第9章「メイド・イン・チャイナ」のインパクト

『中国の三大集積』

 

                                         00E2251 斎藤 亮

 

はじめに

 僕は10日ほどですが中国に行った印象を話すと首都北京はオリンピックの関係もあっていろんなところで工事をしているところを目にしました。政府から200億ドルの開発資金がでたとのことです。上海でも建設中のビルを数多く目にしました。成長の証ではないかと思います。そんな中国のショッピングセンターやデパートでブランドショップを覗くととてもじゃないが日本のほうが安い。しかし、実用製品や食料品または家電での中国製、これはきわだって安い。中国の品物、中国で販売しているものがなぜ安いのか?その中国価格、チャイナ・プライスはどのようにうまれ、なぜそれが成り立つのかを珠江デルタ、長江デルタ、北京中関村といった産業面から述べたい。そしてその豊富な市場を狙う外資系と地場との関係もあらわしたい。

 

1節 チャイナ・プライスの形成

 このチャイナ・プライスの源流はホーム市場の熾烈な価格競争である。

@外資系企業VS地場企業にあるといえる

 <外資企業>「中国価格」を実現するためにはより徹底した現地化によるコスト削減が要求されている。その最も顕著な特徴は外資企業のフルセット型現地化への傾斜である。すなわち、設計、購買、生産、販売と人材の現地化である。その結果、外資企業の対中進出の更なる加速の拍車をかけている。

 ローエンドとハイエンド:松下は中国地場企業の低価格戦略に正面から挑む

                LGはデジタル技術をコアに地場企業を振り切る戦略

                ソニーはハイエンド+ブランド志向

 <中国地場企業の競争戦略>

海爾(ハイアール):ブランド志向。総合家電メーカー。中国国内と海外両方で自社ブランド戦略をとっている。海爾はキーデバイスの外注化、汎用部品の大量採用、「外部資源の活用」、スピード重視の開発体制が特徴である。

格蘭仕(ギャランツ):ローエンド志向。主力製品は電子レンジ。国内ではブランド戦略、海外ではOEM生産に徹する戦略を使いわけている。生産面では、徹底した垂直統合による大量生産、低コスト戦略に徹している。購買は材料のみである。

 

A利益よりもシェア争いになっている

 生産量はのびたものの、利益をあげている地場企業はほとんどない。否応なしに同質的な価格競争に巻き込まれた結果、生き残りか共倒れかの消耗戦に突入していく。値下げしながら販売とサービス競争を展開したあげく企業の収益が大幅に圧迫されてしまう。

 表1は中国製品の低価格度がわかる表である。これからもわかるようにこの安さが世界価格の目安になるのは近いとされる。[1]

 

第2節 中国三大集積と仕組み

2−0 集積とは何か?

コスト削減のキーポイントでもある部材費の削減である。いかにして安価で品質の良い部品を迅速かつ安定的に調達するかであり、狭い地域にどれだけ集積を集め、またそれが組み立てを呼ぶといったぐあいに分厚い集積は完成される。

 

2−1 珠江デルタ

(1)位置と歴史

「珠江デルタ」は華南の広東省を流れる珠江の流域に広がる位置であって東端に香港、西側にマカオという特別行政区が位置する。そしてこのデルタの中心の深セン市の面積は東京都と同じくらいである。また、近年世界の工場といわれ始めた中国でも最も成長してきた広州は香港系、または台湾系の工場が大挙している。

はじめは1980年代の香港系企業の進出に始まった。香港系企業はこの中国の低賃金のメリットと香港の物流・金融機能をフルに生かした。低コスト・低リスクの商売形態「委託加工方式」を編み出した。珠江デルタではこの方式を使っている企業が7割にのぼる。その後、80年代後半にプラザ合意後の円高に見舞われた日本が委託加工方式を中心に投資を始めた。はじめは繊維等の軽工業であったが90年代以降は精密機械、家電、事務機器、あるいはその部品へとひろがっていった。そして、次に目をつけたのは台湾系企業だった。台湾の企業はまず福建省、ついで香港経由しやすい広東省を中心に進出を始めた。その後、外資系企業が数多く進出している。これをうけて中国現地系企業もいい刺激をうけて、この珠江デルタから発祥し勢力をあげている企業もある。

