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繊維産業・アパレル産業の国際比較
05E2423 黄セン
始に
第一章 中国繊維産業の発展と現状
第一節 中国繊維産業の発展段階
第二節 フルセット型繊維産業の形成と問題点
第三節 中国繊維産業の現状
3-1 繊維業界の構造変化
3-2 中国繊維産業における貿易摩擦
また、今年の4月、アメリカは中国製品に対して初めて反ダンピング措置を決定した。反ダンピング措置をめぐる問題は米中間における新たな貿易摩擦の要因になる可能性がある。すなわち、アメリカは中国を「市場経済国」として認定していないため、反ダンピング調査においては、ダンピングージンや税率の賦課企業の決定において中国は不利な扱いをされている。
第四節 中国繊維産業の課題と展望
4-1 課題:コストの面、規制の面、ブランド力の面
4-2 展望:最近の動向
① 一部繊維品の輸出通関単位が変更
2月、税関総署は輸出の通関申告単位の一部を変更した。今回の変更では、888品目の生地の輸出単位がこれまでの「KG」から「M」に変更されたほか、ベッド用品、タオル、テーブルリネン等の家庭用品の単位がこれまでの「KG」から「点」に変更された。この変更によって、通関申告単位と割当枠取得のための申請単位が一致することになり、輸出企業にとって通関手続きが簡素化される。
② 一部商品の輸出増値還付率調整
7月1日、中国政府は、衣類およびレーヨンなど一部化繊の輸出増値率の還付率を引き下げた(衣類は13→11%、化繊は11→5%)。この政策により、一部の輸出企業は利益が減少し、同時に、更に厳しい市場競争は避けられなくなった。
③ 紹興に中国初の繊維指数「柯橋繊維指数」が誕生
10月21日、商務部は繊維製品市場と繊維産業の健全な発展を目的に、中国初の繊維製品指数「柯橋繊維指数」を発表した。
「中国・柯橋繊維指数」には、繊維品価格指数、織物品景気指数、繊維品輸出指数および繊維品受注指数が含まれている。そのうち、繊維品価格指数は毎週一回発表され、発表日は月曜日。繊維品景気指数は毎月一回発表され、発表日は毎月の1日。繊維品輸出指数も毎月一回発表されることになっている。
商務部の黄海部長補佐は先般、「中国・柯橋繊維指数」の登場と発表は、繊維品生産・販売活動の効率化、需給のバランス、市場における資源配置の最適化を促すと同時に、全国、ひいては全世界の繊維企業が的確にかつタイムリーに中国繊維市場と繊維産業の状況を把握するする上でも利便性を提供するものである、と語った。
第五節 中国化繊工業の環境対策
5-1 中国化繊製造業のエネルギー消費量
中国は、第11次5カ年計画において「2010年までに1万元生産当りのエネルギー消費量を2005年の1.22トン(石炭換算)から1トン以下に引下げる」省エネ目標を掲げており(国務院ガイドライン)、これに則して、中国化繊製造業は「化繊製造のエネルギー原単位(化繊を1トン製造するのに必要なエネルギー量)を2005年比で2010年までに10%引下げる」目標を掲げている。
中国のエネルギー消費比率は、工業が全体の71%を占め、民生(10%)、交通・運輸(8%)と続く。
日本との比較において、中国のエネルギー消費は産業部門の比重が大きく(日本の1.7倍)、一方で、交通・運輸部門は1/3程度と小さいことが特徴として挙げられる。
部門別エネルギー消費構成の日中比較
産業部門 交通・運輸部門 民生部門 計
中国 76% 8% 16% 100%
日本 44% 24% 32% 100%
中国統計年鑑によれば、中国の化繊製造業のエネルギー消費量は、2004年から2006年にかけて、1303万トン(石炭換算)から1424万 トン(石炭換算)へと9%増加している。一方、この間の中国の化繊生産量は42%増(1425万トン(04年)→2026万トン(06年))を記録しており、省エネルギーが大幅に進展していることがわかる。
中国の化繊品種別エネルギー原単位(2006年)
中国国内
(石炭換算Kg/トン) 国際水準
(石炭換算Kg/トン) 中国/国際水準
ポリエステルF 383 379 101%
ポリエステルS 241 223 108%
ナイロンF 333 350 95%
アクリル 1,230 1,220 101%
レーヨンF 4,834 4,768 101%
レーヨンS 1,518 1,603 95%
スパンデックス 750 676 111%
出所:中国化繊工業協会
中国化繊工業協会の公表資料によれば、品種別エネルギー原単位は、ポリエステルステープルとスパンデックスで国際水準より10%前後劣るものの、ポリエステルフィラメント、アクリル、レーヨンフィラメントの3品種は国際水準と同等レベルに到達しており、ナイロンフィラメントとレーヨンステープルでは既に国際水準を上回っているとされる。
