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遅くなってすいません、発表した時のレジュメを保存していなかったため今書いてる論集の内容を貼っておきます。
BRICのプレゼンス
05e2324 若山一朗
第1章 BRICの光
1-1 GDP
①世界経済に占める地位
GDPのウェイトを購買力平価で換算すると24%と大きく上昇し、アメリカ(21%)、EU(20%)を既に上回っている。
②これまでの成長実績および今後の成長見込
ここ10年の間に新興工業国の経済成長が失速したのとは対照的にこの4カ国は平均で年6%の成長を遂げており、(特にインドとブラジルは)今後も比較的高い成長率を達成していくものと見られている。その結果、現在G6の15%に過ぎないその経済規模は、2025年には約半分の大きさに、2040年頃には先進国を上回り、2050年の時点ではBRICsがG6の1.5倍の規模になるとされている。
名目GDP値
(左:2004年の実績値、右:2050年の予測値)
(単位:10億ドル)
順位 国名 GDP値 国名 GDP値
1 アメリカ 11,733 中国 44,453
2 日本 4,668 アメリカ 35,165
3 ドイツ 2,707 インド 27,803
4 イギリス 2,126 日本 6,673
5 フランス 2,018 ブラジル 6,074
6 中国 1,932 ロシア 5,870
7 イタリア 1,681 イギリス 3,782
8 カナダ 996 ドイツ 3,603
1-2 人口
中国が約12億8000万人(世界1位)、インドが約10億2000万人(世界2位)、ブラジルが約1億7000万人(世界5位)、ロシアが約1億4000万人(世界7位)となっており、4カ国合計で26億1000万人、世界の人口の約45%を占めている。今後もロシアを除く3カ国では人口が増加し、2050年には32億6000万人にまで膨れ上がるとされている。ただし、ブラジルとインドでは将来的にも人口が増え続ける一方でロシアは現在人口が減少する傾向にあり、人口が多いため一人っ子政策を取る中国でも将来的には人口が減少すると予測される
BRICs4カ国の予想人口比較
(2000年の値は実績 単位:1万人)
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年
2050年
中国 127,522 136,488 142,947 145,052 143,893 139,518
インド 101,694 117,381 131,221 141,658 148,572 153,144
ブラジル 17,180 19,288 20,979 22,208 23,014 23,314
ロシア 14,561 13,750 12,902 11,971 11,043 10,146
1-3 国土面積
国土面積はロシアが世界1位、中国が世界3位、ブラジルが世界5位、インドが世界7位。面積でいえば4カ国で世界の約29%を占めている。
第2章 BRICの影
2-1 中国・インドのエネルギーにおける共通した特徴
(ア) 中国・インドの石油需要
世界で人口第1 位と2 位の両国は、国内での石油生産はあるものの、輸入量は将来的に急速な高まりを見せると予測されており、BRICs の中では共通の性格を有している。
両国の石油需要の伸びは、図表2-79 に示した。2030
年での世界全体での比率は、図表2-91 に示した如く、中国が11%、インドが5%である。これは現状での比率(2004 年で各8.2%と3.2%)をある程度上回るものであるが、両国の需要の増大は巷間で言われるような世界のエネルギー構造を変更させるほど突出した規模にまでは成長するという訳ではない。世界全体のエネルギー需要の増大自体が問題である。
(イ) 天然ガスに関する問題
中国、インドとも石炭が豊富かつ安価であり、現在も1 次エネルギーの約70%を石炭が負っている。両国とも石油需要の伸びは厳然とあるものの、天然ガスへのシフトをいかに進めるかが、環境問題の解決も併せて重要なポイントである。両国は長期的にはLNG輸入大国となる見通しで、ガス市場に与える影響は大きい。