(2)特徴

この集積の強みは、上で挙げたとおり「委託加工方式」の全国から集まる人材の豊かさと、部品集積の厚み、そして物流・融拠点としての香港の存在にある。

まず人材の豊かさ面では、特に製造工程に携わる一般労働者について珠江デルタの最大の特徴は、低賃金の労働者をほぼ無制限に雇用できるシステムが存在することである。珠江デルタでは拡大する外資系企業の人材需要を満たすために広東省内の低開発地域や、もともと比較的人口が少なかったので内陸部の各省からの出稼ぎ労働者を積極的に受け入れてきた。そのため、現地系企業の幹部には華北や華東の国有企業、あるいは政府関係機関を離職した技術者や経営者も多く、国有企業のリストラ、行政改革の流れの中でチャンスを求めて全国から優秀な人材が珠江デルタに集まってくるのである。

さらに人件費以上に重要なコスト競争力の源泉は部品集積の厚みである。加工組立製品の原価に占める人件費は5%くらいであろう。つまり人件費がどれだけ安くても原価比率数%の影響にしかならない。だから8割に相当する部材費をどれだけ削減するかがコスト削減の鍵となるといえる。部品業者数も東京都大田区が8000社に対して珠江デルタの内側だけでも5万社ある。つまり、同じ部材や加工を提供できる企業が近いエリアにたくさんあることとなり、複数の企業に品質と価格を競わせながら購入することが容易である。これが珠江デルタの部品費の安さの秘密である。

珠江デルタは「コスト・スピード・柔軟性」というキーワードにうってつけの生産拠点であるが、このうちのスピードと柔軟性を支えるのは各社の香港拠点を担う役割そして香港の物流、貿易、金融、販売などの機能である。港湾や空港の機能が優れ、金融や物流のサービス産業の発展している香港では、中国本土では考えられないほど効率よく低リスクでこれらの事業を実施している。

 

(表2) アジア主要都市の投資関連コスト比較  「2000年12月」   (単位:ドル)

 

賃金

地価・賃料

通信費

公共料金

自動車

 

ワーカー

エンジニア

中間管理職

工業団地

国際通話

業務用

レギュラー

 

[月額]

[月額]

[月額]

(土地)購入

[日本へ

電気料金

ガソリン価格

 

(一般工職)

(中堅技術者)

(部課長級)

価格[毎u]

3分間]

[毎KW時]

1ℓ)

北京(中国)

177

309

566

60

4.3

0.07

0.4

上海(中国)

126〜272

181〜544

290〜906

25

5.44

0.07

0.35

深圳(中国)

70〜135

219〜458

318〜632

31.03

4.28

0.09〜0.12

0,34〜0.55

バンコク(タイ)

147

325

646

45.85

2.48

0.04

0.83

クアラルンプール

341

649

1454

49〜99

2.61

0.05

0.31

ジャカルタ

30〜214

33〜322

39〜847

55〜75

3.02

0.02〜0.03

0.12

マニラ(フィリピン)

114〜244

237〜383

430〜597

85

2.07

0.04

0.37

横浜(日本)

3288

4234〜5001

5246〜5222

1539

4.89

0.14

0.86

(資料:日本貿易振興会『第11回アジア主要都市・地域の投資コスト比較』)[2]

 

