とりあえず株やっ得？
03E2469 加藤 幹正
１、株との出会い
それは、僕が小学校の１年ぐらいの時期だった。このころの男の子の好奇心といえば、かっこいい戦隊ヒーローだったり、野球であったりするものだ。もちろん僕もそれらの男の子と同様、戦隊ヒーローであるフラッシュマンに憧れ、公園を夢中で駆け回っていたことを覚えている。
そんな時期のある日のことだ、僕の好奇心は新聞のある一面に注がれていた。それは見開き２ページにわたって無機質に羅列されたたくさんの数字。すぐさま祖父にそれがなんであるかを聞いてみると、それが株価というものであり、株がいったいどんなものであるかを説明してくれた。が、もちろんその時は何のことかまったくわからなかったが、とりあえず、祖父が笑顔で説明してくれていたことから「株」というものに対して、負のイメージが付くことはなかった。
その日から株価を見る生活が始まった。電車が好きだったということもあり名鉄の株価を見ては、上がった、下がったとはしゃいでいた。
２、高校時代
高校生になっても、株に対する興味は衰えない。「株で大儲けした！」「デイトレードで１億円儲けた！」というようなテレビ番組が放送されるごとに僕の株式投資への想いは募るばかりだった。ただこの頃の僕は「儲ける！」という漠然とした目標しかなく、いったい何をどうすれば儲かるのかまったくわかっていなかった。
３、大学に入って
①、バーチャル投資
大学に入って自由な時間が増えたので、ついに株の勉強を始めた。千種の正文館にて、初心者にもやさしそうな株の教科書、日本の企業情報の載っている四季報、中国企業を網羅した二季報の３冊を購入した。そしてそれら本を片手にバーチャルな投資であったけれども、長年の憧れだった株式投資を始めました。「バーチャルってどういうこと？」って疑問に思う人がいると思います。これは大手の証券会社が提供しているサービスの１つで、僕のように株に興味はあるけれどいきなり実際の売買は不安があるという人のために、バーチャルな世界で株式投資を体験してもらおうというサービスです。要は練習です。
②、投資バカ
バーチャルとはいえ初めての投資はホントにたのしかった！もちろん今も！
みなさんは株の醍醐味ってなんだと思いますか？株主優待？配当金？もちろんこれらのものも株を保有する楽しみの一つであるとは思います。だけどやっぱり株式投資の醍醐味といえばキャピタルゲインではないでしょうか？キャピタルゲインというのは、保有株が買った値段より値上がりするなど、株価の変動によって得られる利益のこと。もちろんその逆もあり、株式投資にはリスクがつきものと言われている由縁であります。株をやっている人が上がった、下がったと一喜一憂している原因はそれなのです。
優秀な投資家とは、「株の知識」はもちろん、「社会の流れ」「政府の政策」などを知り、株式市場にあるさまざまなリスクをヘッジし、大きなキャピタルゲインを得る人であり、そしてここに投資家の腕の見せ所があるわけです。
僕が株式投資の勉強を始めたての頃は、上記のことを目指して必死で勉強をしました。四季報を使って株価が割安で業績の伸びそうな会社を探したり、「人材業界はこれから伸びないか？」「これからは資源不足の時代だからこの会社はどうだ？」なんていうことを一日中やっている日もざらにありました。損をしないため、儲けるための勉強でもあるけれど、なによりも自分の予想通りに株価が動いた時の達成感は堪らなかった！バーチャルだったけど、とにかく楽しかったです！
③、リアルでの投資
僕が、実際の投資をし始めた頃、日本経済は相変わらず低迷していた。同じ頃、中国では株式市場においてバブルがはじけ株価は下がり、停滞していた。その状況下でどちらの国の株を購入するか、即決で中国株だった。今、考えると失われた１０年（良く言えれば淘汰された１０年）を生き延びてきた企業たちに投資してもよかったかなと思うが、年８％の成長率を維持している中国の株価がさらに下がるとは考えにくく、中国株を買うことにした。
中国株ゆえに問題もたくさんあった。それはなんといっても情報量の少なさだった。企業のイメージがわかない上に日々の決算情報などにも時差がある、ホームページをみようにも中国語が読めない僕にとってはお手上げ状態だった。それでも利回り２０％という結果をのこせたことは（実力もあっただろうけど）運がよかったからだと思う。今度からは中国株はやめとこうというのが素直な感想です。
④最近はじめたor始めようとしている人に言いたいこと
１８歳で株式投資の勉強を始め、２０歳となってようやく実際の株取引を始めた。なぜ２０歳かという理由は１つ。
ある程度の知識がなければ大きなリスクを背負うことになるということだ。
僕が投資の勉強を始めた頃、日本の経済が低迷していたことやネットによる株取引がまだ普及していなかったためか、知り合いで株をやっている人は一人もいなかった。しかし最近、主婦や学生の間でも株式投資が流行ってきているみたいで、僕も何人か投資仲間ができた。一人で勉強していた時のことを考えるとうれしいかぎりなのだが、危機感を抱くことがある。
先日、主婦さんたちの投資クラブ（みんなで実際に投資をしながら株を学ぶサークル）に参加させてもらった時に驚いたことがあった。「PER」「ROA」といった投資で最も基礎的となる語句を知らない人が半数を占めていたこと。また「猛暑だから飲料メーカー」といった一面的な理由で銘柄を選んでいたことも僕を驚かせることとなった。業績や財務状況などを調べず勘頼みで投資してもうまくいくはずがないことは明確である。そのため資金運用は大丈夫かなと心配しているとその投資クラブの収支は利回りで＋５％、主婦の人たちが個人で資金運用している収支もプラス収支で運用している人が多かった。それもまたある意味驚いた。
僕が投資を始めるにあたって最も恐れたことはお金がなくなる可能性があるということだった。お年玉やアルバイトでこつこつ貯めてきた投資の資金が減ることは誰でも嫌なものだ。低迷していた日本経済下ではその確率はかなり高かっただろう。まして、投資を始めるということがどういうことを意味するのか。それは株式市場において投資のプロたちと戦わなくてはいけないということである。だから勉強した。
２００５年１２月現在、株価は１５０００円を越え、日本市場の株価の右肩上がりである。このまま株価が上がり続ければそれが一番いいのだがそんなにうまいこといくわけもない。これから株を始めようと思っている人、最近始めたという人たちに言いたいことがある。
「本気で勉強する気がないなら、むやみに流行りに乗らないで投資信託でプロに運用を任せるなど自分に適した資産運用をしてほしい。」ということ。お金は大切。
さいごに
「とりあえず株やっ得？」ではいけません。高校時代までは僕もそんな軽い気持ちで始めようと思っていたので大きなこと言えませんが、、、とにかく最近の株ブームがあまりにも心配だったのでお節介かと思いながらも書かせてもらいました。来年のゼミ論集の公園では、「投資クラブ活動奮闘記」なるものを書こうと思ってます。（実はこっちが本当に書きたかった方）
来年をお楽しみに～。