但し、LNG 価格が高騰した場合、日本、韓国、台湾などはそれでも輸入を継続せざるを得ないが、両国には代替となる石炭エネルギーがあり、こちらへ回帰する誘惑は大きい。エネルギー価格と環境問題の関係を考慮する際に、石炭への回帰という逃げ道をどうするかという問題がある。
(ウ) 中国・インドの国有石油企業の行動の特徴
両国とも産油国であり、その国営石油は国内での特権的地位による強力な財務基盤、即ち大きな資金力を有するという特徴がある。中国は約350 万バレル/日の石油を生産する世界第6 位の産油国であり、インドは約80 万B/D生産する。特に中国の国営石油は、埋蔵量、生産量、純利益においてメジャーズに比肩する規模である。
更に両国は対外的には、国策との一体化による外交・資金支援があり、他の世界の石油企業との間に不公平競争を生んでいる。イラン・ベネズエラなど西側企業が入りにくい大産油国との政府間包括的貿易・投資協定に絡めた油・ガス田権益取得便宜供与がなされているし、政府系金融機関や政府機関である親企業による優遇条件による資金支援も得られる。一方で、廉価で豊富な人材・資機材を擁しており、大きなコスト競争力と人的余裕のもとでの不公正競争となっている。産油国での通常技術で取り組める案件にでは競争力を発揮することができる。
この積極攻勢の背景には、採算軽視とも言うべき姿勢がある。最大株主である政府が配当より資源量・持ち込み量確保を優先し、一般投資家への配慮の必要性は低い。このような特質は、今後、他の国際石油企業との間に摩擦を生む要因を孕んでいる。
2-2 中国のエネルギー問題
(ア) 中国政府のエネルギー機関
中国には、近年「三荒問題」、即ち電力、石炭、石油製品の供給不足の直面し、これへの対策機関として、2005
年5 月に国家能源領導小組(指導グループ、温家宝首相がトップ)を発足させ、次いで同年6 月に、その下部機関として国家能源領導弁公室を設立した。主任は馬凱(国家発展改革委員会NDRC 主任)、副主任は徐錠明(NDRC能源局)及び馬富才(元CNPC 総経理)である。通常の管理業務は、従来どおり国家発展改革委員会能源局が行う。この下で、国営石油3 社が事業を展開する。
(イ) 中国の国営石油企業
中国は1993 年から純輸入国に転落したとは言え、国内需要の7 割に当たる約350 万バレル/日の石油を生産する世界第6 位の産油国であり、国営石油はコストが安い大半の大油田権益を特権的に保有している。陸域の西域と、東部では黄河以北の石油開発と精製・販売を中国石油天然気集団公司(CNPC)が、黄河以南の石油開発から精製・販売までを中国石油化工集団公司(SINOPEC)が、海洋油田の開発を中国海洋石油総公司(CNOOC)が行っている。
(ウ) 中国の石油事情
図表2-92 に建国(1949 年)以来の中国の石油生産量の推移を示した。大慶(Daqing)油田の生産量は、27 年間、年産5,000 万トンを超えていたが、2003 年にはこの大台を割り、急速に減退している。一方で、海洋と、ジュンガル、大港、吉林、オルドス、タリム等の陸域(図表2-94)が生産を伸ばしているが、2010 年以降は漸減傾向に入ると見られる。
一方、石油需要の伸びは図表2-79 に示す通り堅調であり、2004 年の中国の石油輸入量は1 億2,282 万トンで石油依存度は41.3%であったが、IEA(2004)の予測では、2030 年には石油輸入量は5 億5,000 万トン(1,100
万バレル/日)で、石油依存度は74%に達する(図表2-93)。中国はこれを市場で調達するよりも、油田権益の取得や、パイプライン敷設など、直接引き取りで進めようとしている。
(エ) 中国におけるガス事業の展開