(3)問題点

珠江デルタの事業環境上の代表的な問題は以下の4点である。

@税関や税制問題をはじめとする諸政策の不安定性、恣意性や官庁の腐敗の問題

A知的所有権の侵害や裁判・警察制度の信頼性のなさなどソフトインフラのみ整備の問題

B取引業者や顧客の遵法意識や契約遵守意識の欠如の問題

Cこの地域の治安悪化が指摘されている点

これらの問題のうち@やAの問題については、中国政府も深刻な認識を持って取り締まりや制度整備に取り組みはじめておりWTO加盟がそうした努力を促進することが期待される。Bのように、文化や長年の習慣に根ざす部分の改善は難しい。Cも流入人口の多さという社会構造に原因の一端があり、珠江デルタの特徴でかつ豊富な人材があつまる要因が問題点ということで取り締まりとはいたちごっこの面がある。さらに制度上の優遇措置や柔軟な運用が次第に失われつつあり、外資系企業の間ではこのことがこの地の事業環境のメリットの低下と受け止められている点がある。

このような問題点をふまえ、将来を考えてもやはり「外国投資の動向」「安く作れる場所・中国への今後加速する投資や委託の流れ」という追い風があり、プラスな面が多いであろう。しかし、このデルタの象徴ともいえる香港の失業率7%といった香港の経済不況の影響や世界景気の不振、ITブームの悪化からも成長度は鈍化する。しかし、最終的にはWTO加盟に伴う外国投資の流入などにより、やはり世界の電子電気生産基地としての役割を担っていくだろう。

 

2−2 長江デルタ

  (1)位置と歴史

   長江デルタにもはっきりした地理的定義はないが、江蘇省から上海にいたる長江沿いに連なる工業都市群を中心に南は浙江省や寧波にいたる半径役200キロ弱のエリアである。ちなみに珠江デルタの約4倍の面積にあたる。

   長江デルタはもともと農業生産力で中国屈指の豊かさを誇り、商工業も栄え、資金的蓄積も技術的蓄積もあった。こうしたことを背景に長江デルタでは裕福な農村の公有工場など多くの郷鎮企業が生まれ、民間企業も輩出した。本来ならこのまま右上がりの成長をたどるはずだったが90年代に入り市場経済化がすすんだため、国有企業は苦境に陥り、郷鎮企業も成長が頭打ちとなった。しかし、90年代後半から上海周辺の巨大な中高所得層市場を狙って外資系企業が盛んに投資をはじめた。

 (2)特徴

  長江デルタの外資系企業は業種も規模も多岐にわたる。

   @欧米系企業を中心に中国の国内市場を狙った投資が多く、内販権を得るためには原則として合弁が必要なことから、地元有力国有企業、郷鎮企業との合弁が多い。

   A大企業が腰を落ち着けて、設備集約型を含めた大型投資をする。

   B企業の国籍は欧米系や日系が相対的に多い

   C進出してくる大企業は部品も極力内製する「フルセット型」の生産を行うか、あるいは系列部品企業と一緒に近くに進出してくるケースが多い。

   D業種は鉄鋼、化学、などの素材から家電、自動車、機械、繊維、など広範な業種にわたる

 

 このデルタの強みはなんといっても大きな市場と成長性である。ただ普通に見る街並みからも発展してきているのがうかがえる。私自身も上海をこの目でみたが本当に驚いた。東京にも勝つのではないかと思わせるほどである。

 さて、その規模であるが長江デルタの人口は約1億4千万人であり、日本の総人口をも超える。そしてただ大きい市場だけでなく所得の高い市場である。中国全体の1人当たりのGDPが791ドルに対し、長江デルタの1人当たりのGDPは1500ドルで上海市だけなら3700ドルと全体の平均からみて、約5倍にのぼる。

 これがIT産業にあらわれている。携帯電話、インターネット利用者数は2005年までに世界トップになる見込みでパソコン保有台数も2、3年ほどで日本をも抜いてしまうほどである。そして、ITほどではないが、家電、鉄鋼、自動車など長江デルタに立地する業種の国内市場規模は世界有数の大きさと伸びを見せている。

 

