卒論要旨2 資源をめぐる東シナ海の領土問題

03E2469 加藤 幹正

 

まず第1章では、日中両国が資源の絡んだ領土問題を譲れない最も大きな理由、「エネルギー事情」について取り上げる。

世界的なエネルギー需要の増加から、近い将来の石油資源の枯渇がささやかれる。そんな中、日中が今後も成長を維持していくためにはその石油資源の確保が必要となってくるのだが、日本は言わずと知れた資源貧国であり、また中国は経済成長を維持するための資源が不足している事情がある。世界において繰り広げられている石油資源争奪のための資源外交の紹介を通し、日中両国がいかに資源確保を熱望しているかを見ていく。

第2章では、東シナ海における海の国境について取り上げる。東シナ海には、日本の主張する「日中中間線の解釈」と中国の主張する「大陸棚理論の解釈」により2つの国境が存在している。そしてこの2つの国境が重なり合うグレーゾーンには膨大な量の原油や天然ガスが眠っている可能性があり、領土画定を難しくさせている。2章では「日中中間線の解釈」、「大陸棚理論の解釈」双方を検証し、日本と中国のどちらが正しい主張をしているのか考えるとともに、解決法を探っていく。

第3章では、現在、日本が実行支配している尖閣諸島の領有権について日中台が争っている問題を取り上げる。まず、各国の尖閣諸島との関わりを年表にまとめると共に、各国政府の領有の根拠をまとめた。次に論争の焦点を絞り、ここでも各国政府の主張と各国の学者の見解を比べながらどの国に領有権があるのか検証していく。

第4章では、東シナ海の領土問題に酷似した、南シナ海における領土問題を例に上げる。2005年以降、南シナ海では少しずつではあるが領土問題解決へ向けて話し合いが進んでいる。この大きな要因は、軍事力により解決を図る外交から、話し合いによる外交へと転換した中国の存在が大きい。どのような条件で当事国が納得でき、解決への一歩を踏み出したのか検証すると共に、日中の領土問題解決への道を探る。

むすび、資源をめぐる東シナ海の領土問題の今後の展望を考える。