第4章 人民元を読む

『改革のジレンマ』

                              

03E2046  原田大輔

 

はじめに

 現在、中国の通貨である人民元に世界の注目が集まっている。日本の円やアメリカのドル、ヨーロッパ各国で使用されているユーロは日々変化する変動相場制を採用しているのに対し、中国は管理フロート制〔ドル・ペッグ制(アメリカドルに対しての固定相場)〕を採用している。管理フロート制を採ることは、近年飛躍的な経済成長を見せる中国の国力に現在の通貨価値(1ドル=約8.280元)が適当ではないと指摘されるようになり、人民元の切り上げが求められるようになった。世界経済に多大な影響を与え得る人民元の切り上げ問題について、第1節では人民元の経緯を、第2節では中国の対米貿易摩擦とそれに伴う圧力を、第3節ではさまざまな対応を迫られる中国政府・通貨危機における切り下げ問題との比較を、第4節では元切り上げのインパクト・タイミングをそれぞれ検証しながら見ていきたいと思う。そして最後に人民元をめぐる将来展望についてまとめていく。

 

第1節    人民元の経緯

 

1-1 人民元切り上げ必要論の背景

まず、人民元の切り上げ必要論の背景について見ていくことにする。背景には経済的要因と政治的要因の2つを挙げることができる。

経済的要因について、中国の貿易収支、外貨準備高の推移を見ると、中国は1990年に貿易収支が赤字になった後、94年1月に人民元レートを名目で33%切り下げ、その後貿易収支は黒字を維持している。これに加えて、海外からの直接投資も堅調に流入しており、外貨準備高が急増している。このように国際収支の黒字が拡大して外貨準備高が増加しているにもかかわらず、為替レートはほぼ米ドルにペッグした形で推移している。もし、中国の為替制度が完全な変動相場制で政府の市場介入がなければ、為替相場は切り上げの方向で動くはずであり、それが人為的に人民元レートを抑制させているという批判につながっている。

 政治的要因については、日本、米国、EU といった中国の主要貿易相手国の対中貿易収支が大幅な赤字をもたらしていることにある。国内の企業から中国の安価な製品の流入が雇用を奪っているとの批判に対し、政府としては配慮を示す必要がある。[1]

 

1-2 人民元の通貨システム

 次に人民元の通貨システムを確認しておく。まず、管理フロート制とは、為替レートの決定を基本的には市場に任せるものの、市場介入や為替管理を通じてある程度コントロールするという制度のことをいう。[2]

中国では、1993年末まで外為市場には公定レートと市場レート(外貨調整センターレート)という二重為替相場が存在していた。94年1月1日、外為管理体制改革に関する公告が施行され、人民元レートが市場レートに一本化されるとともに、通貨システムは管理フロート制へ移行した。

管理フロート制への移行後、中国は96年12月にIMF8条国に移行し、経常取引(物やサービスの移動に伴う資金移動)を自由化した。しかし、資本取引(金銭の貸借や直接投資等に伴う資金移動)については現在でも厳しく規制しているため、人民元は投機筋の通貨アタックを受けにくい通貨といえるだろう。

 また、人民元の為替レートについては、中国人民銀行(中国の中央銀行)が前取引日の加重平均レートを当日の基準レートとして公表し、毎日の為替変動幅を米ドルは基準レートの±0.3%以内、日本円・香港ドルは基準レートの±1.0%以内で取り引きするよう指導している。すなわち、人民元の通貨システムは形式上管理フロート制であるが、為替レートは中国人民銀行の強いコントロール下にあり、事実上の米ドル・ペッグとなっている。したがって、人民元レートの大幅な変動があるとすれば、それは政治的判断に基づくところが大きく、そういう意味で人民元は政治通貨であるといえよう。[3]

 

1-3 管理フロート制の中での通貨バスケット制案

 まず通貨バスケット制とは、固定相場の一つだが、単一通貨に自国通貨を固定するものではなく、複数の外国通貨をウエイト付けして合成した通貨バスケット(通貨単位)に対して自国通貨が固定されるものである。中国の場合、通貨バスケットの構成通貨として、米ドル、ユーロ、円、韓国ウォンが中心となっているほか、シンガポールドルなど他のアジア通貨や、英ポンド、カナダドルなどが含まれていると考えられる。

2001年に中国はWTOに加盟した。これによって、中国の対外取引量は増加する可能性が高く、国際収支の変動を増大させるため、人民元相場の動きがより弾力的になる必要があると中国金融当局も指摘している。即ち、近い将来人民元相場の変動幅が拡大される可能性が高く、通貨バスケット制も選択肢の一つとする観測報道も登場している。

 この点においては、当時の朱熔基首相は同年4月に「少なくとも近い将来において人民元を切下げ、または事実上米ドル・ペッグの現行制度から通貨バスケット制に移行させる計画はない」と発言し、通貨バスケット制への移行観測を否定している。[4]