(3)課題と将来

 長江デルタにも課題はある。部品調達状況が珠江デルタを100とすると、長江デルタは30〜40にとどまってしまう。業種が数多く散布しているために部品業者もそれだけ散布してしまっている。

 将来の展望として、まずは上記の問題については台湾系の電子企業や日系のデバイスメーカーの数が増えているので少しずつ解消されるのではないかと思う。この台湾の北上が上海の成長の大きな鍵を握っているといえるだろう。しかし、現には国内のIT関連企業が成長を見せている中に低迷しつつある世界のITバブル崩壊、外資系産業に依存しすぎもどうかというのも現実である。

また、万国博覧会国際事務局(BIE)は3日、モナコのモンテカルロで総会を開き、2010年万博の開催地を中国の上海に決定した。これに続いて7日、米ユニバーサルスタジオの上海進出も明らかになった。会場は上海市を流れる黄浦江両岸の約400ヘクタールを予定。今後は交通機関、宿泊施設などインフラ整備に30億ドルを投資するほか、開発途上国の参加促進のため、1億ドルが拠出される。このように上海は間違いなく中国の代表都市になっていくし、さらに伸びることも現実となっていくであろう。

 

2−3 北京中関村

(1)位置と歴史

中関村地区は北京市の西北部、海淀区を中心とする市街地である。ここはもともと北京大学や清華大学などの有名大学と中国科学院などが数多く連なる文教地区である。

1980年代初め 大学や研究機関向けに電子機器や電子部品を販売する店舗が集まり始め、さらに電子部品を組み合わせて、オーダーメードの電子機器を製造販売する店も増える。

1986年  中関村の電子機器販売から発祥した企業「四通」が日本企業の技術支援を受け、初めて中国語のワープロ開発・発売し、中関村生まれの企業の最初の成功例となった。

1988年  中関村周辺が「北京市新技術産業開発試験区」に指定され、内外企業の研究開発拠点やIT関連企業の誘致が始まった。面積約100平方キロ、ほぼ山手線の内側の面積である。米国のシリコンバレーや台湾の新竹地区をモデルに産官学の協力によるハイテク産業開発やベンチャー企業育成を図ろうとする全国で最初の試みであった。

 

(2)特徴と産学連携

別名「中国のシリコンバレー」とよばれるほどソフトウェア産業、IT関連の研究開発機能が国内で圧倒的に強い。上であげたように文教地区なだけに頭脳のスペシャリストが集まっているだけでなく大学などの研究環境にも恵まれている。

中関村の発展史の上でこの地域の大学や公的研究機関の果たした大きな役割である。中国の大学は政府機関の一部としてしか考えられなかったために、研究成果が事業化されても国有企業とのインターフェーズがうまくいかず成果に乏しかった。

「1985年、改革開放政策の一環として5つの改革が提案された。

@政府による研究開発資金の一律配布の廃止、成果に応じた給付への切り替え

A知的所有権制度の確立と技術市場の開設

B大学・研究所の研究人員の流動性増進と営利事業への兼業認可、企業からの委託研究・共同研究などに関する規制緩和

C研究成果の公開と実用化の義務づけ、技術移転組織(TLO)の設置

D大学が自らあるいは外部と共同で企業を設立し、経済活動を行うことの促進(税を免税)」

                

この改革によりとても変わった。その背景に研究成果をよりよく経済活動にむすびつけるためであった。つまり、予算カットのかわりに研究成果を使い自由に経済活動を認めるということである。これが産学連携である。[3]

 

2−4  三大集積の連携と珠江デルタ対長江デルタ

(1)三大集積の連携

 「この3つの集積は、その発展史において外資系企業の進出が決定的な役割を果たしている点、中国の人的資源の豊かさが外資系企業の進出の大きな誘因になっている点、もう1つの柱として現地系企業も重要な役割を果たしている点など、共通する性格を持っている。他方、この3つの集積はそれぞれに異なる歴史的経緯の中で発展し、異なる得意分野において大きな成長を遂げてきた」        