中国における天然ガスの比率は、一次エネルギーの3%、発電源の1%弱に過ぎず、環境問題を考慮した天然ガスへのシフトは十分でない。政府は「クリーン・エネルギー政策」を掲げてはいるが、消費者には強い価格志向があり、石炭から「高いガス」への転換が容易に進まない事情がある。中国がガス供給を増加する場合、(イ)国産ガスの開発推進(国内パイプライン網の整備)、(ロ)中期的にはパイプラインガス輸入(ロシア、中央アジアから)、(ハ)沿岸域ではLNG の導入、という選択肢がある。オルドス、タリムでの国産ガスの開発は順調に進み、2004 年には総延長4,000kmの「西気東輸」パイプラインが完成して、タリムの天然ガスは上海に到着した。更に、国内ガス・パイプライン網は、南部沿岸域にも延びようとしている(図表2-94)。しかし、石油と同様に、国内生産には自ずと限界があり、LNG 価格は高止まっていて普及が遅れている。隣接国からのパイプライン輸入を行うためには、国内価格をより高めに誘導する必要があり、ガス・シフトには多くの問題が依然として未解決である。
2-3 インドのエネルギー事情
(ア) インド政府のエネルギー機関
インドの長期的なエネルギー政策は、2000 年に策定された”Indian HydrocarbonVision 2025”に定められているが、これはエネルギーの供給重視を謳ったものである。最近の原油価格の高騰の結果、インドの原油代金支払いの増加を余儀なくされており、市場価格の動向の影響を受けず、一定コストで原油を調達する手段として、海外にエクイティ原油を保有することを最優先に取り組むこととした。政府のエネルギーを所管する部署は、石油天然ガス省で長らく外交官出身のアイヤルが大臣を務めていたが、この1 月、ムルリ・デオラに交代となった。アイヤルはイランからのガス輸入計画を熱心に推進していたが、これには米国は繰り返し反対を唱えて来た。今回の人事には、米国の影響があるとの推測も囁かれている。
(イ) インドの国営石油企業
インドの国営石油としては、1956 年に設立されたONGC(Oil
& Natural GasCorporation)が、国内の石油・天然ガスの探鉱・開発・輸送を所管する。子会社のONGCVideshは海外における探鉱開発事業を所管する。国営企業としては、他にIOC(Indian
OilCorporation), GAIL(Gas Authority of India)があり、両社はONGC と株式を持合い、戦略的提携関係を持っている。その他、インド北東部陸域とベンガル湾での開発を所管するOIL (Oil India Ltd.)がある。
(ウ) インドの石油事情
インドの石油生産量は、2004 年は81.9 万バレル/日で、輸入依存度は70%に上る。国内探鉱はONGCを中心に進められているが、増産は見込めず長期的には漸減傾向にある。
最大の油田は1974 年に発見されたMumbai
High 油田である。最近の成果としては、Reliance によるベンガル湾側でのDhirubhai ガス田の発見がある。ONGC Videsh, IOC,OIL
等が海外探鉱を展開しており、中でも大きな権益としては、サハリン-1 の20%がある。図表2-95 に見るごとく、2030 年には石油の輸入依存率は90%に上ると見られる。
政府は、国内エネルギーの市場価格化を進めたいとしているが、高い比率の貧困層を抱え、国民会議派を主体とする現政権も共産党などの左翼政党との閣外協力を仰ぐ必要があり、灯油、LPG(家庭用厨房燃料)、ガスなどは実質的に統制価格といってよい。特に灯油は、国、原油供給者(ONGC)、製品販売業者の負担による補助金によって安価に設定されている。このため、専業の精製・販売業者は2005 年以降、赤字に陥っている。インドは世界最大の民主主義国家でもあり、政権は貧困層への配慮が欠かせないが、このためエネルギーの市場価格化は長期的な視野の基に進めざるを得ない。
(エ) インドにおけるガス事業の展開
インドにおけるガス比率は、一次エネルギーの6%、発電源の12%と、中国よりは高い。西部地域では、ムンバイ沖合いからの国産ガス利用の長い歴史がある。東部では、石炭を産出するが、西部への輸送手段が劣悪なため、ガス利用が進んだ面もある。増大するガス需要に対応するために、インドはLNG の輸入を促進する政策を採っており、中長期的には数多くのLNG、パイプラインガスの輸入計画がある。始動しているのは、(イ)2004 年1 月操業開始のダヘジLNG(Petronet 社、カタールのRasGas から年間500 万t)、次いで(ロ)2005 年4 月操業開始のハジラLNG(Shell 社、シェルのエクイティからLNG カーゴを年間250 万トン、スポットで調達)の2 件で、ともにインド西部に位置する(図表2-96)。
