卒論要旨5 台湾のジレンマ

政治と経済の「ズレ」と経済安全保障政策

 

03E2103 加藤 喬介

 

要旨

この論文では経済発展の目覚しい中国。その中国と政治面では対立をしているが、経済面では互いに協力し合っている台湾。なぜ台湾はこのような状態になったのか。中国に頼ってきた台湾経済に落とし穴はないのか。台湾は中国から独立していくのか、しないのか。このようなことを台湾の経済成長という面から入って考察していく。

第1章では先にも述べたとおり、台湾の高度成長の経過と要因について考察している。台湾は対中投資拡大が対中貿易の拡大をもたらすという投資主導型戦略によって中国経済とともに高成長を達成していったのである。そして、マクロ的な視点からミクロ的な視点で台湾経済を考察し、今後の展開について述べていく。また2005年7月に人民元の切り上げが起こったが、そのことが台湾経済に及ぼす影響についても多少触れている。

第2章では急成長してきた台湾経済の陰の面である産業空洞化問題について述べていく。そこでは中国に多く依存していたこと、台湾と中国の政治的要因が関係しているのだと述べている。そして、産業空洞化対策を述べ、同じアジア地域の先進国である日本の同問題を引き合いに出して展開していく。

第3章では政治と経済のズレと称して、台湾と中国の代表的な問題である三通問題について考察していき、現在の動向や今後の予測について表にまとめながら述べている。

第4章では台湾政治界の大きな動きをリポート形式でまとめていく。馬英九・国民党新主席誕生にはじまり、連戦・前国民党主席と宋楚瑜・親民党主席の訪中、陳水扁・総統の対中批判の発言へと展開していく。

第5章では2008年に台湾総選挙の予測について述べていく。現段階では馬英九・国民党主席と陳水扁・総統の対決という見方が強いこともあり、この2人について最新動向や世論を織り交ぜて述べていく。

そして、最後に政治と経済の問題や今後の予測を簡単にではあるがまとめていく。