 連携面でわかりやすくすると中関村で研究開発されたIT製品を珠江デルタや長江デルタで生産する、珠江デルタの電子部品を長江デルタで組み込む、長江デルタの素材を珠江デルタに持ち込む、といった連携がお互いのすみわけもできていてうまく機能している。そして、ITのみにしか通じない部分も含むが北から順にこれを人体にたとえて、「頭脳(研究開発)、上半身(ハイテク生産)、足腰(部品基盤)」ともいえるであろう。[4]

 

(2)珠江デルタ対長江デルタ

 どの参考文献に目を通してもわかりやすく表記するためにこの2つのデルタを比較してある。やはりこの二つの競合が中国のこの厚みの深い集積が生まれた理由である。現時点ではまだ珠江デルタが勝るだろう。しかし、いまの長江デルタの勢いをみるといつか追い抜くであろう。上海が栄えれば香港はイマイチ、もちろん逆もいえる。ともにとても栄えるということは難しく、似た産業であるからこそ甲乙がでてしまうのではないだろうか。しかし、上でもあげたとおり相手にない部分が自分にあり自分にないのが相手にあるといった補完関係にこの2つのデルタはあると思われる。したがって、一方が他方をおとすといったことはないのではないだろうか。                                  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(表3) 中国における産業集積地別主要製品生産高

[5]

 

第3節 中国現地系企業

3−1 企業類型

 現地系企業の成長過程や現状を知るに当たって、企業の種類を3つあげる。

@国有企業:名のとおり国家が資本を所有する企業で1990年以降、市場経済の影響からも苦しい現状が続いている。

A集団所有制企業:郷鎮企業など資本が国民の内の一部の集団によって共同所有される企業で1996年ごろまで工業生産のエンジンとなってきたが、それ以後伸び悩みマイナスに転じている。

B民営企業:私有企業、個人が資本を所有している企業で1990年代以降から高成長を遂げて、憲法改正に伴いますます成長することが予想される。

 

3−2 現地系企業の成長と海外展開

 1節であげた産業集積の伸び行く成長の1つは外資系企業ということは容易にわかる。もう1つは現地系企業が外資系企業の成長に刺激を受け成長したのである。この二つが両輪となって中国の産業競争力を高めている。

 やはり際立って目立つのが家電製品である。現地製品は性質てきにも海外のとかわらないのに値段が安い。そのため、その価格競争には太刀打ちできないのが現実である。製品の中身も必要だが使えれば安いほうがいいといった消費者の心をつかんでいるといえるだろう。ただ、決して性能が悪いというわけでなくほとんど先進国にあるものと相違ないであろう。

 この傾向は家電のみならず、パソコンやオートバイといった分野でもその成果は発揮されているのである。

 この勢いがついには国外に目を向ける契機になった。ASEANを主に中国製品の輸出、また海外生産拠点の展開などその勢いはめを見張るものだ。これはいままでASEAN市場を独占してきた日系や欧米系などといった先進国に大きな影響を与える。

                                             

(表4) 中国の家電、耐久消費財市場のブランド別シェア     (%)

製品/順位

冷蔵庫

海爾

32.9

容声

11.8

新飛

8.5

カラーテレビ

長虹

18.7

康佳

18.5

TCL王牌

10.0

エアコン

海爾

18.7

美的

13.8

各力

12.8

洗濯機

海爾

23.6

小天鵝

22.4

栄事達

7.5

電子レンジ

格蘭仕

67.1

LG

12.1

松下

5.3

電話機

歩歩高  

23.2

TCL王牌

15.8

万徳菜

3.1

DVD

新科

17.7

歩歩高

12.9

万利達

8.2

携帯電話

モトローラ

30.1

ノキア

28.7

エリクソン

21.6

パソコン

連想

20.1

長城

3.6

TCL王牌

3.6

オートバイ

嘉陵

11.5

ホンダ

8.7

五羊

7.7

自家用車

シャレード

17.8

サンタナ

15.6

ジェッタ

15.6

(資料:北京華閲旭通国際広告有限公司と北京中央電視台共同調査「2000年2月」)[6]

