留学体験記

99E2539 柘植 聖子

 

1.出発

 乗ったことのない船で近い中国を2日かけて行くということ、1人旅もしたことがないということで、不安でいっぱいだった。船は暇でしょうがなかった。前日眠れなかったのでぐっすり寝たけれども、限界がある。客の中には団体客、1人旅、家族連れ、留学生など様々だった。私は一番安い18人部屋にしたけれども、そこで一緒の部屋になった人達と交流が深まった。客のほとんどが天津に着いたら北京に行く。でも天津大学に留学する人と、日本に留学していて夏休みを利用し天津の実家に帰る中国人と出会って一緒に大学まで行くことにした。しかもその中国人の人に親が迎えに来てくれるということで一緒に車で乗していってあげると言ってくれて私の不安も一気に消えた。揺れも少なくいろんな人と話していたら、2日間があっという間に過ぎて楽しかった。

 

2.中国事情                                                                                                                

 天津に着いて私は2年前にも短期セミナーで南開大学に行ったが、その時よりも綺麗になっていた。道路もだんだん整備されつつあり、至る所で工事をしており、こうやってどんどん綺麗になっていくのだなぁ。と思った。高層ビルやお洒落なデパート、外資系企業の会社が以前よりたくさん街に立ち並んでいるのを実際目の当たりにし、中国の外国に対する競争心の強さや、新聞や雑誌でしか分からなかった成長ぶりを、目で見て肌で感じ取ることができた。また、2008年に開かれるオリンピックの影響の大きさがわかった。そんな中国に関心を抱きながらも少し寂しい感じがした。なぜなら私は中国独特の風景や人々がのんびり暮らしているようなゆったりとした空気が流れている空間が好きだったからだ。

 さらに今の中国事情で気づいたこととして、中国人の半数くらいが携帯電話を手にしているということだ。日本ほど、機能はよくないのにすごく値段が高い。日本では、最新以外は無料だったり、安く買えるけど、中国は1000元、2000元くらいもする。日本円にして、1万5000円から3万円だ。しかもプリペード式でカードがなくなれば買わなければ使えない。そのカードも100元くらいする。また電話を受ける側なのにお金がかかる。というのが一般的である。こんなにお金がかかっても実際こんなに普及してきていることから、経済の発展とともに国民の生活水準も高くなってきていることがわかった。これから、日本のように、1人1台携帯を手にする日もそう遠くはないだろう。

 このことから、日本はもっと競争心をもって焦りを感じる必要があるのではないのだろうか。日本では拘束時間を基準に仕事をしている。中国人は仕事についてはとても熱心で朝早くから夜遅くまで時間にとらわれず仕事に励んでいる。また、週1の反省会が開かれているところも聞いた話によるとある。この仕事に対する熱意と発展は比例しているように感じ、日本人はそんなに熱心でなく、一般的に与えられた仕事しかしない傾向があると私は思う。もっと日本人は仕事に力を入れるべきだと思った。

 

3.学習方面

 まず初めに、クラス分けテストが9月12日にあった。クラスは初級1・2班、中級1・2班、高級1・2班の6つのレベルに分けられる。テストは面接のみだった。大学では第2外国語として中国語を選択していたが、ヒアリング・口語は重視してなく、読み・書きが中心だったので、面接はかなり心配だった。案の定、面接の時、先生の話すスピードが早くて知っている単語ばかりであったのに、はっきりと聞き取れずそんな自分が恥ずかしくもあり悔しかった。購入したテキストもザッと目を通してみたが、見るのが嫌になるくらい文章が長く、当たり前だが解説も中国語で頭が痛くなりそうだった。

 結局、クラスは中級2班だった。周りは韓国人が半分くらいで、あとはラオス、ロシア、ドイツとなかなか国際色豊かなクラスだった。授業は45分で日本の90分授業に慣れていたからとても短く感じた。日本と違って周りは外人なので、分からないところがあっても助け舟はない。辞書だけが通じ合える友達だ。先生の話していることを理解しようと集中して聞いているので、正直とても疲れる。「ポン」と押されたら「ツルッ」っと落ちていきそうなくらい必死に木にぶら下がっている状態で、予習してなければ授業に出る意味がないくらいなので、毎日予習は必要不可欠だ。読みから、意味まで辞書で調べているとすぐ時間が経ってしまって復習にまで手に負えなかった。だから、私は、友達や先生から紹介してもらって、日本語を専攻している中国人と相互学習をしていた。2人いるが週1回ずつで、1人は日本語がかなりできるので、授業の復習やHSK対策をしていた。もう1人の方はあまりできないので、日本語と中国語で日常会話をして口語の力を高めるようにしていた。なかなか1人では勉強できないし、日本ではできないことなので、いい経験にもなった。また、授業が午前中だけなので、昼からは外にでかけて、店の人としゃべったり、タクシーの人としゃべったりして、会話を大切にした。

 

4.生活方面

 生活面では衣・食・住に分けて説明していきたいと思う。

まず住について。1人暮らしをしたことない私にとっては1人でいる時間がすごく寂しく感じたり、始めは精神的に辛かった。さらに、水が汚いこと、トイレと浴槽が一緒になっていることに慣れなかった私にとって、お風呂は疲れをとる癒しの場所であったのに落ち着かなかった。外のトイレの汚さと、ドアに鍵がついていないのには慣れることはなかった。また、宿舎は韓国人との共同生活で、相手にどこまで気を遣うかが難しかった。でもこのように、違う国の人と生活を共にすることは日本ではできないことであり、とてもいい経験になった。

食については、はっきり言ってあまりいい印象はもてなかった。安さ、おいしさ、量には文句はないが、中国の食堂はとても汚く、清潔さに欠ける。料理の中に虫が入っていることもしばしばあった。また、お皿や湯飲みも洗っても拭いてなく、ぬれたまま出してくるので、一度、ナプキンで拭いてから料理をとって食べていた。また、店員の態度も日本に比べてよくなかった。日本ではお客を一番に考えるのが当たり前だが、お客に対して気が利かなかったり、笑顔での対応はあまりなかった。中国人も言っていたが、日本人が一番礼儀がある。と。しかし少し高級な店にはいるとやはり、接客態度はよかった。

中国天津では留学生のほとんどが韓国人であることから、韓国料理屋がとても多かった。

 衣については、私は正直中国で買って着れる服なんてあまりないと勝手に思いこんでいたので、来るときたくさん服をもってきた。しかし街も発展してきていることもあり、街の人たちの格好も垢抜けてきていた。多少は日本と中国と比べてちょっと時差があり、着ている服装で中国人なのか、そうでないのか区別はつく。中国人の中でも私たちは、ぱっと見るだけで、豊かな暮らしをしている人とそうでない人とはっきりと見分けれることもできた。このことから、まだまだ経済的に差があることが感じとれた。

 

5.まとめ

以上のように、語学を目的とした留学だが、中国人に限らず様々な国から来ている留学生などと話しをすることで、物に対する価値観、考え方などたくさんのことが吸収できた気がする。そしてこのような生活習慣の違いがある環境の中で、精神的にも強くなり自己が高められたと思う。また、観るだけでも日本との違いや新しい発見が多々ありとても面白かった。そして日本の暮らしやすさを改めて感じたと同時に中国の発展に日本の焦りをも感じさせられた。

中国で開かれる2008年のオリンピックを1つの区切りとして、今後どのように動いていくのか目が離せない。