 2002年1月の神戸ASEM財務大臣会議によって開始した神戸リサーチプロジェクトの研究ペーパーでは、中国の通貨バスケット制導入がフランスの研究者によって提案されているが、これは、フランス側と中国側の共同研究の成果をフランス側がまとめたものである。同ペーパーでは、貿易や直接投資は経験的に為替レートの変動が激しくなると抑制されるが、中国の場合、輸出や直接投資受け入れ面で米日欧地域が重要な役割を果たしているため、ドル・円・ユーロに分散してペッグする通貨バスケット制の方が、貿易や投資取引の安定的な成長にとって望ましいと思われる。中国と東アジア諸国間の貿易の流れは限定的だが、米日欧市場では競合することから、通貨切下げ競争を防止する意味でも、通貨バスケット制が望ましいとし、また、中国と東アジアがバスケット制を共有する方法は、最初に採るステップとして、通貨統合を実現するよりも容易であるとしている。

通貨バスケット制については、その仕組みが複雑で透明性が低いとの批判もあるが、ドルの対円及び対ユーロでの為替相場変動が大きい場合、そのショックを吸収し、実質実効相場を安定させるという大きなメリットを持つ。また、東アジアでも金融政策の枠組みとしてインフレ・ターゲティング制度を採用する国が増えているが、同制度との整合性も高い。[5]

 

1-4 通貨バスケット制を参考にした管理フロート制

 中国政府が2005年7月、人民元制度改革の柱の一つとして、これまで事実上米国ドルに固定してきた為替相場制度を見直し、通貨バスケット制を参考にした管理フロート制を採るとしたため、注目を集めている。この中国が採用した制度がどのようなものなのか、みずほ総研(上席主任研究員小野有人氏)の発言をもとに以下順を追って見ていきたい。[6]

 中国政府が採用したのは、通貨バスケットを参考にした管理フロート制である。国際通貨基金(IMF)は、管理フロート制を「通貨当局が、特定の為替レート目標をもたずに、必要に応じて裁量的に為替レートに影響を及ぼそうとする為替制度」と定義している。ところが、2005年7月の人民元の対米ドル基準レートの約2%切上げ、日々米ドルに対して0.3%の範囲内での相場変動を認めた措置は、特定の為替レート目標をもたないという管理フロート制とは矛盾しているといえるのではないだろうか。

 通貨バスケット制の利点は、自国通貨価値が、通貨バスケットを構成する外国通貨の加重平均で決まるため、特定の外国通貨が大きく変動した際に、その影響を緩和できる点にある。仮に貿易相手国との貿易量に応じて構成通貨やそのウエイトが設定されていれば、輸出競争力を安定的に保てる。このため、東アジア諸国との域内貿易の比重が高い中国の場合、人民元をドルに連動させるよりも、通貨バスケットに連動させるほうが望ましい。

 中国は、通貨バスケットを為替管理の参考にするとしているが、これまでの人民元相場の動きをみると、米ドルへの連動度合いが高く、変動幅も非常に小幅なものにとどまっていることから、実質的には、管理フロート制ではなく、引き続き固定相場制を採っていると考えられる。みずほ総研は、「中国が、名実ともに通貨バスケット制の採用に踏み切るのかどうか、今後の為替相場の動きから目が離せない」としている。[7]

 

第2節 貿易摩擦と米国の圧力

 

2-1 米国の対中貿易赤字拡大による人民元切り上げ論

 日本や米国において、中国の通貨である人民元の切り上げ・変動幅の拡大を求める声が強まった。2003年2月に開催されたG7で日本の塩川財務相が人民元の自由化を求めたほか、6月には米国のスノー財務長官が、7月にはグリーンスパンFRB議長(いずれも当時)が相次いで人民元の自由化が望ましいと発言している。さらに、9月の日米財務相会談においては、日米が協力して中国に為替レートの変動幅拡大を求めていく方針が確認された。

 米国で人民元切り上げ論が台頭している背景は、対中貿易赤字が看過できない規模に拡大したことが理由となっている。米国の対中貿易赤字は、90年代以降拡大の一途をたどっており、とくに2002年以降赤字幅が急速に膨らんでいる。その額は対中貿易赤字のみで米国の総赤字額の4分の1を占めるほどである。このような背景は中国のWTO加盟によるものが大きいといえる。安価で豊富な労働力を持つ中国は、外資の導入を積極的に行い、低価格・高品質を兼ね備えた製品を次々に海外へと送り出している。中国製品を多く輸入する日本やアメリカでは内需の減少により産業が衰退し、結果として大きな貿易赤字を招いたのである。[8]

 変動相場制の下では、2国間で一時的に貿易収支の不均衡が生じても、貿易黒字国の通貨が切り上がることで黒字国の輸出品の価格競争力が低下し、貿易黒字が縮小するという貿易収支不均衡の調整メカニズムが働く。しかし、中国の場合、事実上通貨を米ドルにペッグしているため、輸出品の価格競争力が削がれることなく、安価な製品が一方的に先進諸国に輸出され、その結果、貿易黒字が膨らむ構造になっている。