 

3−3 中国企業の弱点

  いくら追い風をうけていても弱点がないわけではない。「オリジナル研究開発力や基幹部品や素材の製造技術がまだまだ不足していることである。このところ中国の大手電気メーカーから日本企業への提携希望のラブコールが強まっている。これは激化する国内競争の中から抜け出すには、依然として外国技術に依存せざるをえない現地系企業の技術面の現状を示しているものと考える」[7] 

 やはりあがったといってもまだまだ日本製などに比べたら劣るというわけである。しかし、技術力があがっていることは目に見えてわかっていることであるから今後、弱点を是正しそしてなおも成長、向上していくだろう。          
  

第4節 日中経済関係と中国経済の未来

 中国にとって日本はどのような存在なのか?表を見てもらってもわかると思うが輸出面では第3位、輸入面では圧倒的に1位であり、貿易国として最大のパートナーであることは一目瞭然である。また、過去を振り返ってもわかる。中国の成長は外資系企業の進出にあった。もちろん日本はそういう面でも大きな効果を示しただろう。しかし、いまや中国の中で日本の存在はそれほど大きくなくむしろ、日本が中国に脅威すら感じているほどである。だからといって日本がこの競争から逃避することは考えられないことである。つまり、中国が先進国をうまく誘引したように日本も最善をつくして中国の巨大な市場を使うべきである。産業空洞化を引き起こしてしまう要因でもあるが、力があるからこそ海外展開ができるわけであるし、今の日本の経済を見る限り海外の市場に展開して自国の景気を上向きに向けたいところである。中国を脅威と見るか、競争相手としてよきパートナーとなるかはそのへんにあるだろう。

 さて、中国自身は大きな期待と大きな可能性を秘めているわけだが、それは自由化がすすんでかつ民主的な政策を踏まえたうえである。つまり、国有企業改革は大きな問題がある。社会主義の象徴でもある国有企業の改革はそうやすやすとできるわけでない。朱鎔基首相の三大改革の一つに国有企業改革がある。国有企業の問題点は以下の4つである。

 @過剰人員、設備過剰、過剰債務といった過去の負の蓄積という問題

 A経営メカニズムや生産・販売機構、製品構造等の市場経済化への対応の遅れといった現状   の企業システムの問題

 B福祉・教育・医療など社会政策機能や税負担の大半を背負わされていたという政策の問題

 C需要停滞と過剰供給といったマクロ経済環境の問題

 朱鎔基首相の改革はここ3年で@とBに着目して、従業員や設備の削減、福祉負担や債務負担の低減、企業の廃止・合弁・売却などの形で一定の成果をみせたしCにおいては最近のマクロ環境の改善でだいぶ解消した。しかし、Aにあたっては時間がかかってしまうものであり、これこそが国有企業の将来を左右すると思う。赤字を消しても政策を変えなければ、また赤字はでる。それでは意味がなく、Aの問題さえ、つまり市場経済に適応することができれば、またできる企業だけを残せば解決のできる問題である。

 

 

 

 

 

 終わりに

 調べて気づいたことはやっぱり、プラスなことが多いって感じました。口や文字にして成長しているというのは簡単です。

 産業面では、なぜあれほど安く提供できるのかをこの論文で多少なりとも理解したつもりです。やっぱり消費者は安い製品を望む、日本の企業も各々で価格競争に参戦した企業もあればハイエンド&ブランド志向と技術力を武器に展開する企業もある。

