留学体験記          

                

03E2414 大野 裕平

はじめに

2005年9月~2006年7月まで、北京大学で約1年間、勉強をさせていただくことになった。留学の経緯としては、高校生の頃から、「留学をしてみたい」というのが希望であり、夢でもあったのがきっかけである。ちょうどその頃から中国に興味を持ち始めていていたように思う。当時はただ漠然と、中国という国の成長スピード、未知な部分に憧れや希望を抱いていた時期だった覚えがある。

愛知大学に入り、自分の興味のある学部(中国経済)で勉強することができて、中国語もそれなりには勉強をしていたので、少しは自信があるはずであったが現実はそう甘くなかった。

この体験記を書いている現在は、中国にきてまだ2か月にも達していない状況だが、実際中国に住んでみて、日々感じることや考えたことは数知れない。自分の感覚を大事にしたいAB型なので、人とは少し違う感じ方かもしれないが、そんな留学初期の新鮮な気持ちを「形」にして残したいと思う。

 

1、授業

 始めは先生の話す内容を聞くことで精一杯だったように思う。授業が終わった後、先生に宿題を確認したり、必要なものを確認したりと必死であった。質問をされて、その言葉が頭の中で漢字に変換される時間、考えて伝えたい言葉が漢字から中国語に変換される時間が、くやしくて、会話ができない&話せない原因だった。最近は、変換作業が少なくなり、音から意味がストレートに言葉として理解できてきたように感じる。

授業でのクラスの構成として、アメリカ人が多いのが印象的。他のクラスも欧米系の人たちが多い。彼らは、独自の感覚で会話ができてしまう。テストの結果、中級クラスに在籍しているが、自分の同学は、漢字が読むのが苦手だが、会話はできる。始めは不思議な光景に思えた。でも、耳で覚えて、紙に書き復習して、即使う姿は、凄い!の一言。性格もあるのか、日本人は割合おとなしいが、彼らは自分の意見をしゃべる&伝えようとするのである。あともう一つ、そこで感じるのが英語の重要性である。

 もし英語がペラペラだったら・・と感じる場面は多い。中国に来て、英語を使って理解できる世界は広いと感じる。当たり前なのだが、実際に目の当たりにすると、ショックである。中国語を勉強する一方で、英語にも関心を持ちたいと考える毎日なのである。

 

2、生活

 毎日が発見の連続。ある日、先生が「今日は、いい天気だね!!」と言った。でも、外は、1カ月ぶり位の雨。「北京(中国)では、つねに晴れていて、空気が乾燥していて、ホコリっぽいから、雨は、いい天気な認識です!」と謎のことを言ったことがある。うーん。たしかに、雨のほうが空気は良いけど。でも、降ってる雨が酸性雨っぽくないか??!と軽く不安。まぁ冗談だが、北京の空気は目に見えるほど汚い。汚染されているので、即、環境問題ではないかと感じる。
 交通もすごい。青信号で渡っているのに、かなり警戒している自分が凄い。 街中では自転車を、どこに止めても、お金取られてしまう。その自転車を管理するだけの人がいるというから驚きである。 社会の秩序を守るため?!なのか、必要のないところだと感じる場所にも、人がたくさんいる。自転車を並べて、お金を回収する作業に4人くらい、エレベータのボタンを押すだけの人、玄関に立っているだけの人。
むりやり仕事を作って、与えている感じである。でも、こうしても仕事がない人がたくさんいるのも事実、貧富の差も凄い。
 一方で、日本では考えられないくらいの金持ちもたくさんいる。大学近くには高層ビルが、次々建てられて、東京を越えようかという勢い。 なんだか難しいが、目にみえるものが全てではなくて、その背景には巨大な何かが存在している感じだ。 なかなか言葉にするのが難しい。

 このままでは中国経済の成長には限界があるように感じる。まず教育水準が平均的ではないことだ。そして貧困人口が多すぎること、貧富の差が激しいことなど、目の前にある現実を見て楽観視はできないと思った。データや、数字では、ある程度の中国経済の今後の発展は予想できるが、実際は甘くない気がしている。これらの要因は発展する中で、確実にブレーキ要因だと感じる。

最近、外資系企業の姿が目立つ。まさに今は地元産業と外資のバトル時期である。今後も中国から目が離せない。

 

3、北京大学的

 北京大学には、いろんな人がいる。そんな環境で勉強できるのは、とても刺激的である。月日が流れるにつれ、北京大学の本科生と話す機会が段々増えてきて、相互学習という勉強を始めた。そこで感じ、話していて驚くのは、視野が広いことと、現状をしっかり分析して見極めていること。 自分の能力、適する仕事、目標、この先の社会・・  視野が広いということは、選べるということ。 でも視野を広げるには、勉強も含めて、いろんなことを知っているということ。 じゃないと、自分の知る範囲の世界からしか選べないから。ストレートな自分の個人的思い込みですが。

 

4、最後に

 中国に来て一番感じることは、人とのつながりの大切さ。

この留学を実現する過程から現在までお世話になった人たちは数知れない。留学準備のお手伝いを快くしてくれた先輩。北京大学にきた当初から、右も左も分からない自分を世話してくれた先輩。日本からメールをくれる多くの友達。中国語を懸命に教えてくれる中国人の友人。そして、いつも心配してくれている家族。自分は、多くの人との関係や助けによって成り立っていることを忘れてはいけないと思った。

 友達からメールが来るだけでも十分励まされて、家族の「大丈夫?風邪引いてない?」という言葉にも感謝は尽きない。日本にいるときは、気づきにくかった、人とのつながりは当たり前のようで、かけがえのないものだと深く感じた。

 そんな大事な発見をした留学生活に、これからもきっと期待してもいいのかもしれない。マイペースに頑張ろうと思う。  

For the dreams

 

2005年 秋 北京大学 勺園にて