 実際、中国の輸出は急速に伸長しており、アジア各国の輸出金額(季節調整済)の推移によれば、中国を除くアジア諸国の輸出は、世界景気の減速を受けるかたちで2002年後半から2003年前半にかけて伸びが鈍くなっているのに対し、中国の輸出は2001年半ば以降世界景気の動向と関わりなく大きな成長を見せている。[9](図1と2参照)

 

2-2 米国の対中圧力

 2003年6月と7月に、米国のスノー財務長官と連邦準備制度理事会のグリーンスパン議長は、人民元のドル・ペッグ制は最終的に中国経済を損なうため、より柔軟的な人民元制度が望ましいと発言した。その後、米商務長官と労働長官も同じような見方を発表し、人民元切り上げの圧力の源は日本から米国にシフトした。

米国が人民元切り上げを期待している主な理由は、中国の通貨コントロールが米国製造業に深刻な失業をもたらしたことである。中国が人民元レートを極めて低い水準に抑えているため、中国の製造業に大きな競争優位をもたらしたことがいえる。米国の製造業を萎縮させ多くの企業が破産し深刻な失業問題を招いたということは、それだけ中国が経済的に成長しているという証であり、人民元の過小評価という点についてあらためて考え直す良いきっかけとなった。しかしながら、アメリカの受けた被害状況から見ると、中国をひとつの経済大国として見直すには大きすぎる影響だったといえるだろう。

 また、2003年6月から、Coalition for a Sound DollarAsian Currency Manipulation Monitorという月刊誌を出版し始めた。同誌の2003年6~8月号には、中国、日本、韓国、台湾では深刻な通貨コントロールが存在し、米国製造業の失業の主因になっているという記事

 

 

 

 

 

 

 

図1:中国の累積貿易収支の推移

 

図2:米国と日本の対中貿易収支の推移

 

出所:岩嶺幸男「人民元切り上げを実施いない中国の政策は正しい」(株)第一生命経済研究所、2003年9月10日付けニュース№30http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news/pdf/nr2003_14.pdf より引用

 

が掲載され、Coalition for a sound Dollarの会員である米国繊維協会(ATMI)、米国林業および製紙協会(AF&PA)、全国製造業協会(NAM)、製造業技術協会(AMT)も同じように証言している。[10]

2003年7月、米国の上下両院議員はスノー財務長官とブッシュ大統領に、人民元切り上げに関する書簡を連名で提出した。書簡での主張は以下の四点にまとめられている。

まず、米国の失業率はすでに耐えられないところまで来ており、2003年6月の米国の失業率は6.4%に達し、うち90%が製造業に関わる人であるということ。次に、米国の製造業が競争優位を失ったのは、中国の労働コストが安いことと人民元が過小評価されていることによる。第三に、米国の対中貿易赤字は98年の570億ドルから2002年の1030億ドルに拡大しているのに対し、中国は過去数年間で世界最多の外貨準備を蓄積し、2003年6月時点で3450億ドルに達している。第四に、中国は米国の景気減速と失業増加に対し責任を取らなければならないため、政府は中国政府により大きな圧力をかけるべきであるとしている。[11]

 

第3節 中国政府の対応

 

3-1 政府の対応

では、中国政府は外部圧力に対してどのように対応してきたのだろうか。

「人民元に対する各国の要求に対して中国政府は、『為替政策はその国の経済水準や経済状況、国際収支状況によって決まるものであり、現在の為替制度は中国の現在の国情に合致する。』『人民元の安全を保持することは、中国の経済と金融の持続的発展にだけではなく、周辺国や地域の経済・金融の安定に資し、世界経済・金融の安定をもたらす。』(胡錦濤国家主席・温家宝首相の発言より)と、大幅な制度の見直しを否定し、慎重な姿勢を見せてきた。その後、金融改革会議、人民銀行工作会議で温首相や周小川・中国人民銀行総裁が人民元相場形成に関する改善を段階的に進めることを表明したが、人民元相場の安定を重視した基本姿勢は変わっていない。

中国が慎重な態度を続けている理由は、今はまだ胡錦濤政権の基盤固めの時期であるため重大な意思決定が難しいこと、国内構造問題(雇用、金融、国有企業など)の解決を優先していること、海外からの政治圧力に対する国内世論の反発に配慮したこと、SARSの発生により中国への投資環境に不確定要因が発生したこと、などであると考えられる[12]。」

このように中国では切り上げに対して消極的な姿勢を見せてきたが、1997年のアジア通貨危機における切り下げ問題ではどうであっただろうか。以下、通貨危機の経緯も含め、人民元の切り上げと切り下げの問題を比較していく。

 