 しかし、いまだにわからないこともある。なぜ今になって中国製品なのか?なぜそれほどまでに市場経済に展開するのが遅れたのだろうか?僕が思うには、今だからこそこの中国価格が受け入れられるのではないか。また、世界の先進国があちらこちらで低迷を見せる中で年平均7%を越える成長度はまさに世界が注目し、先進国が中国産業に投資を始める。中国スタイルで生産し中国価格で販売する。景気低迷期だからこそこの低価格、低コストがよりうけいれられるのではないだろうか。そして、この価格が後に国際的な価格になっていくだろう。その時までに、遅れている技術面を成長させなければならない。だが中国はこの最高の時期にWTO加盟という最高の追い風にのり中国経済はますます市場経済が活発になりさらなる飛躍が望まれるだろう。

 

参考文献

経済産業省ホームページ:通商白書(中国の産業発展の特徴)

             http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/soron/H13/Z01-02-17-00.htm

                :ものづくり白書(経済のグローバル化と我が国の製造業)

             http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/index.html

伝通報/4388号 20021216

             http://www.dentsu.co.jp/books/dhou/2002/h4388-021216/index2.html

国際ビジネス学会第9回全国大会報告要旨

大前研一:「チャイナインパクト」  講談社 2002年

黒田篤郎:「メイド・イン・チャイナ」 東洋経済新報社 2001年

丸屋豊二郎・石川幸一:「メイド・イン・チャイナの衝撃」 ジェトロ 2001年

 

 

 

 

 

 

 

 

(表1) アジア諸国・地域における中国製品とその他との価格比較  (日本円換算) 

製品

国・地域

中国

日本

韓国

米欧

地場

ブランド名 価格

ブランド名 価格

ブランド名 価格

ブランド名 価格

ブランド名 価格

カラーTV

タイ

 

Sharp  20,544

LG   19,043

Philips  22,101

KLASS   15,540

フィリピン

TCL  20,738

JVC  34,188

Samsung 28,918

Philips  28,943

 

インドネシア

 

松下  31,524

LG   24,124

Philips  38,554

 

インド

康佳  27,200

松下  44,880

Samsung 44,064

Philips  38,080

BPL    35,360

シンガポール

 

Sharp  26,865

Samsung 34,551

Philips  31,089

 

香港

SKYWORTY 28,893

日立  40,558

 

Philips  43,859

 

中国

海爾  17,250

Sharp 24,750

LG   17,400

Philips  26,700

 

エアコン

タイ

 

三菱 85,874

LG   69,500

 

TRANE  80,620

フィリピン

格力  29,750

松下 43,048

LG   34,559

York  35,750

 

インドネシア

長虹  43,793

東芝 58,327

 

 

UCHIDA  41,292

インド

 

日立 60,928

Samsung 66,069

 

BlueStar  54,128

シンガポール

 

三洋 69,171

Samsung 48,399

Carrier  69,171

 

香港

美的  36,628

NEC 51,562

LG   43,843

Carrier  45,431

Fortress  35,370

中国

志高  28,200

Sharp 51,000

LG   40,200

Siemens 67,350

 

冷蔵庫

タイ

ASTINA 52,125

日立 52,792

Samsung 73,114

Electrolux 63,662

 

フィリピン

海爾  31,738

松下 34,748

Samsung 37,050

Kelvinator 34,750

 

インドネシア

 

東芝 42,920

 

 

UCHIDA  33,300

インド

 

 

LG   97,920

Whirlpool 92,480

Godrej   69,360

シンガポール

 

三菱 67,786

Hoover 69,171

Fisher&P 82,950

 

香港

華龍  38,986

三洋 43,702

Samsung 48,418

Kelvinator 45,509

Fortress  40,715

中国

長嶺  35,175

松下 40,350

LG   37,350

Elecrion 39,300

 

炊飯器

タイ

 

Sharp 1,626

 

 

PEACOCK 1,543

フィリピン

Ichiban  1,873

 

 

Philips  3,185

 

インドネシア

DAST  3,256

COSMOS 4,440

 