但し、前述のごとく、国産ガス価格は、安価に設定されており、一方でLNG 価格は、これまで$3-4/MMBtu(百万英国熱量単位)であったものが、近年急速に高騰し$7-8/
MMBtu という水準となっているため、ハジラ基地は2006 年1 月から操業停止になるなど、国内価格を抑えているため事業遂行に多くの問題を抱えている。
第3章 戦略資源 ロシア、ブラジル
3-1 ロシアの戦略資源
足元のロシア経済の成長を支える原動力となっているのは、豊富な生産量を誇る原油や天然ガスなどのエネルギー資源で、石油・天然ガス産業はGDPの25%、輸出収入の約55%、国家歳入の約35%を占めるまでになっている。原油価格の暴落を警戒する石油輸出国機構各国が石油生産能力の拡大に慎重なスタンスを採り続けてきた中で、近年ロシアは原油生産をさらに強化しており、原油生産量の推移をみると2003年にはアメリカを抜いて世界2位に、2004年にはサウジアラビアを上回り世界1位となった。こうしたロシアの原油生産の拡大は、原油価格の高騰と相俟って景気回復に寄与してきたとみられている。原油価格の動向と貿易収支の関係をみると、原油価格の上昇は貿易収支の大幅な改善に結びついているという構図があり、加えて、石油や石炭に比べて温暖化ガスや硫黄酸化物の排出量が少ない天然ガスに対する世界的な需要が高まるなかで、ロシアの天然ガス埋蔵量は、世界全体の約27%を占めている。また、現在ロシアはサハリン沖を中心とした天然ガスの開発に注力している事から、今後は天然ガス輸出の増加も、ロシア経済の好調を更に後押ししていくものと見込まれている。
(2) ロシアの原油生産の動向
2005 年のロシアの石油生産は940 万バレル/日でサウジアラビアに次いで世界第2 位、対前年比2.5%増であった。2004 年における世界の石油生産量を図表2-82 に示す(BP,2005)。ロシアは世界の12%、中国は5%の石油を生産しており、大きな存在である。
ソ連時代から、そして1991 年からはロシアと中央アジアの石油生産量の推移を、図表2-83 に示す。縦軸は年産100 万トン(日量2 万バレル)の単位で、1 億トン/年が200 万バレル/日に当たる。1980 年代にソ連は1,200 万バレル/日(年産6
億トン)超を生産して世界最大の産油国であったが、ソ連崩壊に伴う投資の停滞、資機材の供給途絶、操業現場でのモラル低下等の経済的な混乱により、生産量は、約年産3 億トン(600 万バレル/日)という半分に近いレベルまで急落した。1999 年からは、経済の回復に伴い活発な油田投資が復活して石油生産も上昇し始め、2003 年には対前年11%、2004
年は同9%と目覚しい回復を見せた。石油の生産が投資の関数であることが良く示されている。
但し、2005 年は対前年で2.5%の伸びに止まっており、増産基調はスローダウンして来た。この理由としては、(イ)パイプラインでの輸出量がその能力の限界である約400 万バレル/日に近づいている、(ロ)石油生産税・輸出税が強化され、油価$25/バレル超においては利益の90%が国へ行く政策で、増産インセンティブを喪失している、(ハ)石油生産量に関する政府による石油産業の管理を強化している、という3 点が挙げられる。
(3) ロシアの石油生産の見通し
図表2-84 に2003年にロシア政府の発表した「2020 年までのロシアのエネルギー戦略」での石油生産見通し(単位:100 万トン/年)を示す。ここでは2020 年に向けて、生産量がレベルオフする見通しで、適正ケースでは2020 年に450 万トン/年(900 万バレル/日)であるが、現状はこれを既に超えており、楽観ケースを上回って推移している。図下部の棒グラフは地域別(図表2-85 参照)を表しており、約70%を生産して来た西シベリアは漸減し、替わりに東シベリア・極東(サハリン等)の生産量が徐々に伸びて、2020 年には17%に達すると見込まれている。但し、2020 年においても西シベリアは依然65%のシェアを有し、石油生産の中心的存在であり続ける。
3-2 ブラジルの戦略資源
