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投稿遅くなってしまい申し訳ありません。
第13章 石炭・電力産業が目指す「脱・温暖化」
06E2233 常山 拓
第1節 石炭・電力の生産量とCO2排出量
1-1 石炭の生産量
①日本の石炭生産量の移り変わり
1975年…およそ1800万トン 1990年…およそ900万トン 2005年…およそ125万トン
(1990年には、75年の生産量の半分まで減少し、また、原料炭の生産量がゼロになる。その後も石油へのエネルギー転換や、各地の炭鉱が閉山するなどで落ち込む。)
<出所>『Q&A:国内炭生産量のうつりかわり(コールノート05/06年版の図)』
http://www.sekitanland.com/qa/qatop.html
②世界の石炭生産量
世界の石炭生産量は約36億トン(2000年)。世界第一の石炭生産国は中国で、その生産量は約12億トンで、これは全体の約30%の量を占めていることになる。次いでアメリカが約9億トンの生産量を占め、3位に位置する国はインドで、約3億トンの生産量である。
<出所>『主要産炭国の生産量・輸出量』 www.enecho.meti.go.jp/faq/coal/q1.pdf
1-2 電力の生産量
①日本の発電電力量の動向
1980年→4,850億kWh 2005年→9,889億kWh (およそ2倍にまで増加)
・今後も安全で使いやすいエネルギーである電力の生産及び消費量は、伸び続けると予測。
(2010年→10,139億kWh 2015年→10,643億kWh)
<出所>『?を!に...>解説集>>日本の発電電力量』
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1006.html
②世界の電力消費量
いっぽう、世界における電力消費量の合計は、約16兆kWh(2004年)。これを国別割合で上位3カ国を見ていくと…
アメリカ→24.5% 中国→13.1% 日本→6.5%
<出所>『電気事業連合会-電気事業の現状-』http://www6.fepc.or.jp/now/world/001.html
1-3 予測されるCO2排出量
・IEO2005参照ケースによると、2002年以降予測される石炭による世界のCO2排出量は→およそ5,353×10の6乗トン
・電力における1kWh当りCO2排出量は、およそ370gと考えられる。前述の世界における電力消費量の合計とで計算すると、電力によるCO2排出量は→およそ60億トン前後
<出所>『エネルギー消費と地球温暖化の科学』
http://www12.ocn.ne.jp/~take03/j51kagak.htm
『NEDO海外レポート』www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/964/964.pdf
第2節 新たな温暖化対策
2-1 CCS(地下貯留)で「脱・温暖化」
東京電力や新日本製鉄などの石炭・電力関連産業は近年、重工業や製鉄業などの産業と協力して、CO2のCCS(地下貯留)事業の実証実験に取り組む姿勢。
CCSとは?
・発電所や製鉄所から生じるCO2を、回収装置を使って集め、パイプラインなどを通じて、高い圧力で地下の頑丈な地層や、古い油田、帯水層に送り込み、貯留する技術。
・数十年後、世界で2兆トン、日本で1500億トンの削減を予測。
・CO2は、地下の高圧力で液体化→気体の300分の1の体積になり、大量貯留が可能。
・油田やガス田に貯蓄→石油・天然ガスなどの産出増大の効果が期待。
・省エネや再生可能エネルギーだけでは排出抑制困難→今後の排出量約19%をCCSで削減か
2-2 CCSの影
これらのようにCCS事業には多大な期待がかけられているが、一方で、まだまだ課題となる点がある。
・現在の技術では、1トンのCO2を分離・回収するのに約4200~7000円の高コスト。
・地下からCO2が漏れる恐れの有無、また、その危機防止の管理システムの不備。
→特に日本などの地震大国ではCCS導入困難では?
<出所>『日本経済新聞(6月16日)―エコノ入門塾・CO2を地中に埋める―』
『日本経済新聞(6月30日)―CO2地下貯蔵24社協力―』
『NHKクローズアップ現代・CO2を回収せよ~切り札になるか 地下貯蔵~』
第3節 CCS普及への道とCCSの真の期待
現状の制度面において、CO2の削減が企業に義務化されていないため、企業にとってCCSのようなコストのかかる事業は、メリットが乏しいとだけしか見られないので、普及が進まないと考えられている。CCSがある程度課題を解決した後に、炭素税や排出権取引導入による削減の義務化がタイミングよくされることが、スムーズに普及する方法と思われる。 また、地下に貯留したCO2も資源化するなどといった研究や開発にも成功でき、ムダのない事業をアピールできれば、より普及は進むのではないかとも思われる。
しかし忘れてはならないのは、CCSはあくまでも温暖化への対策技術であり、化石燃料の枯渇といった資源問題には何の対策にもなっていない。CCSのみで「脱・温暖化」を考えるのではなく、CCSは、今後発展するだろう風力や地熱など、CO2が発生しない再生可能エネルギーへのシフトのつなぎ技術として考えることが、石炭・電力産業が目指す本当の「脱・温暖化」であるだろう。
<参考資料>
第2節の出所に同じ。
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