3-2 アジア通貨危機に耐え抜いた中国

① 中国・通貨危機のフローチャート

1989年6月に発生した第二次天安門事件を契機に開放政策に歯止めがかかると中国の経済展望は悲観的になった。これを重く見た中国政府は、2年後の91年には鄧小平による南巡講和、さらに翌年92年の中国共産党14期党大会で「社会主義市場経済」の方針が確認されたことにより、国家主導による資本主義経済システムへの転換が加速した。さらに、急速な経済規模の拡大に伴うインフレ率の上昇に対処するため、政府は従来の中央指令型計画経済システムから財政・金融政策を主軸としたマクロコントロールシステムへの変換を図り、金融の引き締めを強化した。

すると、96年には実質GDP成長率は9.8%、インフレ率6.1%を達成し、97年には成長率8.6%、インフレ率0.8%という高成長、低インフレを実現している。つまり、アジア通貨危機が発生した97年の時点で、中国の経済指標(貿易収支黒字、豊富な外貨準備、高成長率、低インフレ、低い短期資本の比率)はきわめて良好であった。一方で、中国金融市場の完全な開放が結果的にホットマネー乱入の防波堤の役割を果たし、その結果、タイで通貨危機が発生した後も人民元の切り下げは行わなかった。[13]

 

② 通貨危機のシナリオ

 1960年代の日本に始まる東アジアの国・地域の一連の経済成長は、“East Asian Miracle” (「東アジアの奇跡」)といわれた(1993年8月)。しかし1997年7月2日に突如として起こったタイの通貨危機(すなわち、バーツの暴落と変動相場制への移行)は、まるでドミノ倒しのようにして東アジア全体に拡がり、経済を奈落の底に落とし込んでしまった。まさに、東アジアでの奇跡の終焉を連想させるような出来事であった。

 タイに始まった通貨危機の波は、フィリピン、インドネシア、マレーシアといったASEAN諸国を飲み込み、果てはNIESの優等生と目されてきた韓国にまで及んだ。通貨危機の大波をかぶったこれら5ヵ国では、米ドル・ペッグ制あるいは通貨防衛の放棄を余儀なくされ、タイ、インドネシア、韓国3ヵ国がIMFに緊急支援を要請するなど、混乱を極めた。また同時に、こうした金融面での動揺が1997年第Ⅲ四半期以降の各国・地域の実体経済に暗い影を落としたことはいうまでもない。それは、各国政府やADB(アジア開発銀行)が年初に行なった経済見通しと実際の経済成長率が大きくかけ離れていることに現れている。[14](図3参照)

 

図3:経済成長率とその見通し

 

 

原資料:IMF,International Financial Statistics. 経済企画庁編『アジア経済2000』より

出所:竹内裕一郎「21世紀 東アジア経済の新たな挑戦」、 慶応義塾大学鵜野公郎研究所http://web.sfc.keio.ac.jp/~unodb/sfc/takeuchi01/Index.html より引用

 

③ 通貨危機における影響の違い

一方で中国や台湾、シンガポールの国々はこれら5カ国とは対照的に通貨危機そのものの影響は小さく、経済指標(貿易収支、外貨準備、成長率など)の面では比較的良好であった。それではなぜこれらの国は軽微な影響ですんだのだろうか。

その違いを見出す指標の一つとして外貨準備があげられる。外貨準備は、中央銀行が通貨防衛の際に自国通貨を買い支えるためのドル売り・自国通貨買い介入で使用される。つまり、外貨準備が少ないと大きな通貨アタックに対して通貨防衛ができない、ということである。         その点、中国や台湾は外貨準備保有高で世界の上位2位、3位を占めており、潤沢な外貨準備を背景に通貨動揺を打ち消すことができたと考えられる。また、そもそも台湾での通貨売り圧力が小さかったのは、潤沢な外貨準備保有高が投資家や企業の信認につながったためといえるだろう。そして、中国、台湾に次ぐ外貨準備を保有するシンガポールも通貨動揺は起きたものの、やはり同様の理由で通貨防衛に成功している。一方、通貨危機に陥った国では外貨準備の急減に耐えられずにあるいは外貨準備の枯渇を危惧して変動相場制への移行を決断している[15]。ここに大きな違いがある。

 

④ 人民元切り下げ論

 通貨危機は軽微なものだが中国にも影響を与え、輸出品の競争力の低下から人民元の切下げ論が浮上した。しかし、近隣諸国が切り下げを行う中、中国はこれを行わなかった。なぜ切り下げしなかったのか、しなかったというよりする必要がなかったのである。 その理由として外貨準備や、貿易収支額の増加などがあげられる。

1994年以来、中国は4年続けて貿易黒字を計上している。最近の年間は毎年約300億米ドルの黒字である。1997年の中国経常項目の黒字は297.2億米ドルで、資本項目の黒字は229.6億米ドルであった。通貨危機が発生したなかでも中国の貿易収支の状況は変わりがなかった。また、外貨準備高も増加の一途をたどり、IMFの公表によると、2005年6月末の国際比較ベースで、中国本土(7159億ドル)と香港(1220億ドル)の合計が8379億ドルとなり、日本(8340億ドル)を抜いて初めて世界第1位となったといわれている。[16]

