日中のモータリゼーションと環境対策

 

DSC0049404E2181 岩田 悟志


 モータリゼーションは一種の豊かさの象徴と言える。自動車があればたいへん便利である。生活に余裕が出れば自動車を買い代えたり、高級車を購入したりするだろう。
だが、このような自動車の普及という裏側には、環境に大きなダメージを与える問題が存在しているということに注目する必要がある。人々の生活水準が上がることは良いことだが、豊かさだけを求めて環境を破壊するということはあってはならないからだ。
本文では中国、日本を中心としたモータリゼーションと、自動車の普及と環境の共存といった観点からクリーンエネルギー車を取り上げていく。
 第1章では中国のモータリゼーションと国内の状況について取り上げる。急激なモータリゼーションを迎えている中国だが、それは数字からみてもはっきりと見て取ることができる。経済発展とともに自動車市場も膨れ上がっている中国だが、そのしわ寄せが環境面にきているといっても過言ではない。中国国内の環境問題はもちろん自動車によるものだけではないが、深刻ともいえる大気汚染は自動車の排ガスによるものである。そこで本章では、中国のモータリゼーションが大気汚染など環境に与える影響と、その影響による国内の現状や対応を見ていく。また、海外メーカーが多く参入している中国自動車市場だが、その中で中国メーカーの取り組みや現状も取り上げていく。
 第2章では日本のモータリゼーションと日本メーカーの取り組みや動向について取り上げる。前章ではモータリゼーションによる環境問題の深刻さを取り上げたが、モータリゼーションがもたらす問題は環境面だけでなく安全面にも影響を及ぼす。自動車が増えるということは、それだけ交通渋滞や交通事故が増える可能性が高まるということになる。そこで、本章では安全面での実態とその対応策を述べていく。また、自動車先進国とも言える日本メーカーの環境を意識した開発や戦略を探っていく。現在では自動車=環境という等式が成り立つのではないかというほど自動車を生産するうえで環境というものは大きなテーマとなっている。このような状況で、日本メーカーがどのような技術や戦略を使って欧州市場や自動車新興国へ立ち向かっていったのかを見ていく。
 第3章ではクリーンエネルギー車について取り上げる。環境対策には様々なものが挙げられるが、最も効果的なことはこのクリーンエネルギー車が実用化・普及されることだという視点から述べていく。その中でも実用化されているハイブリッド車、ディーゼル車とまだ実用化はされていないが試験段階であり、今後期待される電気自動車と燃料電池車をピックアップしてまとめた。しかし、従来のガソリンエンジン車からクリーンエネルギー車にシフトチェンジすることは簡単なことではない。地球温暖化など環境問題に立ち向かうための手段としてこれらのクリーンエネルギー車というのは大いに求められている。本章では実用化・普及に向けての動きや課題を見ていく。

目次
はじめに
第1章 中国
1-1 急激なモータリゼーション
1-2 環境に与える影響
1-3 国内の現状と対応
1-4 中国車メーカー
小結
第2章 日本
2-1 モータリゼーションの経緯
2-2 モータリゼーションの影響
2-3 環境対策としての排ガス規制
2-4 日本メーカーのエコカー競争
2-5 自動車新興国への戦略
小結
第3章 クリーンエネルギー車
3-1 ハイブリッド車
3-2 ディーゼル車
3-3 電気自動車
3-4 燃料電池車
小結
むすび
用語解説