ポスト小泉におけるアジア外交の再構築

 

DSC0181704E2182 柳原 彰臣

 私が入学した2004年から卒業するまでの2008年の4年間の間に任期が4年間である内閣総理大臣が2人も入れ替わり、全部で3人の内閣総理大臣の政治を見ることができた。その経験を生かし、それぞれの首相を簡単ではあるが比較しつつ、自分なりの評価をこの論文に述べてみた。第1章では、外交への課題ということで最初にその期を終えた小泉首相が残した課題を中心に、ポスト小泉と呼ばれた安倍首相がどのようなことをしていかなければならなかったのか、また、自身がどのようなことを考えて行動したのかを考察する。とりわけ、小泉首相といえば、「靖国問題」があり、それにより大きく冷え切ったアジア外交を安倍首相がいかにして和らげ、解決に向かわせるかが焦点の的になる。また、未だに解決しきらない北朝鮮の拉致問題も安倍首相自身がどのように考え、解決に向かわせるのか考察した。第2章では、安倍首相に政治分野についての考え方をその自身の経歴と歴史認識から考察した。安倍首相は若くして政治の世界に飛び込み、また幼くして祖父や父の影響を受けていた。そのため、祖父や父の行動に賛成または反対というどちらかの考え方で行動しているのだと思ったが・・・。キーワードは「A級戦犯」と「曖昧」である。第3章では、その新しく誕生した安倍内閣に対する韓国と中国の反応を調べた。小泉首相時代には中国は「靖国問題」、韓国は「竹島問題」とそれぞれ日本への不満を持った両国である。日本に一番近くて深い関係を持ってきた。そのため、日本の長所も短所も的確に判断する。両国が小泉首相から安倍首相に引き継がれた時に何を期待するだろうか。第4章では安倍首相が解体するまでの一年足らずで何をしたのか、そして相次ぐ閣僚問題にどのように対応したのかを考察した。今まで実績をあげてきた首相の多くは任期の4年、またはそれ以上の年月をかけて実績を残し、世間からの評価を得てきた。しかし、安倍首相はたったの一年もその職を続けることができなかった。ポスト小泉として期待されていたが、短命内閣に終わった。こうしてみると、安倍内閣が活躍していないようにみえるが果たしてそうなのか。また、次の福田首相の時にも問題になった閣僚による汚職問題。今までなかったわけではないだろうが、2007年は閣僚による汚職がよく発覚した年であった。これは、選んだ安倍首相が悪いのかは不明だが、自身が信じた閣僚たちに裏切られる結果となった安倍首相がその問題にどのように立ち向かったのか。第5章では、安倍首相を引き継いだ福田内閣について考察した。最近の首相の中では珍しく、靖国参拝について自分が首相になったら「行かない」と言い切っている。そのため冷え切っているアジア外交に対しても期待がわく。そのような期待も込め福田首相自身がどのように考え、日本、アジアとの外交を切り開いていこうとしているのだろうか。またそのような福田首相に対しての中国、韓国の反応も調べてみた。各国、とりわけアジア諸国の反対がある中、自身の信念を貫き靖国参拝を強行し、アジア外交を冷めさせてしまったといわれる小泉首相。また、そのあとを引き継ぎ何とか冷め切ったアジア外交を立て直そうとした安倍首相。そして、相手が嫌ならしないといって靖国参拝をしないと言い切っている福田首相。どの首相が正解でどの首相が間違っているのかは誰もわからないだろう。しかしその答えを出してみるのもおもしろい。むすびにおいてこれからみる論文の内容の中で一つの答えが導かれるような気がする。
目次
はじめに
1章 外交への課題
1-1 小泉首相が残したもの
1-2 いまだに残る北朝鮮の脅威
1-3 安倍首相の狙い
2 安倍晋三総理大臣の歴史認識
2-1 安倍首相の立場
2-2 歴代首相の歴史認識
2-3 安倍首相の発言の変化
3 中韓の安倍内閣への反応
3-1 中国の反応
3-2 韓国の反応
4 安倍内閣の実績・続ポスト小泉時代へ
4-1 安倍内閣の実績
4-2 安倍改造内閣、そして次の時代へ・・・
5 脱ポスト小泉・福田康夫内閣
5-1 福田内閣組閣
5-2 福田首相の目指すもの
5-3 福田ドクトリン
5-4 中韓の福田内閣への反応
5-5 中国の反応
5-6 韓国の反応
むすび
参考文献