2010年の目標に向けた、中国化繊製造業のさらなる省エネ推進の行方が注目される。
5-2 環境対策
① 省エネルギー対策
化繊1トン製造当りのエネルギー消費量(エネルギー原単位)は、2000年から2007年までの7年間で38%改善しており、2010年までに48%改善(2000年対比)する目標が示されている。
② 水使用の合理化と排水対策
化繊1トン製造当りの水使用量(用水原単位)は、2005年から2007年までの2年間で23%改善しており、2010年までに44%の改善を目指している。
③ 排煙対策
化繊1トン製造当りの排煙排出量(排煙排出原単位)は、2005年から2007年までの2年間で18%改善しており、2010年までに31%の改善を目指している。
④ 産業廃棄物対策
産業廃棄物の有効利用率は、2004年の89%から2006年には97%まで向上しており、既に日本の化繊工場と同等レベルに到達していると推察される。2010年までに98%以上にすることを目標としている。
第二章 日本繊維産業の空洞化と対中直接投資
第一節 日本繊維産業の空洞化と海外進出
第二節 集中豪雨な対中進出
第三節 中国繊維産業の高度化と日本企業
3-1 ユニクロの事例研究
3-2 東レの事例研究
第三章 繊維大国へ突き進むインドとベトナム
第一節 インド繊維産業の強み:国内素材の豊富さ
第二節 鈍化傾向が見られるインド繊維産業
2005年の世界の繊維貿易におけるクォータ制度廃止や国内経済の急速な成長から、中国に次ぐ繊維大国として成長が期待されているインド繊維産業であるが、ここに来てルピー高もあり足踏み状態にある。それに伴い、投資も減速気味である。
2-1 生産
2-2 輸出
2-3 投資
第三節 最近の行動
3-1 鈍化傾向が見られるものの、今後拡大傾向
インド政府がこのほど発表した2007年度経済白書(Economic Survey)によると、2007年4~11月期のインド製造業成長率は前年同期比9.8%増加した。大幅な成長を遂げた前年同期の11.8%増からは鈍化したものの、最近4年間の推移を踏まえると今後も拡大傾向が続くと見られる。
3-2 インド繊維産業の成長率は製造業全体を下回る
3-3 インドの繊維政策
繊維省の主要政策は2つある。ひとつは1999年に開始された技術革新基金(the Technology Upgradation Fund Scheme:TUFS)、もうひとつは2005年に始まったアパレルパーク構想(the Scheme for
Integrated Textile Parks:SITP)である。
第四節 ベトナムの台頭
対米の繊維製品貿易に関して、ベトナムは2007年1月のWTO加盟で対米数量規制が撤廃されたことから前年比31.3%の大幅増となった。主力の衣類では、米国市場において中国、バングラデシュに続く第3位の供給国となった。
まとめ:アジア地域の繊維生産が高い伸びとなっていること、欧米向け等にアジアからの紡織品、衣類輸出が拡大していることなどとみられる。
アジアの繊維産業の拡大は欧米向けを中心とした繊維品輸出の拡大に支えられてきた部分が大きいが、今後は欧米の景気減退への懸念などがあることや、2009年以降の中国と欧米の繊維貿易の完全自由化などがアジアおよびその域内の繊維産業動向に影響を与える要因となるとみられている。
第五章 最近の欧州繊維産業と米国繊維産業
第一節 欧州新化学物質規制(REACH)
欧州連合(EU)の新しい化学物質規制REACH(正式名称は「化学物質の登録・評価・認可に関する規則」)の本格運用が6月1日から開始される。化学系企業を中心に、産業界全体で、使用する化学物質の調査・登録準備が進められている。
REACHの正式発効により中国繊維産業は貿易障壁に直面
第二節 研究開発プロジェクト(高機能性)
欧州ではEU政府の支援のもと、繊維関連企業と大学・研究機関とのパートナーシップによる産学官連携による共同研究が活発に行われている。
第三節 米国の繊維製品貿易
2007年の米国の繊維品輸入は前年比3.4%増の964億ドルとなった。米国の一般景気は年後半サブプライム問題などを契機に減速が懸念される中、過去最高を更新、1,000億 ドルに迫る水準となった。最大供給国の中国からの輸入は、米中合意(2006-08年)による数量規制が続く中で、2桁の伸びを維持した。ベトナムからの輸入は、2007年1月にWTOに正式加盟し、数量規制が撤廃されたことで、数量、金額とも前年比3割を超える大幅な伸びとなった。一方で、メキシコ、CBI諸国などの近隣諸国や極東諸国からの輸入は減少傾向に歯止めがかからなかった。また、2006年に一部品目で中国を代替する形で堅調に推移したアセアン、南アジア諸国からの輸入は鈍化した。
終わり
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