USATECH 5,402

MAXIM   3,197

インド

 

松下 5,426

 

 

Singer   6,392

シンガポール

 

松下 8,240

Samsung 6,786

Philips  11,702

 

香港

美的    5,329

松下  9,872

 

TEFAL  5,266

 

中国

美的    3,660

松下  4,470

 

Philips   4,035

 

 (出所:ジェトロ海外事務所 2001年調査報告)

(出所:丸屋豊二郎編 黒田篤郎著 「メイド・イン・チャイナの衝撃」第1章P9より

002251 斎藤亮

 志望動機は大学の講義は教師から教わり、それを覚え学んでいくという形です。しかし、ゼミでは自分たちが自らで疑問から解決までを自分たちが納得のいくように進めることができる。又、その自分の考えを他の人達から見てどのように思い感じるのかなどといった少人数制ならではの他の講義では得ることのできない事がとても多いと思うからです。しかしそれだけならどのゼミでも可能だと思います。先生のゼミを志望する理由は運営方法がとても興味があるからです。僕は自宅から大学が遠いためサークルに所属していません。だからサークル方式のゼミ運営という学生たち自身で行われ、先生がそれにアドバイスを加えるという方法に興味があります。一番の志望理由は、中国に興味があるからです。なぜかというと僕のアルバイト先に中国の方で同じ学生の人が二人います。その人たちは皆、日本語が上手で僕たちと何もかわらず仕事をしています。いろいろ中国のことを教えてくれます。経済をはじめ文化や言葉など主に日本と違うところを教えてくれます。その内容は今までにテレビなどの情報からの中国の印象とかけはなれたものがありました。驚きや疑問がその多くだったが僕の興味はふくらむばかりでした。中国から見る日本、日本から見る中国、それぞれいろんな見方があります。そんなところを経済を通して中国を主に世界を学びたいと思いました。次に私の趣味ですが趣味というのかわからないですが最近は中国語の勉強です。一緒にアルバイトをしている人に中国語や韓国語を教わって実際に話してみることです。難しくてまだまだですがとても楽しく今は趣味の一つとして勉強しています。もう一つは書道です。小学二年から始めた書道です。今は忙しく毎週とはいきませんが未だに先生から教えていただいています。字は上手なほうが読む方からも気持ちが良いと思うのでこれからももっと練習して大人の社会人として恥のないように練習していきたいと思います。

 最後に旅行体験ですが十年近く前に台湾に行きました。旅行が目的ではなかったのではっきりは覚えていませんが日本と何ら変わりのないものと感じました。この旅行も中国に興味を持つ理由の一つと言えるでしょう。最近の旅行は熱海に温泉に行きました。バイクで行ったため疲れがひどかったのもありますが露天風呂から見える海は格別に良く気持ちよかったです。帰りには日本一の山、富士山をはっきり見ることができて満足の行く旅行でした。また変わった旅行は自転車で京都に行ったことで何度も死ぬかと思いましたが食事をいただいたり風呂に入れていただいたりで人の温かさを感じたとてもよい経験でした。そして来年の夏、予定があえば中国に行きたいと思っています。まだまだ行ったところが少ないのでいろんな所に行っていろんな経験をして人生の役に立てばと思っています。

 



[1] 国際ビジネス研究学会報告要旨、p186から187より

[2] 黒田篤朗著、『メイド・イン・チャイナ』、第4章、p114より

[3] 黒田篤朗著、『メイド・イン・チャイナ』、第6章、p173より

[4] 黒田篤朗著、『メイド・イン・チャイナ』、第6章、p176より

[5] 経済産業省ホームページ、ものづくり白書(経済のグローバル化と我が国の製造業)

 http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/index.htmlより

 

[6] 黒田篤朗著、『メイド・イン・チャイナ』、第2章、p46より

[7] 丸屋豊二朗編、黒田篤朗著、『メイド・イン・チャイナの衝撃』、第2章、p28より