この点からみると、外貨市場の米ドル供給が充足しているために、人民元切り下げの必要のないことを示している。[17]さらに、元を切り下げることはアジア全体としてみたときにさらなる不安材料になりかねないため、中国政府はこれを強く否定し発表してきた。

 

以下切り下げによる主な影響

1 元切り下げは東南アジア諸国に悪影響を及ぼす(中国人民銀行総裁の発言より)

2 潤沢な外貨準備高や貿易(≒経常)収支の黒字水準などの良好な経済パフォーマンス

3 元切り下げはドル換算で見た時の対外債務を膨大させる

4 元切り下げにより、輸出品の原材料の輸入価格が上昇する

5 香港ドルや各国通貨の連鎖的切り下げという泥沼状況を招くおそれがある[18]

 

 上記のように通貨危機における切り下げの問題は、当時の通貨価値を維持することが中国自身やアジアの国々、さらには世界経済の安定を及ぼすとされた。しかし、現在注目を集めている切り上げの問題では、通貨価値の維持はまったく逆の意味をもつ。第2節でも述べたように、現にアメリカでは対中貿易赤字額や失業率において深刻な数字が出ており、大幅な切り上げを待ち望んでいる。切り上げることが世界経済を救うといっても過言ではない。このような状況の中、中国はアメリカ経済を助けるためだけでなく、中国自身が更なる発展をしていくためにもより柔軟な判断が求められるだろう。

 

第4節 人民元切り上げのインパクトとタイミング

 

4-1 切り上げのインパクト

人民元の切り上げは、農業部門の輸出減を通じて中国の雇用環境にも大きなマイナスのインパクトを及ぼすとみられる。

現段階で、人民元を急激に切り上げると、もともと海外製品との厳しい競争にさらされている製造業部門は、生産性の向上によって人民元切り上げの影響をある程度吸収できる。しかし、これまで国内で保護されてきた競争力の弱い農業部門は価格競争力を失い、輸出が減少することで生産調整を余儀なくされる。中国では農業部門の就業者の割合が高いので(2002 年では就業者全体の44%が農業従事者)、農業生産の落ち込みは失業者の大幅増加につながるおそれがあると考えられる。

中国では、外資系企業の進出により製造業の生産性は急速に高まっている。96~2001 年の労働生産性上昇率は年平均+12.2%と2けたの伸びを記録した。製造業の生産性上昇に外資系企業が貢献していることは、輸出の52.2 %が外資系企業によって占められることからも明らかである。しかし、外資系企業の進出が規制されてきたその他の産業については生産性上昇率が低い伸びにとどまっている。農業部門に至っては、労働生産性上昇率が平均+1.1%と生産性の上昇がほとんど観察されない。この結果、産業間の生産性水準格差は大きく開いている(図4参照)。

たとえば、製造業を100として各産業の労働生産性の水準(97~2001 年)を比較すると、建設業は36.5、商業は13.9、農業は9.9 と大きな格差が生じていることがわかる。中国における産業間の生産性格差は先進国のなかでは生産性格差が大きいとされる日本と比べてもはるかに大きなものなのである(図5参照)。[19]

このような状態で人民元を切り上げれば、製造業部門は生産性の向上によって人民元切り上げの影響を吸収できるが、生産性上昇率の低い農業部門は輸出が大きく減少し、それが生産調整→失業増・不良債権増→内需の不振→輸入の減少につながる可能性が高い。[20]

では中国の不動産価格、株価、ファンドはどのように動くだろうか。元切り上げで不動産価格は上昇しにくいと考えられる。というのもここ数年、不動産分野への投資は過熱状態が続き、不動産価格(特に北京、上海)が高騰しているため、結果的に株式投資の不振と株価の低迷

 

図4:中国の産業別労働生産性上昇率

出所:岩嶺幸男著「人民元切り上げを実施いない中国の政策は正しい」(株)第一生命経済研究所 2003年9月10日付けニュース№30http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news/pdf/nr2003_14.pdfより引用

 

図5:日中の産業別生産性格差

出所:図4に同じ。

 

をもたらしている。2006年から中国は爆食型成長から資源と環境に配慮する調和の取れた成長へ転換し、経済は本格的な調整局面に入る。過熱抑制によって不動産価格の調整も避けられないと考えられる。元の切り上げによって、一部の投機資金は不動産分野から撤退する懸念があり、不動産価格の下落に繋がる可能性が高い。[21]

一方、株式市場は人民元切り上げのプラス影響を受けると思われる。ここ数年、中国の株価の低迷が続き、2005年6月6日に上海証券取引所の株価指数は10年ぶりに安値を更新した。元切り上げを契機に、一部の資金は不動産分野から株式市場にシフトし、株価は上向きに転じる可能性が高い。また、2%の切り上げは不十分なものであり、しばらく緩やかな元高傾向が続くと見られる。従って、外国投資家は中国の株を購入した場合、元高と株価の上昇という二重の楽しみが期待されそうである。同様な理由で、中国ファンドの利益率が拡大する可能性も高いといえよう。[22]

 

