seminar.gif (3168 バイト)


開講科目 専門ゼミ33
担当者 李 春利
単位 4単位
開講セメスター 通年(3・4年次)

 

1.演習のテーマ・目標

「中国の経済発展と国際環境」

1990年代に入ってから中国経済はめざましい高度成長を果たしてきている。中国経済の今日的課題はそれ自体の巨大さ(人口、市場、国土)よりも、如何にして世界経済システムの中に組み込まれ、いわゆるグローバル・スタンダード(国際的規範)の枠組みの中で発展していくかにかかっている。その意味では、開放政策はもちろんのこと、現段階の市場経済化路線、外資導入、WTOへの加盟、国有企業の株式化、現代企業制度の確立などいずれもこのプロセスの一環として捉え直すことができよう。中国ではいわゆる「軌道接続」、略して「接軌」モデルと呼ばれるものである。これをわたしなりに日本語に意訳すれば、すなわち“グローバル・スタンダードへの一体化”ということになる。
 本演習においては、中国の経済発展と国際環境を研究テーマにし、とりわけ工業化メカニズム、主要産業(leading industries)の展開と外国の資本・技術の役割、企業システムの形成と国際比較といったように、マクロ・セミマクロ・ミクロベースにおいて、中国経済の発展メカニズムを解明していく。歴史的検証と現状分析の両面において、中国経済と世界経済のインターフェースとインターアクションに重点を置き、さらに日米欧諸国の産業・企業と中国の産業発展との相互依存関係を検討していく。

2.演習の運営方針

演習の運営については、関連分野の代表的文献の輪読と学生諸君の自発的な研究発表を組み合わせるように努める。輪読及び研究発表にあたっては、コメンテーター制を導入し、1人の発表者につき、1〜2名のコメンテーターをつける。さらに参加者をいくつかの班に分けて、グループ学習を奨励する。研究発表のテーマについては中国に関連したものはもちろん、国際比較の意味での日中比較や日中米比較でも結構である。 学年末には、共通論題のもとで各自提出したリポートをベースに寄せ書きや写真、それから感想文・紀行文等を加え、特集の形でゼミ論集を年に1回継続的に発行していくことを目標とする。みんなの記念になるように、ゼミ生の自主運営による編集委員会の旗の下で、各自の智恵や特技を総結集してもらいたい。近いうちに、ゼミのホームページの開設を目指す。

3.評価方法

出席状況、報告の内容、ゼミでの発言状況、議論参加の態度、リポートの出来具合を見て総合的に判定する。

4.履修者への要望

(1)やる気を重視。中国についての予備知識や中国語能力は特に要求しない。
(2)日本経済と世界経済の最新動向や関連産業についてある程度関心を持つことを望む。
(3)参加すればこそ意味がある。ゼミでの参加意識を特に大事にする。中国の諺にいわく:「不恥下問」。恥ずかしがらずに質問していくことこそ上達への近道である。
(4)履修者が自ら主体性を持ち、発表及びディスカッションを行うことを期待する。教師はそれを援助するアドバイザーもしくは水先案内人にすぎない。本演習では最低限の義務としてまずは出席し、一言でも発言することを要求する。

5. 参考文献

テキストは開講時取り決める。基本的な参考文献は以下の通りである。
1. 中兼和津次『中国経済発展論』、有斐閣。
2. 関満博『フルセット型産業構造を超えて』、中公新書。
3. 星野芳郎『技術と政治─日中技術近代化の対照』、日本評論社。
4. 李春利『現代中国の自動車産業』、信山社。
5. 佐々木信彰編『現代中国経済の分析』、世界思想社。
6. 松崎義[編]『中国の電子・鉄鋼産業』、法政大学出版局。
7. 丸山伸郎『中国の工業化と産業技術進歩』、アジア経済研究所。
8. 林毅夫ほか[共著]・渡辺利夫[監訳]『中国の経済発展』、日本評論社。
9. 井村秀文・勝原健編著『中国の環境問題』、東洋経済新報社。
10. 日本経済新聞社[編]『2020年からの警鐘』、日本経済新聞社。 

 

 

ご意見がありましたら まで、メールをください