「メイド・イン・チャイナ」のインパクト

         ―― <中国価格がもたらす産業空洞化と中国脅威論>

 斎藤 亮

はじめに
 中国が世界の工場、ものづくりの工場になるための条件をきたしつつあるということ。その仕組みと影響、そして自分の目で見た中国産業集積の中心都市の感想と他国に及ぼす影響についてしるしていきたい
1.中国三大集積と仕組み
@珠江デルタ
  1980年代の香港系企業の進出に始まり、その後、外資系企業が労働的な輸出向け組立拠点を次々と置いた。
  この集積の強みは、全国から集まる人材の豊かさと、部品集積の厚み、そして物流・金融拠点としての香港の存在にある。これらが相まって、競争の激しい情報技術(IT)関連機器や電子部品の大量生産に適した、「低コスト、迅速、柔軟」な生産環境を生み出した。
 A長江デルタ
  古くから商工業の発達した豊かな地であり、優秀な人材と大きな市場、全国物流の中心であることが強みだ。最近では、主に国内市場を狙った外国投資が急増しており携帯電話やその部品などハイテク関連や資本装備的な投資が伸びている。
 B北京中間村
  別名「中国のシリコンバレー」とも呼ばれている地域である。この集積はソフトウェア開発やIT関連の研究開発機能の集積である。
  北京大学など70以上ある大学の研究成果の事業化を行う1000社以上の産業連携企業を含む、優秀で安価な理工系人材に目を付けた8000社以上   の内外のIT企業群が、主な柱になっている。
  
この3つのデルタがうまく機能しているために中国の成長があるといえる。それぞれの特色があるためである。そのためにこの3つのデルタは北から順に「頭脳、上半身、足腰」とよんでいる。
2.産業集積が及ぼす影響
 中国のこうした伸びゆく産業集積において存在感を発揮しているのは、香港、台湾などの華人系企業である。今や売れ筋商品に先進国との差がなんら感じさせないところに驚きを覚える。さらには、中国現地系の商品が世界の途上国市場にでまわっているほどである。
 つまりここが中国脅威論、または産業空洞化といった現象をおこそうとしているということだと思う。低コスト、大量生産。いったいどれだけ安く作れるか?ということである。うえであげたとおり中国は安く物を作ることを可能にする、そして最近では技術力の成長から先進国と比べてもさほど変わらないほどにまで成長した。
 いままでは中国にそれほどまでの力がなかったがいまや輸出を行うがために、それまで占めていた日系や欧米系の国などに大きな影響がでる。又、中国の巨大な市場を争奪しようがために自国の産業が空洞化現象に陥っているということになっている。

1998年 1999年 2000年 2001年
中国 7.8 7.1 8.0 8.1
香港 −5.3 3.1 10.5 1.4
台湾 4.6 5.4 6.0 −1.0
韓国 −6.7 10.9 8.8 3.2
シンガポール 0.1 5.9 9.9 4.0
タイ −10.8 4.2 4.3 1.8
マレーシア −7.6 5.8 8.5 1.8
インドネシア −13.4 0.5 4.8 3.4
フィリピン −0.5 3.3 3.9 3.2
                   (アジア諸国・地域実質GDP成長率の推移)

3.日本に迫る大きな課題
 中国産業の成長は国内生産拠点の中国への移転や、中国にあるEMS企業への生産委託化が進み、国内産業の空洞化の懸念が強まっている。また、中国からのいわゆる「持ち帰り輸入」などといった逆輸入の増加と国内産業との摩擦も近年目立ってきた。中国との「共存か競争か」といったフレーズもでてくるところだ。

4.感想

参考文献 
「メイド・イン・チャイナ」 黒田 篤郎著   メイド・イン・チャイナの衝撃