4-2 切り上げのタイミング

 2005年前半の貿易黒字は396億ドルに達し、04年通年の320億ドルを上回った。外貨準備も05年6月末までの半年間で1.000億ドル強増え、7159億ドルに達した。これは、貿易黒字の拡大に加え、将来の元高を見込んだ投機資金の大規模な流入が続いている可能性が極めて高いことを示している。この実績がすでに1ドル=8.28元近辺でのドル・ペッグ制の維持が限界に達していること、人民元を切り上げ、国際収支に調整メカニズムを働かせる必要があることを示していた。

国際社会も、中国に人民元改革を強く要求し続けてきた。特に米国は対中貿易赤字の拡大、中国からの繊維製品輸入の急激な増加を背景に、2005年春先から議会を中心とし、中国に人民元改革を強く要求、米財務省に至っては、2005年秋までという期限を設定して、為替制度の柔軟化を求めてきた。外圧による政策変更を嫌ってきた中国だが、国際社会・米国の強い要求と貿易黒字・外貨準備という実績を前にすると、元切り上げの実施は避けられないとしたのであろう。[23]

 中国政府にとっては、国内の金融制度改革が人民元改革よりも優先課題であったし、元切り上げによる農業や軽工業など国内産業への悪影響、輸出の競争力低下も懸念されることから、人民元改革はできるだけ先送りしたい課題だった。しかも改革を先送りしているうちに、市場参加者のほとんどが元高期待一色になり、巨額の投機資金が

 

 

 

 

 

図6 中国の貿易収支の推移(単位:億ドル)

出所:今村卓「中国人民元切り上げに関する見解」、丸紅経済研究所、2005722http://www.marubeni.co.jp/research/3_pl_ec_world/050722imamura/より引用

 

図7 中国の外貨準備高の推移(単位:億ドル)

出所:図6に同じ。

 

流入、ますます政府は人民元改革に踏み出せなくなるという状況に追い込まれていた。しかし中国経済の発展が続けば、いずれ元相場の上昇や変動相場制への移行は避けられない。改革を先送りすれば、ますます将来の改革実施の際のコストも増大する。中国政府も、それは認識し、昨年から将来の変動相場制移行に向けた準備は進めていたのに加え、一時的な投機抑止への動きも強めていた。政府要人の発言に「人民元改革への準備は完了した」というものがあったように、準備がある程度進んだからこそ、今回、元切り上げに踏み切ったのであろう(表1参照)。

なぜ2005年7月21日だったのだろうか。9月には胡錦濤主席の訪米が控えており、中国政府としては、それまでに元切り上げを実施するか、何らかの言質を与えることが必要だったからであろう。一方で投機圧力は強く、9月に近づくにつれて、それが増幅され、中国経済に悪影響を及ぼすおそれがあった。温家宝首相が「改革は市場の意表をつく形で進める」との発言をしていたように、中国政府はできるだけ市場が落ち着いたタイミング、重要な政治日程も市場で「Xデー」の観測がないタイミングを探っていたと思われる。そして、米議会で対中制裁法案の採決が見送られ、市場が無風になっていた、この時期こそ、元切り上げの好機とみたのではないだろうか。切り上げの発表が木曜日、実際の切り上げが金曜日という日程の設定も、市場の反応を見守った上で、当局として週末に次の対応を考える余裕があることになり、政府にとっては都合がよかったと思われる。[24]

 

表1 為替レート形成メカニズムの変更のために必要な環境整備

(1)外貨需給ギャップを縮小させるための所要の規制緩和

企業の外貨留保枠の段階的拡大、企業の対外投資奨励、民営企業の商用国外出張向け外貨取得の支持、貿易・投資の利便化・対外開放の更なる推進、資本収支取引の段階的拡大

(2)短期資本流入のコントロール強化

短期外貨借入の厳格なコントロール、外貨借入・貸付に関する内外資銀行の管理制度の一元化、外資企業の外貨流出入、国外金融機関の資金および海外上場資金等の流入管理手続きの強化・改善

(3)金融機関の管理監督の強化・改善

 外為指定銀行の検査改善、証券会社・ノンバンク等の外貨資金流出入管理改善、マネーロンダリングの取り締まり強化

(4)貿易外外貨取引の管理強化

 サービス貿易、労務輸出・工事請負等にかかる外貨管理の改善

(5)健全な外為市場・秩序の育成

 インターバンク外為市場のさらなる育成、指定外為商の自由度拡大

出所:津上俊哉「人民元、年内切り上げは本当か?―読み取るべきポイントはインフレ阻止」RIETI 独立行政法人・経済産業研究所http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0118.htmlより引用

 

むすび 人民元をめぐる今後の展望

 固定相場制から変動相場制への扉は開かれた。外圧に屈しない姿勢を見せ続けた中国人民元の切り上げは、7月21日全世界の意表をつくかたちで幕を開けた。わずか2.1%の切り上げだが、その意味合いは非常に大きく、第一歩を踏み出したという事実が重要なのである。中国が世界で名実共に認められるためには今後の展開こそ重要であろう。赤字額が増加傾向にある米国と貿易黒字を順調に伸ばす中国、この対照的な両国のせめぎあいから目が離せない。まずは中国の次の一手に注目したいと思う。中国がどう出るか非常に楽しみだ。

