産業につて多角的な視点から比較していこうと考えている。キーワードは違いである。
まず、第1章では日本と中国それぞれの通信キャリア・端末メーカーについてのシェアの比較、生産基地としての中国をとりあげるとともに、日本と中国の市場規模についても比較する。
次に、第2章では日本と中国の携帯電話端末における開発から生産、そして流通構造について比較をする。日本と中国では開発・生産・流通のほとんどにおいて、多くの違いがありその違いについて多方面の視点から比較していく。
そして、第3章では日本と中国の通信規格・通信方式の違いについて比較する。日本と中国の3G(用語解説1)に対する取り組みとともに、日本が PDC方式(用語解説2)による失敗でなにを学びそこからどのような教訓を得たのか。そして、中国における独自の第3世代TD-SCDMA方式(用語解説3)について、開発から今日に至るまでの経緯、このサービスが開始されることによる中国携帯電話端末メーカーへの影響はどのようなものなのかをみていく。
最後は第4章では中国における外国企業と国内企業の視点から、ノキア・サムスン・レノボについて述べ、そうした中国国内における外国企業と国内企業における競争とはいかなるものなのか、またそのような状況の中での日本企業とはどのような立場であるかを述べている。
そして、これまで第1章から第4章までの全体の流れの中で日本と中国におけるさまざまな違いを考え、全体のまとめとして述べる。

目次
はじめに
日中の通信キャリア・市場
1-1-1 日本における通信キャリア
1-1-2 日本における端末メーカーのシェア
1-2-1 中国における通信キャリア
1-2-2 中国における端末メーカーのシェア
1-3 生産基地としての中国
1-4 日中の市場規模
1-5 小結
携帯電話端末における日中比較-開発・生産・流通構造-
2-1-1 端末開発
2-1-2 部品開発
2-2 開発と生産における企業間分業
2-3-1 流通経路
2-3-2 小売店
2-4 小結
通信規格・通信方式
3-1 日本・中国それぞれの3Gへの取り組み
3-2 日本におけるPDC方式の教訓
3-3 中国独自の第3世代TD-SCDMA方式
3-4 TD-SCDMA方式をめぐる動き
3-5 TD-SCDMAサービス開始による端末メーカーへの影響
3-6 小結
中国における外国企業と国内企業の視点から
4-1 ノキア
4-2 サムスン
4-3 レノボ
4-4 中国国内における外国企業・国内企業の競争
4-5-1 中国における日本企業
4-5-2 日本メーカーの敗因
4-5-3 日本メーカー巻き返しはあるのか
4-6 小結

総括

むすび