ブラジルの貿易を根幹から支えるものは、南米大陸の約半分を占める広大な大地からの恵みであり、鉱物資源や農畜産物、熱帯雨林に生息する多種多様な生物資源などが挙げられる。2004年の貿易収支に関して言えば、その要因として、輸出量の減少にもかかわらず需要増加に伴う国際取引価格の急騰により金額ベースでは輸出増加という結果になった大豆や、鋼板・建材の生産活動が活発でかつ国内供給能力が不足するなど鉄鉱石の世界最大輸入国となっている中国において、その輸入額が前年比162%増と急伸した事により過去最高水準となった鉄鉱石の伸びが大きく貢献する形となった。特に鉄鉱石は、中国が鉄鉱石の輸入の約30%をブラジルへ依存しており、世界2位の鉄鉱石輸入国である日本もその20%以上をブラジルに依存するなど、ブラジルは世界的な鉄鉱石輸出国となっている。
(1) 石油生産の概況
ブラジルの2005 年の国内原油生産は、前年比13%増の168 万バレル/日であった。2006年には日量18 万バレルとなるAlbacora Leste 油田(図表2-88)のP50 プラットフォームの稼動開始が予定されており、生産目標としては、191 万バレル/日を見込んでいる。一方、国内需要は180 万バレル/日程度であることから、ブラジルは2006 年には自給を達成し、石油の純輸出国になると予測される(日経、2006/2/21)。
ブラジルにおける石油生産量と消費量の伸びを図表2-88 に示す。この10 年間で、需要が横ばいになる一方で、石油の生産量が急速な伸びを示し、今年の自給達成となった。
(2) 石油政策の経緯
ブラジルの石油法が制定されたのは1941 年で、この時、石油産業への外国資本の進出を禁止した。第二次世界大戦後の1953 年、国営石油Petrobras が設立され、同社がブラジルにおける石油の探鉱、開発、生産、精製、販売、輸出入を独占する体制となった。
当初は、内陸部での石油探鉱が活発であったが、1968 年以降、主にカンポス沖で海洋油田開発が着手され、大水深域での海底仕上げ方式を軸にした油田開発は大きな成果をあげて来た(図表2-89,図表2-90)。
政策転換は、1995 年である。ブラジル政府は、海洋石油開発の活性化を目的として、同年Petrobras の独占を廃止する憲法修正を行い、次いで1997 年には新石油法を制定して、石油産業の対外開放は進めることとした。そして翌1998 年に、鉱山エネルギー省の下に国家石油庁(ANP, Agencia
Nacional de Petroleo)を設立した。これは、石油産業全般の監督機関という性格を持ち、Petrobras
保有鉱区の92%を同庁に移管し、これらを公開入札にかけることとした。鉱区の第1 回公開入札は1999 年に実施され、以降2005年までに7 回の入札が行われた。但し、新規油田の発見の成果はこれからである。
(3) 石油開発の現況
1997 年時点で、ブラジルの石油埋蔵量は143.7 億バレル、天然ガスは15.89 兆立方フィートである。石油生産はカンポス沖が80%を占め、図表2-90 に見るとおりこれらの多くは水深200 以深のいわゆる大水深での開発であり、Petrobras の海洋石油開発技術は高い評価を受けている。近年では、Marlim
Sul 油田などで水深2,000m級の開発が行われている。西隣のSantos 盆地、東隣のEsprito Santo 盆地でも新規発見がある。
日本企業が保有している鉱区としては、国際石油開発(株)が15%で参加しているフラージ(Frade)/BC-4 鉱区があり、油田開発が進行中である。一方で、日本企業によるPetrbrasに対する融資事業があり、これまでにアルバコーラ(Albacora)油田、バラクーダ・カラチンガ(Barracuda/Caratinga)油田、そしてエスパダルテ・マリンバ・ボンドール(Espadarte/Marimba/Vondor)油田などが対象となっている。既発見油田の開発に関しては、投資対象として注目されている。但し外国企業にとっては、新規探鉱においては依然として大きな成果を挙げるに到っていない。
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