 

 

<用語解説>[25]

管理フロート

  変動相場制のもとで、通貨当局によって管理された為替相場のこと。短期間、特に毎日のように相場が乱高下した場合、貿易取引やその他の経済活動に混乱をきたすことを理由に、各国中央銀行は為替相場を完全には放置せず介入する。

 

外貨準備高

  国が輸入代金の決済や借金の返済などの対外支払いに充てる公的な準備資産をどれだけ持っているかを金額で示すもの。景気の先行きや経済成長の前途を判断するための重要な経済指標の一つ。

 

通貨バスケット

為替政策の一つで、自国通貨をいくつかの主要な貿易相手国通貨の加重平均と連動させる方式。例えばある国の通貨を円70%、ドル30%のバスケットに連動させると、円が対ドルで1%上昇してもその国の通貨の対ドル上昇は0.7%にとどまり、安定する。

 

G7

日本、米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダの先進7カ国のことをいう。

 

IMF8条国

国際通貨基金。加盟国の出資で共同の為替基金を作り、これを各国に利用させ為替資金繰りの円滑化を助け、ひいては世界各国の経済的繁栄をもたらすことを目的とする国際的基金。IMF8条国とは、IMF協定第8条に該当する国をいう。国際金融機構名の一つ。IMF加盟国は国際収支上の理由にもとづいて為替制限をしないという義務を負う。この義務は3点にまとめられる。①経常為替取引の制限の撤廃、②複数為替レートや2国間の支払い協定などによる差別的通貨措置の撤廃、③経常的な為替取引で非居住者の取得した通貨の交換性を保証しているもの。

 

ASEM

Asia-Europe Meeting(アジア欧州連合首脳会議)はEU加盟15カ国と欧州委員会、アジアからASEAN7カ国と韓国、中国、日本10カ国が参加している経済と文化のサミット。94年にタイが欧州アジア間の貿易相会議を提案、同年にフランスを訪問したシンガポールのゴー・チョクトン首相の提唱により始まった定期的なフォーラム。

 

インフレターゲッティング

将来のインフレ率の目標値を公表し、それが実現できるように政策運営を行うこと。

 

     ホットマネー 

国際金融市場を動き回る短期資金。各国の金利差や為替相場の変動につけ込んで投機的な利益をつかもうとする場合と、国内の通貨不安をきらって行われる資本逃避の2つがある。

 

マネーロンダリング

非合法に得た資金を合法的に見せかけること。麻薬取引、武器輸出、売春などの犯罪行為から得た資金を、さまざまな金融機関の口座を転々とさせることで、資金の出所を分からなくする行為。

 

 

<参考文献>

・荒巻健二著『アジア通貨危機とIMF-グローバリゼーションの光と影』日本経済評論社、1999

・今村卓「中国人民元切り上げに関する見解」丸紅経済研究所2005722http://www.marubeni.co.jp/research/3_pl_ec_world/050722imamura/

・岩嶺幸男「人民元切り上げを実施いない中国の政策は正しい」、(株)第一生命経済研究所、2003年9月10日付けニュース№30http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news/pdf/nr2003_14.pdf

衛佩琳なぜ人民元の切り下げは行われないのか? アジア金融危機とその後の状況への分析を通じて」「社会と経済」専攻、放送大学神奈川学習センターhttp://u-air.net/workshop/board/wei.pdf

     何帆「人民元切り上げをめぐる様々な議論とその根拠」「中国経済新論」、中国社会科学院世界経済・政治研究所http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/031104world.htm

・白井早由里『人民元と中国経済』日本経済新聞社、2004年

真家陽一「人民元レートの動向と為替リスク対策と現状」、JETRO上海、日本貿易振興機構http://www.minyou.com/economy_index/shanghai/9_index.htm

・ 関志雄編著 『人民元切り上げ論争』 東洋経済新報社、2004年

・ 関志雄 『日本人のための中国経済再入門』 東洋経済新報社、2002年

     関志雄 『共存共栄の日中経済―「補完論」による実現への戦略』 東洋経済新報社、

2005年

・竹内裕一郎「21世紀 東アジア経済の新たな挑戦」、慶応義塾大学鵜野公郎研究所、http://web.sfc.keio.ac.jp/~unodb/sfc/takeuchi01/Index.html

・沈才彬「人民元切り上げ後の中国経済と日本への影響」『DENARO』【中国経済レポ-ト】200510月号記事http://www.geocities.jp/mstcj182/ITEM-3A59.html

     津上俊哉「人民元、年内切り上げは本当か?―読み取るべきポイントはインフレ阻止」、「中国経済時報」RIETI 独立行政法人・経済産業研究所http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0118.html

・中川智之「人民幣(元)切り上げを巡る議論に関する考察、人民元の国際化を見据えた対応の重要性」、財団法人・世界平和研究所「平和研レポート」http://www.iips.org/bp302j.pdf

日本経済新聞社編著『経済新語辞典2000年版』日本経済新聞社、1999年

・㈱東京リサーチインターナショナルのホームページ『国際金融トピックス』(8月23日付、執筆国際通貨研究所調査部研究員橋本将司)http://www.triltd.co.jp/japanese/iima_topics/topics_kiji/01_topics_no33.htm

・「通貨バスケット制を参考とした管理フロート制とは」(株)タックス・コム、税務経営情報ネット、ゼイタックスのホームページ、2005年10月7日付け経営関連報道http://www.taxcom.co.jp/news/keiei/2005/2005_10/keiei2005_10_07_002.htm

 

<ゼミ論集の感想>

 一つの文章としてこんなに長い文を書くことははじめての体験だったので、非常に達成感があります。ですが、もちろんすらすら書けたわけではなく、苦難の道のりでした。最初論文のテーマを決める際にすでに迷ってしまい、なかなか決まらずやっとの思いで決めたのがこの人民元でした。しかしテーマが決まったのはいいが、これまで人民元というものに触れたことのない私は何をやったらいいのか分からず行き詰ってしまいました。

インターネットや本を参考にさまざまな情報を取り入れ、人民元というものがどのようなものであるかを調べることから始めました。ある程度の資料がそろった上で、節ごとにテーマを決め、できるところから順番に書いたのですが、後で読み直してみると全体として一貫性がなく読みづらいものでした。文を消したり移動させたり、どのようにまとまりのある文にするか非常に大変だったのを覚えています。出来上がったものも完璧とはいえませんが、この論文を書く以前と比べると、少しは文章力とワード力が付いたのではと感じることができます。また、人民元に興味を持つこともできたし、一石二鳥とも三鳥いえるのではないかと思います。論文を書くにあたってさまざまなことが身につき、よい勉強になりました。大変でしたが充実したものでした。ここで得たものを大切にしていきたいと思います。

 

              



[1]真家陽一著「人民元レートの動向と為替リスク対策と現状」JETRO上海 日本貿易振興機構 http://www.minyou.com/economy_index/shanghai/9_index.htm より引用

[2] 脚注1に同じ。

[3] 同上。

[4] ㈱東京リサーチインターナショナルのホームページ「国際金融トピックス」(2002年8月23日付、執筆国際通貨研究所調査部・橋本将司研究員)http://www.triltd.co.jp/japanese/iima_topics/topics_kiji/01_topics_no33.htmより引用。

[5] 同上。

[6]次は(株)タックス・コム、税務経営情報ネット「通貨バスケット制を参考とした管理フロート制とは」ゼイタックスのホームページ、2005年10月7日付け経営関連報道http://www.taxcom.co.jp/news/keiei/2005/2005_10/keiei2005_10_07_002.htmより引用。

[7]同上

[8]岩嶺幸男著「人民元切り上げを実施いない中国の政策は正しい」(株)第一生命経済研究所、2003年9月10日付けニュース№30http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news/pdf/nr2003_14.pdf より引用

[9]同上。

[10]何帆著「人民元切り上げをめぐる様々な議論とその根拠」 中国経済新論 中国社会科学院世界経済・政治研究所 http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/031104world.htmより引用

[11]同上。

[12] 中川智之「人民幣(元)切り上げを巡る議論に関する考察、人民元の国際化を見据えた対応の重要性」、財団法人・世界平和研究所、平和研レポートhttp://www.iips.org/bp302j.pdfより引用。

[13]竹内裕一郎「21世紀 東アジア経済の新たな挑戦」、慶応義塾大学鵜野公郎研究所  http://web.sfc.keio.ac.jp/~unodb/sfc/takeuchi01/Index.html より引用。 

 

[14] 脚注12に同じ。

[15] 同上。

[16] 「6月末の香港を含めた中国の外貨準備高が世界一に」「チャイナネット」20051012、人民網日本語版、http://www.people.ne.jp/2005/10/13/print20051013_54260.html

[17]衛佩琳なぜ人民元の切り下げは行われないのか? アジア金融危機とその後の状況への分析を通じて」 放送大学神奈川学習センターhttp://u-air.net/workshop/board/wei.pdf

より引用。

[18]同上。

[19]脚注8に同じ。

[20]同上。

[21]沈才彬「人民元切り上げ後の中国経済と日本への影響」『DENARO』【中国経済レポ-ト】200510月号記事 http://www.geocities.jp/mstcj182/ITEM-3A59.htmlより引用。

[22] 同上。

[23]今村卓 「中国人民元切り上げに関する見解」、丸紅経済研究所、2005722http://www.marubeni.co.jp/research/3_pl_ec_world/050722imamura/より引用。

[24] 脚注23に同じ。

[25] 以下の解説は日本経済新聞社編著『経済新語辞典2000年版』日本経済新聞社、1999年、より引用。